街のどのアングルから撮影しても、全てが絵画のような芸術性の高い写真に仕上がる、フランス東部のアルザス地方にある「コルマール」。
可愛らしいパステルカラーの住宅街や小さな運河の周辺には、四季折々の花が装飾され、『メルヘンチック』という言葉が非常に似合う雰囲気が街全体を覆っている。
フランスで最も小さな街にも関わらず、山や川に囲まれたアルザス地方の美しい風景を全て詰め込んだおとぎ話の世界観が「コルマール」にはある。
おとぎ話が始まりそうな独創的な街「コルマール」を舞台にした物語とは!?
魔女の魔法によって、その後の人生を大きく変えられてしまった少女の姿を描いたジブリアニメーション映画『ハウルの動く城』の上映以降、日本ではアルザス地方の「コルマール」の存在が、広く知られるようになった。
イギリスの小説家であるダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジー小説『魔法使いハウルと火の魔法』の原作を基に描かれた『ハウルの動く城』は、中世ヨーロッパを連想させる古き街並みの風景が物語の舞台となっている。
物語のカギとなる『魔法が存在する国』を原作のイメージを壊すことなく、忠実にアニメーションとして再現するためには、懐かしさと可愛らしさを兼ね備えた街の雰囲気が必要とされたのだろう。
ドイツ文化の影響を受けて建築された伝統的な木骨組みの建造物に、花と緑が調和された「コルマール」の街並みは、正に原作のイメージそのものだったに違いない。
制作元であるスタジオジブリ側も、『ハウルの動く城』の舞台の参考にした場所として「フランス・アルザス地方、中央アジア」と公式ページを通して発表している。
旅先での『コウノトリ』との出会いは幸運の兆しかも!?
「コルマール」の空には、新しい命を運ぶ鳥、子宝に恵まれる予兆を知らせる鳥としても有名な『コウノトリ』が飛び交う姿がある。
「コルマール」の街に限らず、湿潤な立地であるアルザス地方全域に多く生息する『コウノトリ』は、ドイツの国鳥にも指定されており、日本同様に『祝福と幸福を運ぶ赤ん坊の泉を守る神様の使者』として敬われている存在だ。
そのため、『コウノトリ』に出会えることは、旅行先で掴んだ幸せの兆しであると話題となり、やがて「コルマール」の街のシンボルとして謳われるようになった。
お土産ショップの大半を占める『コウノトリ』をモチーフとしたぬいぐるみやイラストは、幸せな家庭を築きたい、新しい命を授かりたいと願う人々や、その願いを実現して欲しい家族や友人への贈り物として購入される場合がほとんどだ。
そんな現地の『コウノトリ』人気からは、子供の成長を夫婦で見守る『コウノトリ』の性質を模範とし、家庭運を象徴する縁起物として世界中の人々から敬愛されていることが分かる。
「コルマール」における『コウノトリ』の目撃情報が特に多いのが、街の中心部に聳え立つ『サン・マルタン教会』の屋根だ。
ステンドグラスの窓が神秘的に輝く『サン・マルタン教会』は、アルザス地方の中で最も美しい教会として紹介されると同時に、『コウノトリ』の巣があることでさらに有名となった観光地でもある。
タイミングと運があれば、屋根の上に作られた巣に出入りする『コウノトリ』の様子を間近で見ることができるが、実際に『コウノトリ』に遭遇した場合は、静かに見学するか、ストレスを与えない程度の短い写真撮影を心掛けるよう注意喚起が出ている。
『コウノトリ』の存在に気を取られ、大きな声で驚かせたり、無理に行動を妨げるような動作は控えることが、「コルマール」の観光を楽しむ上での絶対条件であるからだ。
熱い信念を抱いたパティシエたちがアルザス地方を目指す理由
「コルマール」の特徴の一つに、スイーツの激戦区でもあるフランス・パリに劣らない芸術性の高いスイーツが並ぶ街という言葉がある。
「コルマール」が位置するアルザス地方からは、世界で活躍するパティシエが多く輩出されていることもあり、「コルマール」自体もスイーツに対する思い入れが強い街として形成されていった。
『パティスリー界のピカソ』と呼ばれ、高級感に満ち溢れた芸術性をスイーツで表現することで有名なピエール・エルメ・パリの創業者である『ピエール・エルメ』も、アルザス地方出身のパティシエ・ショコラティエだ。
新たなスイーツを生み出す度に、変わらない伝統技術を継承することよりも、時代に合わせたデザイン性や、話題の風味と味覚を瞬時に取り入れる彼の思考は、独創的な才能の塊である。
『どんなに名誉ある賞に輝いたとしても、スイーツを愛し続けるファンからの賞賛の声だけが、自分自身の生き甲斐である。』と断言するピエール・エルメの姿は、修業に励む未来のパティシエたちの憧れの的なのだ。
既にプロのパティシエとして活躍している人材までもが、彼のパティシエとしての生き方をロールモデルとし、新たな挑戦の場としてアルザス地方を目指している。
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