海外セレブが「親日」と報道されることは日本では当たり前のようになっている。
レディー・ガガを筆頭に、トム・クルーズ、マドンナ、キアヌ・リーブス、ティム・バートンなど名前を挙げればキリがないほどだ。しかし、そのなかには、新曲や新作のプロモーションのために来日した際の「リップ・サービス」が含まれていたり、「日本の文化に興味がある」という程度の「親日感情」が多いということも容易に想像できる。
では、本当の意味で「親日」と呼べるセレブはいないのだろうか。
富士山のご来光の画像をtwitterにアップするほどのセレブ。ただ「日本が好き」なだけでは撮ることができない写真を撮影したセレブこそ、ヒュー・ジャックマンだった。
ラッセル・クロウが推薦する俳優
※ヒュー・ジャックマン
1968年10月12日生まれ、オーストラリア出身のヒュー・ジャックマンは、遅咲きのハリウッドスターである。
オーストラリアで映画、テレビ、舞台俳優などをこなし、2000年に「X-メン」で主役のウルヴァリンを演じたことで世界の注目を集めた。しかも、この役は最初から彼に用意されたものではない。最初にオファーを受けたイギリス人俳優ダグレイ・スコットが「M:I-2」のクランクアップ直後だったためにこれを辞退、次はラッセル・クロウにオファーが回るが、彼も「グラディエーター」の直後だったいう理由で辞退する代わりにヒューを推薦していたのである。
32歳のことだった。
X-メンが大ヒットすると、翌年にはジョン・トラボルタとW主演ともいえる「ソード・フィッシュ」で天才ハッカーを演じ、ウルヴァリンの「肉体派」のイメージに捉われないスタイリッシュな役柄を演じている。
X-メンシリーズ
その後もX-メンシリーズが製作されると、2017年のスピンオフ作品「LOGAN/ローガン」までウルヴァリン役を演じ続けた。そのためにトレーニングを欠かすことなく、特殊メイクなどを必要としない強靭な肉体を作り上げるなど、ストイックな性格もよく知られている。
2006年の「X-MEN: ファイナル ディシジョン」の続編ともいえる「ウルヴァリン: SAMURAI」は日本が舞台となるが、これはヒューの意向ではなく、クリス・クレアモント脚本・フランク・ミラー作画により1982年に登場したコミックですでに描かれていたためだ。それどころか、コミックでは日本を舞台にウルヴァリンが活躍する4部作は人気が高かったという。
しかし、映画での描写はアナクロな「日本像」から脱却することはできずに終わっている。
良き夫、良き父親
※ヒューの妻、デボラ=リー・ファーネス
2012年公開の「レ・ミゼラブル」では、主人公・ジャン・バルジャン役での演技が評価され、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞し、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた。
同作の日本プレミアの際には来日しており、その後の2014年にはトヨタ「クラウン」のCMに出演するなど、日本での活動もわずかながら広げている。
また、海外セレブとしては珍しく離婚経験がない。オーストラリア人女優のデボラ=リー・ファーネスと1996年に結婚すると、2人の養子とともにニューヨークで暮らしている。こうした真面目な私生活は、海外ゴシップ好きには物足りない俳優として映るが、日本人からするとその誠実さに好感を覚えるのだ。
ハリウッドスター、富士山に登る!
※ヒューが撮影し、twitterにアップした富士山からの日の出。
2012年8月28日には、日の出の写真と共にtwitterを更新。そこには、
「Sunrise from Mt Fuji. Oscar and I had 2 incredible days on the mountain. SUBARASHII !!!!!(富士山からの日の出。オスカー(息子)と僕は、この山で最高の二日間を過ごした。素晴らしい!)」とツイートされており、大変な反響を呼んだ。
これは、「レ・ミゼラブル」のプロモーションのために来日したときのものだが、「Mt Fujiが好き」というセレブは多いなか、実際に登山までしてしまうヒューに日本中が驚いた。すでにこのときには10回ほど来日しており、機会を狙っていたのだろう。
他にもバラエティ番組のコーナーにも出演し、ユーモア溢れる姿を披露している。ワイドショーでスポット出演することも多く、インタビューを待つだけではないという点でも人気があるのだ。
誠実さは誤魔化せない
※東京メトロに乗車したときのtwitterでの画像。
ヒューの日本好きはX-メンでの初来日がきっかけだった。
その後、18歳のときからの友人たちと「みんなで日本に行こう」という約束をして、それを実現させたという。さらに来日時のオフを利用しては、観光地だけではなく日本中を色々と周っているようだ。
新幹線に乗車したときの様子や、切符で東京メトロに乗ったときの様子などもtwitterでアップするなど積極的に「日本好き」をアピールしている。いささか「イメージ作りじゃないの?」と思われそうなツイートも多いが、それを否定できるのは彼の人柄によるところが大きい。
彼と一緒に仕事をした人々から聞こえてくるのは「紳士」「エゴのない真面目な人」「ユーモアがある」といった裏表のなさを伝える話ばかりだ。きっと、彼の「親日」は本物に違いない。
最後に
何をして「他国のことを好き」というのかは人それぞれである。しかし、一番大切なのは体験することだろう。自ら行動して、その国の文化に触れる。その意味では、多忙なスケジュールの合間に色々と日本で行動するヒューの姿勢は親日であった。
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