ミリタリー

イージス艦について調べてみた【最新の対空システム】

原子力空母と共に、その名を耳にする機会が多い「イージス艦」ではあるが、どのような役割を持った軍艦なのかはあまり知られていない。

しかし、現在の艦隊はイージス艦なくしては編成できないといっていいほどに重要な役目を担っていた。

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イージスシステム

イージス艦

※戦闘指揮所内

イージス艦の戦闘指揮所内。42インチ大の液晶ディスプレイによって視覚的に外部の情報を把握することができる。

イージス・システム(英語: Aegis System)は、アメリカ海軍によって、防空戦闘を重視して開発された艦載武器システムのことである。正式名称はイージス武器システムMk.7(AEGIS Weapon System Mk.7)であり、頭文字をとってAWSと通称される。

簡単にいえば、艦隊を攻撃しようとする敵の航空機やミサイルなど、空の脅威に対して、迎撃を行うためのシステムのことだ。

イージス(Aegis)とは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが娘アテナに与えたという盾であるアイギス(Aigis)のこと。この盾はあらゆる邪悪を払うとされている(胸当との異説もある)。

従来、空の脅威から艦隊を守ってきた各種の艦対空ミサイル・システムは、いずれもせいぜい1〜2個の空中目標に対処するのが精一杯であり、また意思決定を全面的に人に依存していたことから、応答時間も長かった。そこで、1960年代末から1970年代にかけて開発されたのがイージス・システムである。イージス・システムのなかでは、レーダーなどのセンサー・システム、コンピュータとデータ・リンクによる情報システム、ミサイルとその発射機などの攻撃システムなどが連結されている。

これによって、防空に限らず、戦闘のあらゆる局面において、目標の捜索から識別、判断から攻撃に至るまでを、迅速に行なうことができる。本システムが同時に捕捉・追跡可能な目標は128以上といわれ、その内の脅威度が高いと判定された10個以上の目標を同時迎撃できる。このように、きわめて優秀な情報能力をもっていることから、情勢をはるかにすばやく分析できるほか、レーダーの特性上、電子妨害への耐性も強いという特長もある。

しかし、システムを操作するのはやはり人間である。特にイージスシステムは、複数のシステムを統合させて完成するため、扱う人数も多くなる。結果、下の図のように艦内の窓もない位置にある区画はCIC(戦闘情報センター)と呼ばれ、ここに多数のオペレーターが配置されている。


※イージスシステムのCIC(戦闘情報センター)配席図

イージス艦


※アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦

イージス艦とは、イージスシステムを搭載するあらゆる艦艇を示す総称である。したがって、巡洋艦、駆逐艦といった軍艦の種類を限定するものではなく、実際、2013年現在で、巡洋艦、駆逐艦、フリゲートの3つの艦種に搭載されており、今後も発展するだろう。

ちなみに巡洋艦は「遠洋航行能力・速度等を生かした攻撃力を持たせた軍艦

駆逐艦は「もともとは魚雷を装備した小型艇を駆逐するための艦という意味だったが、現在は、対艦、対空、対潜水艦能力を併せ持ったオールマイティな軍艦

フリゲート艦は「小型の駆逐艦」といったところである。

つまり、駆逐艦を中心に、速度の速い巡洋艦と小回りの利くフリゲート艦で艦隊を構成したり、空母の護衛に当たるのだ。

イージス艦は、対空・対艦・対潜水艦など、戦闘のあらゆる局面において、脅威となる航空機や艦艇の捜索から識別、意思決定から攻撃に至るまでを、迅速に行なうことができる。その性能の良さから、90隻と多数を保有するアメリカ合衆国においては、艦隊防空のほかにも、トマホーク巡航ミサイルによる対地攻撃から海賊の取り締まりに至るまで、様々な任務に使われている。

その一方で、イージスシステムそのもののコストが高く、技術的にも極めて機密のレベルが高いため、開発国のアメリカの他には配備されている国は少ない。

艦隊配備


※初のイージス艦、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦

初のイージス艦となったのは、スプルーアンス級駆逐艦をベースに、1983年より建造されたタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦だった。

これは画期的ではあったが、イージスシステムの搭載が最初の設計には盛り込まれておらず、イメージ的には「すでに決まっていた設計にイージスシステムの置き場所を強引に作った」ため、「イージスシステム専用艦」とは呼べない。

一方で、1991年より就役を開始したアーレイ・バーク級は、最初からイージス艦として設計されたため、イージス・システムの搭載に最適な設計になっている。スペース的な制約がなくなり機関配置なども余裕を持って行えた。アーレイ・バーク級こそ「イージスシステムを搭載するために設計された」初のイージス艦といえるのだ。

このアーレイ・バーク級をベースとして、独自の運用要求を加えて建造されたのが、1998年までに4隻が就役した日本のこんごう型ミサイル護衛艦である。アメリカ以外では初のイージス艦で、指揮統制能力も強化された。

日本が採用した後には、スペイン、ノルウェー、オーストラリア、韓国などでもイージス艦が就役している。


※こんごう型ミサイル護衛艦

海上自衛隊の「こんごう型」の4隻はミサイル防衛に対応した改修がおこなわれ、日本におけるミサイル防衛の重要な存在となっており、北朝鮮によるミサイル発射実験に対して発令された破壊措置命令4回すべてに出動している。

さらに就航以後も追加改修が行われており、今後も日本の海と空を守ってくれることだろう。

イージス艦 の役割


※艦対空ミサイルを連続発射するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦

ここで、もう一度イージス艦の役割を確認しておこう。

現代の海軍は、第二次世界大戦までのように戦艦同士が大砲で撃ち合うようなことはない。その代わりに、強大な攻撃力を持つ空母を中心に、遠方から敵に攻撃を仕掛ける戦術になっている。そのため、軍艦の役割も変わり、イージスシステムを搭載した艦は、空の脅威から艦隊や国土を守るようになった。

例えば、レーダーで探知した敵の航空機をコンピューターが識別し、対空ミサイルを発射して撃墜したり、地上から発射された弾道ミサイルを海上で撃ち落すことなどが主な役割となっている。

しかし、一方で弱点もある。

民間偽装した小型ボートによる自爆攻撃が行われ、12mの亀裂が発生し米水兵死者17名・負傷39名の被害を出したことがあった。

これは、優れたレーダーを持つ大型艦でも接近攻撃には弱いということを露呈した。また、イージスシステムの管制能力により様々な兵器が装備できるようになったイージス艦には大型艦が多い。そのため、湾内あるいは沿海域においては、民間小型船に接近し衝突するリスクがあり、大型艦であるが故に狭い湾内等では回避運動が難しい事があげられる。

最後に

自衛隊でもイージス艦の役割は非常に大きい。特に弾道ミサイルの脅威に対応するために、様々な運用方法の研究、訓練が行われている。

なかには、米軍と合同で「東アジアのある大国」が弾道ミサイルを発射したことを想定した訓練なども極秘に行われているのだ。

関連記事:空母
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