神話、伝説

最高神ゼウスの兄弟関係について調べてみた《ギリシャ神話》

ゼウスとは

※Zeus of Otricoli

ゼウスとは

ゼウスといえば、ギリシャ神話の中で最高神とあがめられる、全知全能の神である。
全宇宙や天空を支配し、絶対的な力を持つ神であり、オリンポスの神々の守護神、支配神として、神々と人間たちの父である、と考えられている。

そんな全知全能の神であるゼウスに、兄弟がいるのはご存じだろうか?

この記事では、ゼウスの 人の兄弟たちと、ゼウスとの関係性について、詳しく調べてみたいと思う。

ゼウスの両親について

まずは、ゼウスの両親である、二柱の神についてご紹介していこう。

ゼウスの父は、クロノス。母はレアという女神である。

この二柱の神々はヘスティアを筆頭に、全部で六柱の神々を誕生させた、と言われている。
ゼウスはその神々の中で、一番最後に生まれた末っ子である。

ゼウスの長姉・炉(ろ)を司るヘスティア

ゼウスとは

ヘスティアは人間にとって最も身近な神である。よって、彼女には神話がほとんど存在せず、像が設立されることもなかった

ヘスティアという名前は、炉、竈(かまど)という意味を持つそうだ。

古代ギリシャにおいて、炉は家の中心だと考えられており、ヘスティアは家庭生活を守る守護神として、あがめられていた。

また、家庭の延長上には国がある、ともされており、このことから『国家統合』の神であるともされている。

クロノスとレアの長女であるヘスティアは、夫や子供を持たない“処女神”である。
かつて弟であるポセイドンや、芸術と伝達の神アポロンに求婚されるも、その申し出を断った、と言われている。

処女を守ると誓ったヘスティアに対し、ゼウスは、結婚の喜びと引き換えに、すべての人間の家の中央に座すことの特権を与えたという。

プラトンの『饗宴』の中では、おっとりとして呑気な印象の女神として、描かれている。

ゼウスの長兄・冥界の王であるハデス(ハーデースとも)

冥府の番犬、ケルベロスを従えるハデス wiki(c)遠藤 昂志

ハデスは、大地の女神であるペルセポネーを妻に持つ、冥界の王である。

オリュンポスの中では、ゼウス、そしてポセイドンに次ぐ力を持つ、といわれている。

冥界(死後の世界)は地下にある、と信じられるようになってからは、地下の神とされることもあるようだ。

ハデスは、被ると姿が見えなくなるという「隠れ兜」を所持しており、これは他の神々との闘いで大活躍するアイテムである。

この兜を、ゼウスの息子であり半神(神と人間の子)であるペルセウスに貸したことで、ペルセウスはメデューサを退治することが出来た、と言われている。

ゼウスとは

メデューサの首を掲げるペルセウス

また、ハデスは冥府の入り口に、番犬としてケルベロスを飼っていた。

ケルベロスとは三つの頭を持ち、尾には蛇が生えているという恐ろしい怪物である。

ゼウスの姉でありながら、妻になった女神・ヘラ

ゼウスとは

ヘレニズム時代のヘーラー像を摸したローマンコピー ルーヴル美術館所蔵

ヘラという名前は、“女主人・貴婦人”を表す言葉であり、ゼウスの妻としてギリシャ神話の中で最高位を持つ女神といわれている。
彼女が司るのは、結婚と母性、そして貞節である。

ギリシャ神話の中では、しばしば、恋多き夫に怒る、嫉妬深い妻として描かれている。

腹心の侍女たちには、虹の女神イーリスと季節の女神ホーラがいる。

驚くことに、ヘラは元々、ゼウスの姉であったのだ。

神話によれば、掟の女神であるテミスと結婚していたゼウスは、ヘラの美しさに恋に落ち、カッコウという鳥に化けてヘラに近づき、自分のものにしようとした。

だが、ヘラは断固拒否を続け、自分と肉体関係を持ちたいならば、結婚をするように命じた。
そこでゼウスはテミスと離婚し、ヘラと結婚することになったのである。

結婚と貞節を司る、彼女らしいエピソードである。

ゼウスのすぐ上の兄・海の王ポセイドン

ポセイドンの姿は大抵、力強い壮年の男性として描かれている。

ポセイドンは、ゼウスに次ぐ圧倒的な強さを誇る神である。

海洋の全てを支配し、海だけではなく大陸をも守護する神で、ポセイドンが怒ると、大きな地震を引き起こすと言われている。

その強大な力と神々の中での地位は、“ゼウス・エナリオス(海のゼウス)”と呼ばれるほどである。

彼の妻には、海の女神であるアムピトリーテがおり、彼女とのあいだに多くの子供をもうけている。

ポセイドンはアムピトリーテに求婚する際、プレゼントにイルカを手渡し、イルカを気に入った彼女は結婚に応じたと言われている。

そのため、アムピトリーテの聖獣はイルカであり、彼女との結婚によって、元々大陸を司る神であったポセイドンが、海をも支配することになったとされる。

ゼウスのすぐ上の姉・豊穣の女神デメテル

デーメーテール像 ローマ国立博物館所蔵

デメテルは豊穣の女神であり、穀物の栽培の仕方を人間に教えた存在である、とされている。

彼女の名は“母なる大地”を意味する言葉で、ヘラと同じように(結婚には至らなかったが)、ゼウスと関係を持ち、娘コレーをもうけている。

しかし、ゼウスに無理やり関係を持たされたので、彼のことをよく思っていない。
娘コレーには愛情を注ぎ、この娘はやがて、冥王ハデスの妻・ペルセポネーとなった。

普段は温厚である彼女には、女神としての恐ろしい一面もあり、私欲のために過度な森林伐採を行った人間には、“飢餓”という罰を与えることもある。

また、求婚してきた兄・ポセイドンに対し、「最も美しい陸上の生物」を自分に贈るように求めた。

ポセイドンは苦労し、多くの動物を誕生させたが、この時にできた最も美しい生物が“”だとされている。(馬が完成するまでに、キリンやラクダ、カバなどの多くの失敗作が生まれた、と言われている。)

そして馬の出来栄えに感心したデメテルは、ポセイドンの求愛を受け入れたのである。

ゼウスと兄弟神の関係について

現代の感覚で驚いたのは、やはり兄弟間での恋愛関係があったことである。

好色なゼウスは姉たちにも求婚しており、そのうちの1人は正妻になっていた、ということにも驚きだが、ゼウス以外の兄弟神たちも、お互いに恋愛をしていたことも発覚し、それにも驚いている。

だが、世界中の神話の中にも近親婚は多く見受けられるし、特にギリシャ神話の中では近親婚は当たり前、という感覚であったようだ。
(ギリシャ神を信仰していた人間の中には、近親婚という文化はなかったということがわかっている。)

今回ご紹介した5柱の神々たちは皆、誕生してすぐに、「自分の子供が、支配者の地位を脅かす」という予言を信じた父神・クロノスによって飲み込まれ、彼の身体の中に閉じ込められていた。

しかし末っ子であるゼウスだけは、母レアに助けられ、やがて成長すると父・クロノスを倒し、閉じ込められた兄弟たちを救った。
このことにより、ゼウスはギリシャ神の中で最高神の地位を与えられた、と言われている。

兄弟たちにとって、ゼウスはまさに“救いの神”であったといえるだろう。

 

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