近年、宇宙関連の技術が急速に進歩し、宇宙が私たちにとって身近に感じられるようになってきた。
日本のはやぶさ探査機やホリエモンの超小型人工衛星打ち上げロケット、国際宇宙ステーション(ISS)、そして民間企業であるスペースXが宇宙飛行を実現するなど、宇宙に関する新たな成果や挑戦に関する話題や報道が増えているのは、みなさんもご存知だろう。
近年では様々な「宇宙ビジネス」も増えているという。
特に宇宙ステーションでの船外活動(写真や動画)は、宇宙での人間の活動をリアルタイムで目撃できる貴重な疑似体験だ。
これらを見た方は、宇宙が私たちにとって、それほど遠い存在ではなくなりつつあると感じているはずだ。
しかし、一方でSF映画などでは宇宙服を着用せずに宇宙に放り出されるシーンが多いが、その後、どうなったかを詳細に描写した映画はほぼ無い。
「宇宙服を着ていないのに、あの後どうなったんだろう?」と気になるのは、筆者だけではないはずだ。
今回の記事では、「宇宙服なしで、人が宇宙に放り出された場合、どのくらい生存できるのか」、そして人体に何が起こるのか、宇宙服の重要性について説明してみる。
宇宙服なしの宇宙滞在
まず、宇宙服がない状態で宇宙に放り出されるとどうなるのかを考えてみよう。
宇宙は真空であり、酸素が存在しないため、最初の問題は酸素不足だ。
宇宙は真空であり、酸素が存在しない。
そのため、宇宙に出ると酸素供給が途切れ、わずか10から15秒で意識を失う。
この短い時間内に、酸素不足が脳に影響を及ぼす。
これは非常に短い時間だが、宇宙に放り出される前に息を止めることはできない。
なぜなら宇宙の真空状態では酸素が急速に膨張し、肺を破裂させ、血液を沸騰させるため、呼吸を止めることは不可能なのだ。
また、宇宙には極端な温度差が存在する。
低軌道の宇宙では、温度は摂氏マイナス240度から250度の範囲で変動する。
これにさらされると、凍傷や火傷のリスクが高まる。
ただし、宇宙の真空中では体温がなかなか伝導されないため、凍結は即座に起こるわけではない。
逆に、太陽の光にさらされる場合、宇宙服がないと紫外線による皮膚の損傷が避けられない。
放射線と紫外線の脅威
宇宙空間では、放射線も大きな脅威だ。
太陽からの放射線暴露は、宇宙飛行士に放射線病やがんのリスクをもたらす。
また、宇宙では紫外線も強力で、肌に深刻な損傷を与える。そのため、宇宙服は放射線と紫外線から宇宙飛行士を守る役割を果たす。
微小隕石と宇宙ごみ
さらに、微小隕石と宇宙ごみも宇宙での生存に関連する危険因子だ。
これらの微小隕石や宇宙ごみは、秒速数キロまたは数十キロで移動し、宇宙船や宇宙飛行士に損傷を与える可能性がある。
宇宙服は、これらの微小隕石や宇宙ごみから宇宙飛行士を保護するために、複数の層で設計されている。
最も外側の層は、物体が高速で衝突した場合にも耐えるための強化された防護を提供している。
しかし、宇宙服を着ていたとしても、ダメージの大きさによっては死んでしまうだろう。
生存の限界
では、宇宙服なしで宇宙にいると、どれくらい生存できるのか?
実際には非常に短い時間しか生存できない。
最善の場合でも、数秒から数分で意識を失い、数分以内に脳死が訪れる。
その後、迅速な救助か宇宙船への帰還と蘇生がなければ、生存の見込みはほとんどないのだ。
宇宙服の役割
このように、宇宙は私たちの生命に対して極めて過酷な環境であり、宇宙服なしでは生存することは不可能だ。
宇宙服は酸素供給と圧力を提供するだけでなく、極端な温度、放射線、微小隕石から宇宙飛行士を保護するために設計されている。
宇宙探査や宇宙ステーションの船外活動においては、宇宙服が欠かせない装備であり、私たちの知識を深め、新たな発見を可能にする。
宇宙服なしでは宇宙での生存は不可能に近く、科学技術と工学の進歩によって宇宙を探索するための必須の装備と言えるだろう。
さいごに
宇宙は私たちにとって未知の世界であり、その過酷な環境から生き延びるには宇宙服という技術の恩恵が欠かせない。
宇宙服なしでは宇宙での生存は不可能に近く、科学技術と工学の進歩によって宇宙を探索するための必須の装備となっている。
私たちが夢見る宇宙への冒険は、宇宙服のおかげで現実のものとなっているのだ。
また、宇宙服は私たちが地球を超えて新たな世界を探索するための基本的な要素でもある。
国際宇宙ステーション(ISS)や将来の有人月面ミッション、火星探査など、宇宙服は宇宙での長期滞在を可能にし、宇宙飛行士の生命を保護する。
宇宙服の技術は日々進化し、私たちの夢を実現するための不可欠なツールとして、ますます重要性を増していくだろう。
この記事のタイトルのようなシナリオが起こった場合、生存時間はほんの一瞬だ。肺にほとんど空気を含ませず、数秒以内に圧力のかかった宇宙船の安全な環境に戻るか、救助されて蘇生されることを願うしかないというのが結論である。
参考 : How long could a person survive in space without a spacesuit? | Live Science
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