三國志

許慎とは ~最古の漢字辞典「六書」を作った後漢の儒学者

許慎とは

許慎とは

許慎

許慎(きょしん)とは、後漢の時代(紀元100年)に中国最初の字典「説文解字」を編纂した人物である。

漢字の成り立ちや歴史を調べ、漢字を六種類の分類に分けた。「六書」リクショと呼ばれる。

中国河南省の生まれで儒家の経典を研究した。文字研究の方面で最も偉大な功績を残した人物として知られている。

後に人は彼を「字聖」と呼んだ。

六書の定義とは

許慎は漢字を六つの分類に分けた。

1:指事 ある漢字は一目見ただけで大体の意味がわかる。さらに細かくみることによって、漢字の完全な意味を悟る事ができる。例:上、下、中、一、ニなど。
2:象形 漢字の形が実際の物の形と非常によく似ている。エジプトで用いられていた象形文字といった容量だ。 例:日、月、牛、羊など
3:形声 許慎は一つの漢字を二つに分けた。一つは形符(へん)一つは属性を表すもの(つくり)である。もう一つの種類は声符と音の属性である。例:江、河、楊など
4:会意 二つの部首を組み合わせる事によって成り立っている漢字。例:森、林、朝など
5:転注 本来の意味から派生してできた漢字。例:老、考、楽など
6:假借 あるグループの漢字は特に専門的な解説を必要とせず、音が似ているといった理由で使われているという。例:云、など。

許慎とは

六書

許慎の生きた時代は多くの学者がそれぞれ研究を進めていた。競争の激しい時代であったに違いない。

彼は38年の年月をかけ説文解字を編纂し、多くの学者に刺激を与え、文学研究界をより一層盛り上げるものとなった。

許慎と皇后

許慎は中国の偉大な文字学者として広く知られ、古文学術から政治的にも大きな影響力を持っていた。

研究者として文字と向き合っていた許慎だが、あるとき太后の怒りを買い、命を落としかけた。
温厚で研究熱心な許慎が、一体どんな理由で命を落としかけたのか。

許慎は研究の過程で、当時太后であった竇太后(とうこうごう)のという漢字の意味について解説した。※竇太后(後漢11代皇帝漢桓帝の3人目の皇后) 生まれた年は不明(2世紀〜172年)

「竇」は穴という意味があり、良い意味ではない。使い方の一例として「狗洞」(犬の穴)犬の穴から出入りする、転じて人間として恥ずべき裏切りや不道徳な行為をする。という意味である。

許慎は太后に気を使う訳でもなくこれを「説文解字」の中で触れたのである。

許慎とは

研究中の許慎

その事が太后の怒りに触れた。さらに悪いことに後に自分の名前に含まれている意味と同じことが彼女の身の上の起き、長年に渡って悩ませる事になるのだ。

許靖は太后の怒りに触れたがなんとか死は免れた。それには許慎の妻が関係している。

妻は「天賜公主」と呼ばれ、天が授けた姫という意味である。風が強いある夜、突然宮の中に一人の花のような娘が飛ばされてきた、そして太后の見ている前で、木の枝に引っかかった。そして太后に気に入られ、そばで使えるようになったという。

後に許慎が宮で使えるようになってから、彼女を妻として与えた。そういう経緯もあって、太后の怒りは買ったものの官職を解かれるに止まり、妻と共に無事に元の生活に戻ったという。

そのような経緯があってか、38年もの歳月をかけ編纂した「説文解字」は、当時評価されなかったという。

とはいえ彼の研究は現代に至るまで伝わっており「六書」は現代日本語教育の中でも採用されている。

こうして世界で最も古い漢字辞典「六書」が作られた。現代でも多くの学者が許慎の「説文解字」を参考にし、研究している。

 

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