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アメリカ議会公聴会で軍のUFO・UAP存在隠蔽を内部告発
近年、アメリカ政府は、UFO(未確認飛行物体)とUAP(未確認異常現象)について、信頼できる目撃者たちの証言による精査を強化している。
2023年7月26日、ワシントンでアメリカ政府下院国境安全保障および外交問題小委員会が開催した、「未確認の異常現象:国家安全保障、公共安全、政府の透明性への影響」と題した議会公聴会で、3人の主要証人が、
「アメリカ軍は、UFOやUAPの情報を隠蔽している。
政府は公表してきたこと以上のことを知っており、機密扱いで重要な情報を隠している。
アメリカ政府は、地球外起源の宇宙船、地球外生命体の遺体を回収し、それらに関する情報を隠蔽している。」
と証言した。
3人の主要証人は、2014年にUAPを目撃した経験がある、元アメリカ海軍パイロットのライアン・グレイブス氏、
戦闘機のパイロットとして2004年に謎の飛行物体に遭遇した経験を持つ、元アメリカ海軍司令官のデビッド・フレーバー氏、
幹部として叙勲を受けたアメリカ軍退役軍人で国防総省の情報将校であり、UAPタスクフォース代表を務めたデビッド・グルーシュ氏である。
民主党のジャレッド・モスコウィッツ下院議員(フロリダ州)は公聴会の開会挨拶で、
「アメリカ国民には、起源不明のテクノロジー、人間以外の知性、説明不可能な現象について学ぶ権利がある。
しかし、機密情報の開示は慎重に行う必要がある。」
と述べ、
2011年のオサマ・ビンラディン収容所襲撃で使用されるまでステルスヘリコプター技術の存在が公に知られていなかったことを指摘した。
そして、
「しかし、それが真実を闇に葬る盾として利用されることは許されない」
と付け加えた。
国防省元幹部、内部告発のきっかけはアクセス拒否と情報公開への脅迫
2019年から2021年までの期間、国防総省のUAPタスクフォースの代表を務めたグルーシュ氏は証言の中で、
「公務のプロセスで、数十年にわたるUAP墜落機の回収と解析計画、リバースエンジニアリングプログラム(内部構造を理解するために、分解しながら仕組みを観察するプログラムシステム)の存在を知らされたが、
プログラムへのアクセスを拒否されたことが、内部告発することに踏み切るきっかけとなった。内部告発は、正当性と奉仕活動の長年の実績を持つ個人から私に提供された情報に基づいている。」
と主張した。
さらに、グルーシュ氏は
「この国では、写真、公式文書、機密口頭証言の形で、私や私のさまざまな同僚の多くに対して説得力のある証拠を多数、共有してくれている。」
と述べた。
モスコヴィッツ下院議員はグルーシュ氏に対し、
「先端技術における非認可プログラムについての知識はあるか?
起源不明の航空機の墜落現場の画像を見たことはあるか?」
と尋ねたが、グルーシュ氏は、
「これらのプログラムは存在しているが、議会の監視外にある。
起源不明の航空機の墜落現場の画像については、オープンかつ非機密の場で答えを議論することはできない。」
と答えた。
これは、アメリカ軍がUFOやUAPの情報や物的証拠を隠蔽していることを示唆している。
共和党のティム・バーチェット下院議員(テネシー州)が、
「未確認の航空現象を否定するための、アメリカ政府によるネガティブキャンペーンはこれまでにあったか?」
と尋ねたのに対し、グルーシュ氏はそれを認めた。
実際にグルーシュ氏は、関係者から違法な脅迫を受けたこともあり、弁護士を通じて苦情を申し立てている。
アメリカ空域でのUFO、UAP目撃は日常茶飯事の事実
共和党のエリック・バーリソン下院議員(ミズーリ州)もグルーシュ氏に対し、
「あなたは、『アメリカ政府は無傷の宇宙船と、宇宙人の遺体や外来種を持っている。』と述べたが、実際に宇宙船を見たことはあるか? 宇宙人の遺体を見たことはあるか?」
と同様の質問したが、グルーシュ氏は
「それは私自身が目撃したことではない。
しかし、UAP墜落事故で回収された証拠品の中には、生物製剤の一部が含まれていた。」
と明確に答えた。
「それは人間を意味しているのか、人間以外の生命体を意味しているのか?」
