中国史

実は恐ろしかった饅頭(まんじゅう)の起源

画像 : お祝いの際などに配られる紅白饅頭 wiki c

日本全国どこのお土産屋さんでも見かける 饅頭(まんじゅう)

地域ごとに「〇〇饅頭」と種類は数多くあり、昔から日本で親しまれている軽食である。

お土産や贈り物として選ばれることが多く、親しみやすく優しいイメージである。

そんな饅頭だが、生まれたきっかけは実は恐ろしいものであった。

日本の饅頭のルーツ

日本で饅頭が広まりだしたのは、鎌倉時代と南北朝時代の2説ある。

鎌浦時代の臨済宗の僧・円爾が南宋に渡り、帰国後に饅頭の製法を広めたという説。

約100年後の南北朝時代に、同じく臨済宗の僧・龍山徳見が元に渡り、帰国した際に同伴してきた弟子の宋人・林浄因が広めたという説である。

いずれにせよ宋の文化から日本に伝わったようである。

小豆などを入れた甘い饅頭と、野菜などを入れた現在の肉まんに近い饅頭の2種類が当時からあったが、日本では仏教の影響が強く前者の方が広がり、そのまま現在の饅頭となったのである。

饅頭の起源は諸葛孔明

諸葛亮

それでは中国で饅頭が生まれたのはいつだったのだろうか?

それは三国時代まで遡る。

蜀の宰相・諸葛亮が南の蛮族を攻めるために南征した。

蛮族の社会では、川の氾濫を鎮めるために人身供養として生きた人間の首を切り落として、川に投げ込むという恐ろしい風習があった。

蛮族を制した諸葛亮は、帰国する前にこの恐ろしい風習を改めるために代案を提示したのである。

それは小麦粉で練った皮の中に、羊や豚の肉を入れて人の頭に見たて、それを川に投げ込むというものであった。

つまり最初の饅頭は人の頭くらい大きく、生首の代用品として作られたものだったのである。

これは北宋時代の『事物紀原』という書物に記されている。

その後、川に捨てるのはもったいないということになり、祭壇に祀った後に食されたり、食べやすいように小型化され現在の形態となったという。

饅頭(まんじゅう)という文字の中に「」の漢字が使われているのはその名残りなのである。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 禅宗の事実上の開祖「慧能(えのう)の生涯」
  2. 習近平について調べてみた【下放された青年期】
  3. 古代中国の美人メイクとは 「地雷メイク、美白、フェイクエクボが流…
  4. 踊り狂ってしまう美味さ!?ビャンビャン麺の漢字について調べてみた…
  5. 徐福 ~始皇帝をペテンにかけた謎の方術士【日本にも伝わる徐福伝説…
  6. ニシキヘビはどんな味? 「美味しく栄養価が高く、生産効率も高かっ…
  7. 洋食の歴史について調べてみた「日本初の西洋料理店は?」
  8. 隋朝末期の3人の幻のラストエンペラー【皇帝という名の貧乏くじ】

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

千利休・天下一の茶人 【なぜ秀吉に切腹させられたのか?様々な説】

千利休とは千利休(せんのりきゅう)は戦国時代に「侘び茶(わびちゃ)」を大成し「天下一の茶…

明治政府が掲げたスローガン「神武創業」その言葉に秘められたトリックとは?

旧幕府勢力の一掃を図った「王政復古のクーデター」1867年(慶応3年)10月14日、江戸…

なぜ9.11同時多発テロは起こったのか? ビンラディンが描いた「聖戦」の構図

21世紀の幕開けは、炎と瓦礫の中で始まった。2001年9月11日、アメリカ合衆国で発生した同…

人類を震撼させる最強の悪魔軍団 「七大悪魔」

天使達に階級や役割がある様に、悪魔達にも個々の任務がある。彼らは宇宙的次元の企みから…

董卓の最期【三国志正史と演義で大きく違う反董卓連合軍】

正史と演義で大きく違う反董卓連合軍三国時代序盤の西暦190年、洛陽で暴政を行う董卓(とう…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP