歴史

眼鏡の歴史 について調べてみた 【原型は古代アッシリア】

眼鏡をかけた女性への「眼鏡萌え」や、眼鏡の似合う「眼鏡男子」が人気といった話をよく聞きます。

私も眼鏡を愛用していますが、仕事用のブルーライトカット眼鏡と、「ちょっと見にくいな~」というときにかける程度です。いつもかけないといけないほどの視力でもなかったので、コンタクトレンズも使ったことがありません。

少し前までは「眼鏡=地味」なイメージというのもあり、必要以外は使わないようにしていたんです。

ところが今は、眼鏡はファッションでもあり、ステータスでもある時代です。

ステータス・・・そうなると眼鏡のことをもっと知りたくなりました(笑)
そこで、今回は眼鏡の歴史について調べてみました。

鉱石のレンズ

眼鏡の歴史
※ニルムドのレンズ

眼鏡に欠かせないレンズですが、その原型は紀元前7世紀にあったといいます。

もちろん、ガラスではなくて水晶を磨いたもので太陽光を集めるためだったそうです。古代アッシリア(現・イラク北部)の遺跡から発見されたもので、発掘された遺跡の名前から「ニルムドのレンズ」と呼ばれました。

さらに紀元前1世紀頃には、古代ローマ帝国の皇帝ネロが、剣闘士の戦いを観戦するためにエメラルドをレンズにしたという記録があるそうですが、これは太陽光が眩しかったためでした。今のサングラスのようなものですね。

しかし、視力補正用としてのレンズの誕生についてはいくつもの説があります。

9世紀のスペインの学者が使っていたとか、10世紀頃にアラビアの数学者が考えたとかありますが、共通点もありました。半球形のガラスを磨いて、文字を拡大して見るための道具が「リーディング・ストーン」と呼ばれていたことです。

視力矯正眼鏡の誕生

顔にかけるタイプの眼鏡の誕生は、13世紀のイタリアと言われています。

当時、眼鏡が必要だった人は文字の読めるインテリ層でした。一方でキリスト教社会では「老いて物が見にくくなるのは自然なこと。神が与えた試練なのだから機械なんかに頼るのはけしからん!」という考え方もありました。でも、キリスト教の枢機卿が眼鏡をかけて書物を読んでいる肖像画が残されていることから、そうしたタブーだという考えは庶民の中だけだったようです。

また、レンズの普及には、ヴェネツィアの高度なガラス製造技術が背景にありました。ヴェネツィアン・グラスで有名なその技術によって、透明度の高いレンズを製造することが出来たのです。

この時代の眼鏡は凸レンズを使用していて、老眼用だったといいます。いずれにせよ、眼鏡という物が13世紀後半のイタリアで発明されたことは間違いないようです。

眼鏡が日本へ


※江戸時代の眼鏡

やがて凹レンズで近視が矯正できる事が発見されたり、その理論が発表されるようになって、17世紀の始めにはほぼ現在の眼鏡の原型が完成しました。といっても、当時は手持ちの眼鏡しかなかったので、つるの付いた眼鏡は、イギリスのエドワード・スカーレットという眼鏡屋さんが1727年に開発したそうです。

でも、当時のつるは弾性がなかったので、頭痛の原因となり一気には広まりませんでした。

さらに日本への伝来は、1551年、あのフランシスコ・ザビエルが持ち込んだものでした。周防国、今の山口県の大名、大内義隆に献上したのが最初といわれています。その他にも、室町幕府の12代将軍、足利義晴が持っていたり、徳川家康が使っていた眼鏡が残されているなど、やっぱり日本での需要も高かったようですね。

江戸時代には、眼鏡も日本国内で作るようになり、江戸や大阪などでは眼鏡屋さんも登場しています。

オシャレ眼鏡

ところでみなさん、旧い時代の眼鏡というとこのようなものを思い浮かべたことはありませんか?

これは「モノクル」と呼ばれるタイプの片眼鏡で、眼の周りのくぼみにはめ込んで装着するものです。でも、見るだけで疲れそうですよね?

