ユーラシア大陸最西端の国「ポルトガル」は、歴史を物語る遺産や伝統に満ち溢れた場所だ。
1年を通して温暖な気候に恵まれ、ゆっくりと静かに流れる時の流れを感じながら過ごせるところもポルトガルの最大の魅力である。
目次
負担を感じない安価で楽しめる「ポルトガル」旅行
隣国であるスペインへの注目が集まり旅行先に選ばれる機会が少なかった「ポルトガル」に、人々の高い関心が寄せられるようになった理由として物価の安さが挙げられる。
観光者向けのレストランではやや高めの値段設定が目立つ所も多いが、地元も人々が通いつめるカフェや食堂では、5ユーロ(日本円で¥650前後)からのメニューを楽しむことができる。
交通費や観光費においても、リスボン市内で利用できる『リスボア(Lisboa)カード』を持ち歩くことで料金を抑えることができる。
この20ユーロ(日本円で¥2,600前後)から購入できる『リスボアカード』を常に利用することで、リスボン市内の公共交通機関の乗り放題パスと、美術館や世界遺産への入場料金を割引及び無料の特典を同時に受けることができるからだ。
リスボアカード公式サイト
https://yokoso-portugal.com/home/lisboa-card/
リスボンには『ヴィヴァ・ヴィアジェン(Viva Viagem)カード』と呼ばれる公共交通機関の料金の割引に特化した交通カードもあるため、個人の旅の目的や移動手段に合わせて使い分けることをお勧めする。
「ポルトガル」では、リスボン以外の都市でも、その都市ごとに特化した交通費と観光費の割引カードが発行されているため、費用の負担を抑えながらのヨーロッパ旅行先として非常に人気が高い。
地下鉄の券売機や主要駅のチケットオフィスで購入できる。
「ポルトガル」を象徴する芸術品『アズレージョ」と『ガロ』
「ポルトガル」を旅する中で多く目にするのが、『アズレージョ』と呼ばれる街角に広がる芸術品のタイルアートだ。
教会や駅の外壁を彩る『アズレージョ』は、アラブ文化に影響を受けていたスペインから伝わって以降、500年位以上もの間「ポルトガル」文化の象徴として親しまれ続けている。
当初は、次の世代に「ポルトガル」の歴史や文化を伝えることを目的に制作されてきたが、芸術性をより高めるために風景画や神話のワンシーンなどが『アズレージョ』に描かれるようになった。
その後は食器などの日用品のデザインにも使用され、青い単色から黄色や緑の差し色が特徴の多彩色の幅広いデザインも普及する。
そしてもう一つ、「ポルトガル」の芸術品を語る上で外せないのが雄鶏をモチーフとした『ガロ』と呼ばれる伝統工芸品だ。
「ポルトガル」の『バルセロス』という都市に語り継がれる『バルセロスの雄鶏伝説』から誕生した『ガロ』の工芸品は、「ポルトガル」土産として最も有名なものだ。
その昔、『バルセロス』のある小さな宿から銀貨が盗まれる事件が発生し、郊外から巡礼に来ていた若い修道士の青年が濡れ衣を着せられてしまう。
実刑を言い渡された青年は無罪を訴えながら裁判官の家を訪れ、食卓に並べられていた鶏の丸焼きを指し、『私の刑が執行される際に、この雄鶏の丸焼きが鳴いたら、私が無罪であることが証明される。』と言い放つ。
最初は誰も信じなかった青年の言葉であったが、刑が執行されようとしたその瞬間、丸焼きにされていた雄鶏が突然立ち上がり鳴き始めたことで、青年の無実は証明され一命を取り止めたといわれている。
この伝説が語り継がれると共に、ポルトガル語で鶏を意味する『ガロ』と名付けられた奇跡と幸福を運ぶ雄鶏の伝統工芸品が誕生した。
フォトジェニックな旅路と呼ばれる「ポルトガル」のカラフルな街並み
フォトジェニックに適した写真が撮影できることでも有名な「ポルトガル」には、カラフルに彩られた都市が多く存在する。
中でも有名な2カ所が小さな港町である『コスタ・ノバ』と空一面に傘が舞う『アゲダ』だ。
ストライプ柄の家がぎっしりと立ち並ぶ『コスタ・ノバ』は、涼しげな外観とその可愛らしいさが話題となり、この場所で撮影を行うことが旅の醍醐味となっている。
漁業の道具を保管するために使用されていた建物を住居用に改装したことで別荘としての需要が高まり、『コスタ・ノバ』の知名度も上がった。
くっきりと描かれたストライプ柄が印象的なことから『パジャマ・シティ』と呼ばれることもある。
カラフルな傘が空一面に広がる『アンブレラ・スカイ・プロジェクト』は、今では「ポルトガル」に限らず、世界の観光名所で見ることができる光景となったが、その火付け役となったのが「ポルトガル」の『アゲダの傘まつり』だ。
毎年7月から9月を目処に開催されている『アゲダの傘まつり』は、旅の記念にはもちろん、フォトウエディングの場所としても選ばれることが多くなり、観光業以外の経済効果にも貢献している。
日本人に受け入れやすい「ポルトガル」の食文化から見る移住への憧れ
大西洋の海に面した「ポルトガル」では新鮮な魚介類を使用した食文化が根付いており、特に白身魚の『鱈(タラ)』を用いた料理が多い。
「ポルトガル」のレストランでも干し鱈を使用したメニューが充実しており、魚料理を日常的に食する日本の和食に共通する部分がある。
近年、日本からの海外移住先の候補としても「ポルトガル」の名前が挙がるようになった背景には、こうした国産の新鮮で良質な食材が安価で入手できる「ポルトガル」の生活環境が大きく関係しているのだろう。
米やパン、ジャガイモを主食とし、日本人にも受け入れやすい素材の味を活かしたあっさりとした「ポルトガル」料理の味付けは、異国での食文化に対するストレスの軽減にも繋がる。
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