犯罪事件史

刑務所の休日と共同室の生活について

刑務所の休日と共同室の生活について

刑務所での休日は「免業日」と呼ばれています。土、日、祝祭日がそうです。基本的に一日中居室で過ごします、その他に月2回「教育的処遇日」と言う特別な日もあります。

「免業日」だからと言って刑務所の中を散歩する事や隣の部屋に遊びに行くことはできません。
懲役にとっては休日も長くて辛い一日なのです。共同室の場合は、碁、将棋、雑談、など出来ますが、たまたま仲の悪い人が同室の場合、工場での作業のほうがまだ良いかもしれません。

共同室は365日24時間一緒

特に共同室で生活している人たちは、工場も一緒、部屋も一緒、食事も一緒、何もかも、1年365日24時間一緒なんです!
仮に愛し合っている夫婦でさえ一年365日24時間一緒に居られますか?
それも、むさ苦しい男5~6人で、しかも狭苦しい一つ部屋で、寒い日は毛布にくるまり、暑い日は汗を流しながら、そして一日中じっーとして!!
これは体験した人ではないと想像できないと思いますが、懲役は皆「」の一文字を貫いて我慢しています。

大体の部屋では毎週土曜日か日曜日に大掃除を行います。娑婆のお掃除屋さんが顔負けするほど綺麗にします。
特に共同室は、完璧に仕上げます。「あんた娑婆で掃除なんかした事あんのか?」と思える人まで一生懸命綺麗にします。
特にトイレは舐めても大丈夫ぐらい磨き上げます。洗濯、洗髪、拭身と何でもありのプライベートルームとなるからです。

共同室と単独室の違い

共同室と単独室では天国と地獄ほどの違いがあります。

単独室の場合は共同室のような決まり事は無いので、掃除はやってもやらなくても個人の勝手。綺麗好きな人は毎日しますが、汚い人は娑婆で言うと「入居から引っ越しまで一度も掃除はいたしません!」というような部屋もあり、カビだらけ、チリだらけ、フンだらけ、よくまあこんな部屋に入っていましたね! と思うような汚れ方。
敷金、礼金、頂いていませんので、次に入居する人が全て負担となります、次の人は自分の運の悪さを恨むしかないですね。

共同室は24時間一緒なので嫌いな人でも家族のような感じになってきます。工場で何か揉め事でもあると心配してくれて心強いこともありますが、逆に部屋で揉め事などあると「これは部屋事だから!」と言って他の部屋の人には明かさず、秘密を守る刑務所ルールのようなものがあります。

部屋での不正などを他の部屋に漏らさない為にできた暗黙のルールなのかもしれません。
部屋によっては様々な決まり事があるようです。

共同室では月ごとに順転する刑務所もありますが、1番席から古い者順に2,3,4,5,6・・・と番席があります。寝る位置と食卓の位置、点検を受ける位置が決まっています。1番席が部屋では最古参の房長で、部屋の中では権力があると言うか世話係というか微妙な地位でもあって、嫌なことは房長に押し付けられたり、人柄にもよりますがリーダーシップをとる存在です。

又、部屋には必ず一人は鼾(いびき)のひどい人がいます、そんな奴の隣にでも寝たらもう大変!
こればっかりは致し方ないこととは分かっていますが、またそう言う鼾男ほど寝つきが早く段々憎たらしくなり、蹴っ飛ばしたり、鼻にチリ紙詰めたり、そのうち、「お前うるさいから出て行け!」とまで言われます。

喧嘩が多くなる

共同室はどうしても我慢できずにケンカや口論などをしてしまう場合があります。
ケンカした場合は両人は有無も無く連行ですが、ケンカには全く関係ない同室の者も全員連行され調査を受けます。
原因や関連性など調査され関係ないと解れば部屋に戻されます。

話がややこしくこじれた場合など、関係ない者でも長い時には1~2週間も調査で帰ってこない場合もあります、たまたま規則違反が集中した場合などは調査期間が長くなり隔離されます。

前に務めた工場での出来事ですが、作業中の2人が突然取っ組み合いのケンカ始めました。すると「止めるな!」と親父(工場担当)が叫んだ事がありました。

この人何言ってんの?ケンカ止めちゃーいけないの?と思いましたが刑務所では取っ組み合いのケンカを止めるのも規則違反になります。
どちらかに助勢したと疑われるのです。
その時、親父は俺たちが巻き込まれるのを防ぎ守ってくれたのだと後から気付きました。

教育的処遇日

教育的処遇日」は月2回平日に行われます、その日は矯正テレビやラジオを聞いて感想文を書きます。刑務所によって様々のようです。
ただし「免業日」と違い雑談、囲碁、将棋は禁止です。

この日も長い一日となります!

何千、何百人居る刑務所がお通夜のようにシーンと静まり返ります。
想像してみてください!何千、何百の人間が蠢いているのに話し声一つ無く、少しの生活音だけ。ただならぬ空間、初めて見る人はその雰囲気に恐怖を感じると思います。
手紙を書くことは許されています。手紙と面会だけが唯一の娑婆との通信手段なので発信許可の出ている人だけには書くことができます。

本を送れ、金入れろ、面会に来い、何で手紙をよこさない、誰々に連絡しろ、これは私が女房によく送った文面です。その女房も4回目の懲役で、さすがにあきれ返って懲りたのか、他人となる手続きを取ってしまいました。
今考えると社会では、懲役なんかを気遣う暇や余裕なんかないですよね!

黙っても三度のメシと着るものと住むとこまで与えられる懲役と、厳しい社会の中で子供を育て学校に行かせ、何年か振りには帰っては来るが、いつ又刑務所に戻るか、当てにならないトーチャンに。
あんたお願いだからそのまま刑務所に入ってて!その方が安心だから!」(元女房の言葉)そうなっちゃいますよね!

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刑務所に6回入所。計16年程の服役。みなさんが知らない裏側の刑務所情報、本当の仕組み、本当の生活状況、など書ければと思っています。

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