実はモノクルは一時的に使うためのもので、フレームから伸びている紐で首から下げられているんです。例えば、老眼の人は近くのものが見えづらくなるので、文字を読むときだけ片目で使えるようになっています。

でも、モノクルはそれほど昔の眼鏡じゃないんです。19世紀にヨーロッパの上級階級で流行したものだったんですね。19世紀にはつる付きの眼鏡も普及して、眼鏡がファッションとして取り入れられた時代でした。そこで、多少不便でもモノクルを使うのが格好良い紳士の条件だったようです。

イギリスでは、主人が執事にこの片眼鏡を付けさせることも流行したそうです。そうすることが富の象徴でした。

眼鏡で大きくイメチェン!

最近の眼鏡はカラフルでバリエーションも豊富です。

レンズも度の入ったものだけじゃなく、素通しの伊達眼鏡にすることもできるので、純粋にファッションとしても楽しめます。

せっかくなので、興味のある人は眼鏡の世界を覗いてみませんか?

一番大切なのは、自分の気に入った眼鏡にすることですが、少し選び方を変えるだけで印象をもっと良くしてくれる眼鏡もあります。

例えば、ふっくらした丸顔の人には、顔を引き締めて、キリッと見せる「スクエア型」がオススメです。

また、面長の人にはオーソドックスで柔らかい印象を与える「オーバル型」などがいいでしょう。

最近では、レンズの下半分のみを覆う「アンダーリム型」の眼鏡も流行っていますが、この場合は眉毛やまつげなど、目から上のパーツを強調する効果があります。

皆さんも眼鏡を使って上手にイメチェンしてみませんか?

まとめ

今回調べてみて驚いたのは、ガラス製のレンズが発明される以前に、鉱石を磨いて眼鏡のように利用していたということです。視力矯正用ではないので、正確には眼鏡じゃないけれど(笑)
さらに片眼鏡やオペラを観劇するときに使用した柄付きの眼鏡も、実用性よりファッション性が強かったりして「今も昔も変わらないなぁ」ということです。今では矯正レンズ付きの眼鏡が5000円くらいから専門店で買えます。眼鏡をかけるだけでガラッとイメージが変わるので、チャレンジしてみてくださいね。

関連記事:ローマ皇帝ネロ
皇帝ネロ は本当に暴君だったのか?【ローマ帝国】
暴君ではない皇帝ネロの功績を調べてみた

 

アバター

クロワ

投稿者の記事一覧

フリーライターのクロワです。主に生活のなかで役立つ記事やトレンド記事などを書いています。よろしくお願いします

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 劉備玄徳が母親思いだったというのは本当なのか?
  2. 【編み物はいつ頃から始まった?】編み物の歴史 〜編み方の種類も紹…
  3. 【サダム・フセインの終焉】 湾岸戦争からフセインの処刑まで
  4. 今川義元は本当に暗君だったのか調べてみた
  5. 『シリア・アサド政権が崩壊』 主導した「シリア解放機構」って何?…
  6. 楼蘭の美女 「3800年前の美しい女性ミイラ」
  7. アメリカの歴史を簡単にまとめてみた
  8. 歴史上の変わったヘアスタイルについて調べてみた 【丁髷、辮髪、ト…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

渋沢栄一について調べてみた【資本主義の父、新一万円札】

近代日本において、この人物ほど様々な役職を持ち、国家の繁栄に尽力したものはいないだろう。…

【京都歴史観光】 幕末の京都。松平容保と会津藩士たちの足跡を追ってみた 「新選組の誕生」

時は幕末。文久年間(1861年)に入ると、尊王攘夷運動は最高潮の盛り上がりをみせるようになる…

古代ギリシャのファッションについて調べてみた

古代のファッション文化は、今でも受け継がれているものが多い。今回は西洋文明の発信地である、古…

シリーズ最高傑作『三國志13』の楽しみ方 ~天下統一編~

天下統一までの道前回は『三國志13』の戦闘面以外の楽しみ方を紹介したが、今回はシリーズの…

いろいろ食べるぞ!台湾の原住民 【飛魚の目を生で食べるタオ族】

台湾の原住民台湾には、政府によって認定されている原住民が16族住んでいる。ほとんどの原住…

アーカイブ

PAGE TOP