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賭博の世界を描いた海外小説 【おすすめ3選】

今年4月、IR法案に基づくカジノ誘致に立候補した候補地が出揃い、ランドカジノオープンに向けての展望が少しずつ明らかになってきましたが、一方でインターネット環境さえあればいつでもプレイできるオンラインカジノを愉しむ層もコロナ禍を経て増えつつあり、競馬や競輪といういわゆる「公営ギャンブル」意外にも、ギャンブルに対する話題は事欠きません。

またマス層の間でも近年『カイジ』や『賭ケグルイ』など、ギャンブルに関する作品が大きな人気を博しています。当初漫画として連載されていたこれらの作品はアニメ化や実写化だけでなく、ゲーム化も含めたメディアミックスが行われ、その人気のほどを窺い知ることができます。

海外の小説でも賭博に関するものは多いですが、上の漫画に比べるとギャンブルに関する小説が話題に上る頻度は、今一歩といったところ。

ここではそういったカジノやギャンブルの世界を描いた小説作品を三作品取り上げ、漫画にやや押され気味な小説ならではの魅力を紹介したいと思います。

『カジノロワイヤル』 〜バカラに詳しくなれる約70年前のスパイ小説


カジノロワイヤル』と言うと2006年に公開されたダニエル・クレイグが主演の映画『007』の方を思い浮かべてしまいがちですが、元々は1953年にイギリスの作家イアン・フレミングによって書かれた小説です。

今やハリウッド映画の代名詞的なフランチャイズとなった「ジェームズ・ボンド」シリーズの最初の作品であり、1954年、1967年と、2006年以前にも二度映像化されています。

内容は、イギリスの諜報員ジェームズ・ボンドが、ソ連の大物工作員を破滅させると言う任務を追って、カジノで勝負を挑むというものですが、ハリウッド映画そのままの派手なアクション満載のセクシーなスパイものを予測してかかるとちょっと肩透かしに遭うかもしれません。

けれど、やや地味めで映画のダンディなボンドとはまた違う設定の彼に出会うことができそうです。

また基本のストーリーはは「ギャンブルで敵を破滅させること」にあるので、ギャンブルの描写が印象深く、これを読めばバカラのルールに詳しくなれるというメリットも。

『ラス・ヴェガスをぶっつぶせ!』カジノに挑戦状を叩きつけるエリート学生たち


ラス・ヴェガスをぶっつぶせ!』は、ラスベガスで実際に起こった、ブラックジャックのカードカウンティング事件を描いたノンフィクション小説で、こちらもハリウッド映画になりましたが、残念ながらあまり大きなヒットにはならなかったようです。

本作を書いたのは、他にも『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』をはじめ、いくつものセンセーショナルなノンフィクション作品を書いてきたベン・メズリックです。

カードカウンティングとは、トランプを使ってプレイするブラックジャックにおいて、まだこれまでに出てきたカードを記録し、この先に出てくるカードを絞り込むことで、勝率をあげるテクニック。これを使ってラスベガスで一攫千金をあげるべく、カジノたちに挑戦状を叩きつけたのは、アメリカの超名門大学マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生たち。

学生とギャンブラーとしての二重生活、華やかなラスベガスの描写、それにカジノ側に気づかれた際の緊迫したやりとりによって、ノンフィクションとはとても信じられないようなエンターテインメント性溢れる小説に仕上がっています。

これを読んでからカジノにいくと、思わずブラックジャックをやりたくなりますが、カードカウンティングはとても手前味噌でできるような芸当ではないと気が付くはずです。

『賭博者』〜文豪ドストエフスキーの実体験がインスピレーション?


ここ最近また『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』など、ドストエフスキーによる作品に光が当たっており、話題になっています。

この『賭博者』もまたドストエフスキーによる作品で、ルーレットでの賭けにハマって身を滅ぼしていく人々を描いています。

舞台となるドイツにある架空の街の名前がルーレテンブルグという、「ルーレット」そのままなのも非常に面白いですが、作者自身が1860年頃に訪れた旅先のイタリアでルーレットに明け暮れたときの体験がこの小説のインスピーレションとになったと考えれており、賭博にのめり込んでいたことがよく知られているドストエフスキーにしか書くことのできない世界に仕上がっていると言えましょう。

上で、最近『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』に光が当たっている、と書きましたが、亀山郁夫氏による新訳版が2019年に出されたことがその一端を担っていることは間違いなく、この『賭博者』も同じタイミングで新訳が出ています。

注目に値するのは、ロシア文学において最も偉大な作家と言われるプーシキン、それに『鼻』『外套』などで知られるゴーゴリも、賭博に関する作品を書いていること。これらの作家三名がこの「賭博をする人々」をそれぞれの作品のなかで描いたのには、非常に興味深いものがあります。当時のロシアでは賭博が大きな意味を持っていたのでしょうか。

さてこの記事では、カジノに関する海外文学三作品について書きました。一口にギャンブルとは言っても、国や時代が違えばそれぞれ違った物語があるものです。

これらの作品を読んで、カジノの緊張感やだけでなく、文字通り人生を賭けた主人公たちのドラマに浸ってみてください。

 

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草の実堂編集部

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