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ベーシックインカム について調べてみた【導入国はある?】

皆さん、ベーシックインカムって知っていますか?

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、国民が生活をするのに必要な最低限の現金を政府が支給する制度のことです。

それなら日本にも生活保護があるじゃない?」と考える人もいるでしょうが、社会保障制度という意味では同じでも、内容は全く違います。

では、ベーシックインカムとはどのような制度なのでしょうか。

日本の社会保障制度

ベーシックインカム

日本は世界的に見ても社会保障制度が充実していると言われます。
老齢年金、失業保険、障害年金、生活保護、そしてもっとも私たちが身近に感じる健康保険も社会保障制度があるおかげです。

しかし、これらの制度はすべて「事情によって生活に支障が出たり、最低限の生活も出来ない場合」に給付されるもので、種類や等級により支給額も異なります。さらに障害年金や生活保護については厳しい審査があり、それに通らない場合はいくら「生活が出来ない!」と訴えても給付されません。

さらに生活保護には受給するための条件として、車の所持や運転を禁止したり、収入が発生した場合には給付額から収入分が差し引かれ、給付額を上回る所得は得られないんです。

ベーシックインカム

ベーシックインカム

では、具体的にベーシックインカムと現行の社会保障制度は何が違うのでしょうか?

ベーシックインカムの最大の特徴は、労働者・非労働者・年齢・性別等に関係なく、全ての国民が一律の金額を給付されるということです。つまり、個人の事情は関係ないんです!
しかも、労働者も受給できるということは、生活保護と違って所得の制限も関係ありません。

夢のような制度ですね。

なぜ、このような制度が考えられたのかというと、近年、ヨーロッパ諸国の社会保障制度があまりに複雑なため、社会保障を受けている失業者の間で「働いたら保障が受けられなくなってしまう」という不安の声が上がりました。

要するに「働いて低いお給料をもらう代りに社会保障の恩恵を受けられなくなるなら、失業したままのほうがいいんじゃないか?」という不安です。そのせいで、お給料の安い仕事をする人が減ってしまうという問題が起こったのです。

メリット

ベーシックインカム

そこで考えられたのがベーシックインカムの制度というわけです。
最後に詳しく説明しますが、ベーシックインカムを導入するということは社会保障制度そのものを根本から変えて、よりフェアで効率的な所得を配分できるということになります。

しかし、あまりに良い話なので怪しむ人も多いでしょう。私も調べるまではそう思っていました(笑)

そこで、ここではベーシックインカムを導入するメリットを見てみましょう。

まず、所得の制限がないので、労働のスタイルを自由に決められます。正規雇用にこだわることもなく、ブラック企業に縛られることもありません。極端な話ですが、贅沢をしなければ働かなくても生活が出来ます。逆に生活水準を上げたい人は給付金+給与によって豊かな生活が送れます。

そして何より心に余裕が生まれます。
お金の心配をしなくていいのは勿論、パワハラなどに苦しむ人にとっては精神疾患を起す可能性が低くなり、政府が負担する医療費を抑えることにもなります。

デメリット

ベーシックインカム

次にデメリットですが、これは皆さんももうお分かりですよね。

財源」です。

これほど多額の財源をどこから捻出したらいいのか明確な答えが出ていません。
ちなみに内閣府の資料によると2016年度の日本の社会保障給付費は、118.3兆円。私たちの頼りである保険料だけで66.3兆円という金額です。

これについては、現行の税制を大幅に見直すのが一番現実的ですね。

さらに、働かない人が増えるという懸念もあります。というか、ベーシックインカムで一番批判されるのがこの問題だそうです。確かに税金は今も払っていますし、制度を変えることもなんとか可能でしょう。でも、働かない人が増えるというのは社会的にも大きなダメージとなってしまいます。

企業側も人材確保が難しくなり、経済競争力がなくなる不安もあります。ベーシックインカムがあることでお給料の額よりも興味のある仕事、やりたい仕事を選ぶ人が増えるからです。

でも、病気などで働けない人を除けば、生活水準を同じレベルで維持するか、より豊かにしたいと思う人のほうが多いだろうから、労働力の問題も大丈夫だという意見もあります。

世界初のベーシックインカム導入国

2017年1月1日、フィンランドがベーシックインカム制度を世界で初めて導入しました。試験的な導入のため、無作為に選んだ2000人の失業者に対して月に560ユーロ(約6万8,000円)を支払うというもので、国家レベルでは初の導入となります。

今後、2年間の実験でベーシックインカムが失業率の低下に影響を与えるのか調べるそうです。

その他にも導入している国を探しましたが、スイスでは2016年6月に国民投票によってベーシックインカム導入が否決されています。理由は上に書いたデメリットの通り。

それでも、地域レベルではアメリカ、カナダ、イギリス、オランダなどで試験的な導入が計画されているそうです。

まとめ

試験的にですが、フィンランドが世界に先駆けベーシックインカムを国家レベルで導入していることがわかりました。

メリットもあればデメリットも数多くあります。財源の確保と並んで、今までの社会保証制度を「えいっ!」と全部取り払ってから導入するというのが大変そうですね。すでに年金などの給付を受けている方たちが不利にならないようにしなければいけません。

日本でもベーシックインカムについて議論が行われているそうなので、今後は益々目が離せません!

 

クロワ

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コメント

  1. アバター
    • 伯倫
    • 2019年 1月 25日 7:30pm

    別に既存の社会保障をやめる必要はありませんし、デフレの是正をするのに増税など言語道断。
    金が足りないなら刷るのが国家の最重要責務です。
    それに、最低限の金が配られるからって仕事を辞める人は少数派でしょう。
    人間は、何もしないことにだけは耐えられませんので。

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