ミリタリー

史上最も活躍したと言われるイギリス戦艦・ウォースパイト

史上最も活躍した戦艦 ウォースパイト

ウォースパイト

※1942年:インド洋で行動中の戦艦ウォースパイト

戦艦ウォースパイトは、イギリス海軍に所属していたクイーン・エリザベス級戦艦の2番艦です。

この軍艦は第一次大戦中に就役した軍艦でしたが、その後30年に渡って現役として第一線にあったことから、史上最も活躍した戦艦とも称されました。

第二次世界大戦時には既に旧式の戦艦だったにも関わらず、如何にしてウォースパイトは第一線にあり続けたのかについて調べて見ました。

チャーチルが建造を推進

※チャーチル

戦艦ウォースパイトは後にイギリスの首相となるウィンストン・チャーチルが海軍大臣であった時に、その強力な後押しを受けて建造されることになった軍艦でした。

1912年に起工されると、第一次世界大戦只中の1915年3月に就役しました。

その基本諸元は全長195.3 m、最大幅31.7 m、基準排水量31,315 t、最大速力24ノット、主砲38.1cm42口径MkI連装砲4基8門と、当時として高速であり且つ強力な主砲を実装した戦艦でした。
戦艦ウォースパイトを含むエリザベス級戦艦5隻は、第一次世界大戦における最大の艦隊決戦である「ユトランド沖海戦」において第五戦艦戦隊として参戦しました。

ユトランド沖海戦

この「ユトランド沖海戦」で戦艦ウオ—スパイトは、敵のドイツ巡洋戦艦らからの15発の命中弾を受け、舵などに大きな損害を受けました。

しかし無事に戦列を離れることに成功し、母校での修理を受けます。

第一次世界大戦が終結した後、ウォースパイトはイギリス大西洋艦隊に所属していましたが、大半は地中海で活動し、この間に小口径の機関銃を増設するなど近代化の改装も行われました。

ノルウェーでの大勝利

※1940年にノルウェーで作戦行動を行う

1939年にドイツのポーランド侵攻で第二次世界大戦が始まると、翌1940年4月にはドイツが北欧のノルウェーへも侵攻したため、ウォースパイトはノルウェー沖に出撃しました。

ここで旗艦を務めたウオ—スパイトは、狭いフィヨルドにおいて僚艦の駆逐艦9隻とともにドイツ海軍駆逐艦との戦闘に挑みました。

この戦いでイギリス艦隊は、ドイツの駆逐艦隊8隻全てを撃沈する戦果を挙げ、この方面からドイツ海軍を完全に排除することに成功しました。

地中海での大戦果

ノルウェーの戦いの後の1940年5月、ウォースパイトはイギリス地中海艦隊に復帰しました。ここでは主にイタリア海軍の艦艇との戦いに参加しました。

同年7月のカラブリア沖海戦でウォースパイトは、イタリアの戦艦ジュリオ・チェザーレに命中弾を与える活躍を見せました。この時の砲撃は約24km離れた長距離射撃で移動する目標への命中弾として、ドイツの巡洋戦艦シャルンホルストと並ぶ記録とされています。

また翌年1941年3月のマタパン岬沖海戦においては、夜間にも関わらず敵の巡洋艦3隻と駆逐艦2隻を撃沈する戦果を挙げました。

その後ウォースパイトはドイツ軍機の爆撃を受け、修理のためにアメリカへ回航されました。

ドイツの新型爆弾が命中

ウォースパイトがアメリカで修理を受けていた1941年12月、日本軍が真珠湾攻撃を行って太平洋戦争が開始されました。

このため急遽イギリス東洋艦隊に編入されたウォースパイトはその旗艦を務めました。

しかしインド洋に進出したウォースパイトはここでは交戦の機会はなく、喜望峰を回ってイギリスに戻りました。
その後1943年7月に連合軍のイタリア上陸作戦の支援にあたったウォースパイトは、艦砲射撃を行う任務に従事しました。

同年9月にウォースパイトはドイツ空軍の攻撃を受け「フリッツX」と呼ばれた新型誘導爆弾2発を命中させられてしまいます。しかしここでも撃沈を免れると、ジブラルタルでの修理の後、更にイギリス本国での修理を施されて1944年4月には戦列に復帰しました。

浮沈戦艦の最期

※上陸用舟艇内の兵士達。

ウォースパイトは、1944年6月のノルマンディー上陸作戦の支援に加わり、上陸地点への艦砲射撃を行いました。

このときも機雷などによる損傷を受けましたが、一旦イギリスで修理を受けて1944年11月に最期の任務となったワルヘレン島への艦砲射撃を行いました。

翌1945年2月に予備役に編入されたウォースパイトは、その後1947年にスクラップとして処理され30年にも及んだ浮沈戦艦はその生涯を終えました。

関連記事:
ノルマンディー上陸作戦 【プライベート・ライアンの描写そのもの】
「ポケット戦艦」と呼ばれた軍艦について調べてみた
真珠湾攻撃を可能にした日本軍の兵器・91式航空魚雷

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