飲食

コーヒーの起源と歴史 「カフェオレとカフェラテの違い」

コーヒーの歴史

コーヒーの歴史

【※17世紀、ロンドンのコーヒー・ハウス】

コーヒーの誕生はエチオピアに始まる。年代は不明だが、ある伝説として残っていた。

カルディというヤギ飼いが、牧草地にヤギを放したところ、ある木の実を食べたことで興奮状態になったことに気付く。そこで、近くの修道院で調べてもらったところ、豆を煮出して飲むと香りが良く、眠気がなくなった。こうしてコーヒー豆は「秘薬」として扱われ、中東、バルカン諸国、イタリアを経て17世紀にはイギリスにまで広まった。その頃にはすでに焙煎するという方法も確立しており、今のような香り高いコーヒーを楽しめるようになっている。

面白いのは、ロンドンにある一軒のコーヒー・ハウスの話。当時のコーヒーハウスは男たちが集い情報を交換する社交場であった。あるコーヒー・ハウスでは豆の輸入とともに船舶情報を提供し、やがては船舶保険業務まで取り扱うようになる。それが今日のロイズ保険会社の前身となった。

そして、紅茶文化が入ってくるまでのコーヒーは、アルコール以外の飲み物として一般的に飲まれていたのである。

エスプレッソの誕生

さて、「カフェオレ」と「カフェラテ」の違いだが、コーヒー豆を焙煎する段階までは同じだ。

次に普通のコーヒーと同じようにドリップして、カップの半分ほどのミルクを混ぜたものが「カフェオレ」となる。この「オレ」がフランス語で牛乳を意味していて、「ラテ」はイタリア語の牛乳を意味するが、ベースはドリップ抽出ではないので味が違う。

では、カフェラテはどのようなものかというと、「エスプレッソ抽出」をしたコーヒーがベースになっていた。エスプレッソの誕生は1901年まで待たないといけない。エスプレッソ抽出は、砕いて粉状にしたコーヒー豆に圧力をかけて短時間で抽出するのだが、この抽出に専用マシンが必要だったからだ。

セットした粉に蒸気などで圧力を掛け、短時間で少量を抽出する。もっとも簡単なものは「直火式」のもので、直火で加熱し、そのときに発生した蒸気で圧力をかける方法である。これは、電気式のものに比べて手軽なため、アウトドアでもアルコールストーブを使用して抽出可能だが、圧力が弱いために香りは落ちるという。

高圧で抽出する

一般にエスプレッソマシンと呼ばれるのは「ポンプ式」で、エスプレッソに最適といわれる9気圧の圧力で抽出できる。他にも「レバーピストン式」などがあるが、圧力や抽出の時間を細かく調整することができるため、好みに応じた味を引き出せるようになった。反面、複雑な作業となるのでそうした技術を習得していて、様々なバリエーションのコーヒーを抽出できる専門家を「バリスタ」と呼ぶ。

広義にはコーヒー豆の焙煎やブレンドして、客の好みに応じた味を出す技能もバリスタの条件となるのだが、自宅でエスプレッソを作るならマシンに任せておけばいい。

こうして抽出したエスプレッソは、ドリップ式と比べて一杯の量が少ないが味は濃厚で苦味も強い。それをベースに「カフェラテ」などのバリエーションが作られるのだ。

カフェオレとの違い

ちなみにイタリアでコーヒーといえば一般的にはエスプレッソを意味する。

そのエスプレッソに蒸気で温めたミルクを加えたものが「カフェラテ」と呼ばれる。この場合、8割がミルクとなっていて、かなり薄められることになる。そしてエスプレッソに泡立てたミルクを注ぐと「カプチーノ」、ミルクの量を減らしたものを「マキアート」と呼ぶのだ。ちなみにマキアートとは「染みがついた」という意味のイタリア語で、ミルクがエスプレッソに染みをつけたように見えることに由来していた。

さらに日本でも人気の「カフェモカ」は、温めたミルクの上からチョコレートシロップを加えたもので、甘みがあるだけではく風味も変わる。コーヒーとチョコレートの相性は良く、私もチョコレートを少しずつ食べながら濃い目のコーヒーを飲むのが好きだ。

アメリカン・コーヒー

私もかつて勘違いしていたコーヒーに「アメリカン」がある。

単純に薄いコーヒーのことだと思っていたが、コーヒーの焙煎の仕方に違いがあった。アメリカンは豆を浅めに焙煎したもので、さっぱりとしていて酸味を強く感じることができる。一般的に深煎りほど色は濃くなり浅いほど色は薄くて酸味を感じられるのだそうだ。コーヒー豆の焙煎も度合いによって8段階もあり、アメリカンコーヒーでは下から3段階目までの豆を使用することが多い。さらに豆の種類は関係なく、純粋に焙煎の度合いの違いだけである。

アメリカンコーヒーの由来は、開拓時代にアメリカではドリップマシーンがなかったため、焙煎が浅くなった結果、このようなスタイルとなった。ちなみに「アメリカン」は和製英語なので注意が必要だ。

最後に

カフェオレはドリップ抽出したコーヒーにミルクを加えたもので、それ以外のバリエーションはエスプレッソにミルクなどを混ぜたものを指していた。簡単なことだが、意外と忘れやすいものだ。

関連記事:
ルイボスティーの効能について調べてみた【疲れがとれる不思議なお茶】
スターバックスの成功の秘密について調べてみた
王立化学会も研究?!イギリスの紅茶事情について調べてみた

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 「古代人の食生活」について調べてみた
  2. 食べすぎ注意!徳川家康がハマった「鯛の天ぷら」実際に作ってみまし…
  3. 重曹の万能さと使い方について調べてみた
  4. ローマ時代の食卓 ~テーブルコーディネートの紀元について
  5. お茶(緑茶・紅茶・烏龍茶)の歴史【世界史の裏側にはお茶があった】…
  6. ピラフとチャーハンの違いを調べてみた「結局どっちも一緒?」
  7. おせんべい(煎餅)の歴史について調べてみた
  8. 駅弁の歴史と人気駅弁ランキング「明治時代に始まった」

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

38歳で謎の急死をした猛将・浅野幸長 「家康による暗殺説」

浅野幸長とは浅野幸長(あさのよしなが)は、織田信長と豊臣秀吉に仕えた浅野長政の嫡男として…

東郷重位とは 【新選組も恐れた示現流の流祖】

東郷重位とはTVや映画の時代劇で薩摩藩士が「チェスト」と叫び、気合と共に初太刀で勝負を決…

【砂漠に眠る絶世の美女】3800年前のミイラ「楼蘭美女」が語る消えた文明の謎

世界を驚かせた「楼蘭美女」の発見1980年、タクラマカン砂漠の東端、楼蘭(ろうらん)遺跡…

江戸の庶民に流行していた意外なもの 「ラクダ、人魚のミイラ、宝くじ」

江戸の3大娯楽である歌舞伎・相撲・吉原は有名な娯楽であったがお金がかかるものであり、長屋暮らしの庶民…

戦国時代の弓の名手たち 「立花宗茂、大島光義、鈴木大学」

戦国時代には猛将と呼ばれる武将たちがいました。本多忠勝、山県昌景、可児才蔵、真柄直隆…

アーカイブ

PAGE TOP