中国史

【古代中国の謎遺跡】 まるで宇宙人のような巨大仮面が発掘される 「三星堆遺跡」

巨大青銅仮面

三星堆遺跡(さんせいたいいせき)とは、1986年に中国の四川省広漢市、三星堆の鴨子河付近で発見された文化遺跡である。

2021年、三星堆遺跡において新たに謎の「青銅仮面」が発掘された。

この仮面は、目下発掘されてきた出土品の中でもかなり大きなもので、重量も青銅器の出土品の中で最も重かった。

出土時、仮面は顔を下に向けており(うつ伏せの状態)仮面の上には「10本以上の象牙」が重なっていたという。
この象牙を慎重に取り除くのに、専門家たちは三ヶ月もの長い期間を費やした。

では、その大きな青銅の仮面はどのような姿をしてたのだろうか。

奇妙な顔

「三星堆遺跡」

画像 : 巨大青銅仮面

三ヶ月もの期間費やして、ようやく地上に姿を現したのはなんとも奇妙な顔をした仮面であった。

太い眉に、大きな目と鼻、口を持っていた。
この世のものとは思えない、まるで宇宙人を彷彿とさせるような顔立ちをしていたのだ。

耳も非常に大きく、こめかみから顎にまで及んでいる。そしてこめかみと額部分には大きな穴が空いていた。

この穴は、仮面を木に固定するためのものであったとされる。

黄金の仮面も出土

2020年12月には、三星堆遺跡の5番坑から謎の「金の仮面」も出土している。

その大きさは、幅が23センチ、高さが28センチ、重さは280グラムほどであった。

残念なことに大部分は破損しており、その破損の原因は不明である。

「三星堆遺跡」

画像 : 黄金の仮面

もし完全な形で残っていたとしたら、500グラムほどの重さだったと推測されている。
仮に完全な形で出土していたら、中国国内で出土した最も重量のある黄金物品となっていた。

2021年の中頃にも、三番坑で黄金の物品が出土している。
それはまるで金箔の塊のようだったが、慎重に復元してみるとその黄金の塊もやはり「仮面」であったという。

目が飛び出た仮面

「三星堆遺跡」

画像 : 縦目人の仮面

さらに奇妙な仮面も出土している。両目が大きく外へ飛び出しているのだ。

まるで、カニの目のような姿をしている。この不可思議な姿の仮面から、宇宙人を連想する人も多くいる。

この目が飛び出ている理由については多くの説がある。一つはかつて三星堆遺跡付近の住人だった古蜀人たちの崇拝の対象であったということだ。(※古蜀とは古代の蜀にあった国)

目は太陽や光を表しており、それが飛び出しているということは未来への希望を表している。
この仮面のモデルとなった人々は、古蜀人たちから崇拝される司祭のような立場だったのではないかと推測されている。

そしてもう一つの説は、この司祭たちが「バセドー病」を患っていたのではないかというものである。

バセドー病は甲状腺の病気で、症状が重くなると目が次第に飛び出してくるのだ。
彼らは「縦目人」と呼ばれていた。
これが本当に病気だったのかは定かではないが、彼らは特別な存在とされていたようだ。

この奇怪すぎる数々の謎の仮面を見れば、三星堆遺跡を「宇宙人」の遺跡と連想してしまう人々がいても不思議ではないだろう。

発掘が進めば進むほど、三星堆遺跡の謎は深まるばかりである。

参考 : 中國三星堆遺址重大新發現.出土巨大神秘黃金面具

 

草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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