という共和党のナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州)の質問にも、グルーシュ氏は
「人間ではない。
それは私が話したプログラムについて直接的な知識を持つ人々の評価だ。」
と毅然と答えた。
2014年にUAPを目撃した元アメリカ海軍パイロット、ライアン・グレイブス氏は、
「アメリカの空域では、UAPが異常なまでに過小報告されている。
こうした目撃情報は日常的に起きていることで、珍しいことでもなく、孤立したものでもない。
軍の航空乗組員や民間パイロットなど、正確な身元確認に命がかかっている訓練された観察者は、こうした現象を頻繁に目撃している。
アメリカ東海岸で活動する海軍飛行士たちが、ハリケーン級の風にもかかわらず静止しているように見えた物体が、突然超音速に加速する様子を目撃したこともある。」
と証言した。
キャリアへの影響を恐れ、UAP目撃情報を公表できないパイロットたち
グレイブス氏はさらに、
「同様の遭遇を経験した他のパイロットたちは、歴史的にそれらを報告することを躊躇してきた。
UAPに対する『汚名』は、現実的かつ強力で、それは国家安全保障に挑戦することになるので、職業上の悪影響を恐れる民間パイロットたちを黙らせ、目撃者の意欲を失わせている。
目撃証言の信頼性を疑問視する最近の政府の主張は、状況をさらに悪化させるだけだ。
NASA内に設置されたUAP研究グループによる『航空安全報告システム』は、民間航空の安全に関して果たすべき大きな役割があり、それは組織としての本来の責務の1つである。」
と訴えた。
戦闘機パイロットとして2004年に未確認飛行物体に遭遇した経験を持つ、元アメリカ海軍飛行士のフレイバー氏は、委員会からの
「UAPは、アメリカの国家安全保障に潜在的な脅威をもたらすか?」
という質問に対してきっぱりと、
「はい。私たちが目の当たりにしたテクノロジーは、これまで私たち人間が持っていたどんなテクノロジーよりもはるかに優れていた。
アメリカ軍や政府が、UAPに関する報告をデータベース化していないのは茶番だ。
元F/A-18パイロットは、『この世のものではないと思われる航空機の加工や作業』に関して、政府の監督が欠如していることを懸念している。
2004年に私たちが取り組んだチックタックオブジェクトは、当時私たちが持っていたもの、現在持っているもの、または今後10年間で開発しようとしているものよりもはるかに優れていた。
実際にこの技術を備えたプログラムがあるのなら、アメリカにとって、そして国民にとって最善の道を歩むために選挙で選出した人々の監督を得られるのは素晴らしいことだろう。」
と、アメリカ軍や政府のUFOやUAPの情報隠蔽は、国民に大きな影響を及ぼす現実的事象であることを訴えた。
ガルシア下院議員「広大な銀河は答えのない疑問だらけ」
叙勲を受けたアメリカ軍退役軍人で国防総省の情報将校であるグルーシュ氏は、「UFO現象の『次元間の可能性』」についても質問を受けた。
グルーシュ氏は、
「『多次元性』と『ホログラフィック原理』の概念、つまり存在がどのようにして『高次元の空間から低次元の空間に投影されるか』についての考え方には精通しているが、これらは理論上のものだ。」
と答えた。
公聴会での審問中、3人の証人全員が、
「UFO、UAPは、アメリカの核能力、防空システムの脆弱性のテスト、アメリカ領空での偵察に興味を持っている可能性がある。」
とも語った。
公聴会の閉会の挨拶で代表者らは、
「この問題の核心は、宇宙船(異星の航空機)とされる証拠を捜し出すことではなく、むしろアメリカ政府に説明責任と透明性を求めることにある。」
と強調した。
民主党のロバート・ガルシア下院議員 (カリフォルニア州) は、UFOやUAPの謎の答えを見つけるために科学を活用する必要性を繰り返し述べ、
「透明性は政府の基礎だ。
私たちは広大な銀河に住んでいる。答えのない疑問がたくさんあるはずだ。」
と締め括った。
参考 : Space.com
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