家庭の数だけ様々な教育方針があるように、両親の世代によっても子供の将来に期待する想いに違いがある。
『絶対にこうあるべきだ。』という正解がない子育てに葛藤し続ける両親の心情は計り知れない。
韓国では、子供を育てる両親のメンタルケアも兼ねた教育番組の制作が盛んに行われている。
同じ子育ての悩みを共有できる場としても人気があるが、その中でも人々の関心を集めているのが、小児青少年精神医学を専門とした「オ・ウニョン医師」の存在だ。
話題の芸能人よりも会いたい人といわれるほど、注目を浴び続ける彼女の魅力とは一体どのようなものなのだろうか。
韓国中の視聴者が熱い視線を送るオ・ウニョン医師とはどんな人?
大学の医学部を卒業したオ・ウニョン医師は、大学院で博士号を取得後、児童精神科を専門とした精神科医として活躍し始める。
鋭く的確な心理分析に加え、親しみやすい話し方が評判となった彼女は、2005年から約10年間放送された韓国の教育番組『我が子が変わりました。(原題:우리 아이가 달라졌어요 )』への出演を機に、韓国全土で注目を浴びる存在となった。
2022年の現在も、児童心理学から夫婦カウンセリングまでといった幅広いメンタルケアを中心とした4本のレギュラー番組を受け持ちながら、自身が代表を務める精神健康センターの運営、執筆活動、地方での講演会も並行して行っている。
医師としての顔の他にも、YouTubeチャンネルやInstagramといったSNSの発信も精力的に行なっていることから、若年層からの支持も熱い。
YouTube : https://www.youtube.com/channel/UCc8-vc45vK1-kUFZvii7s5g
Instagram : https://www.instagram.com/oheunyoung.official/?hl=ja
・韓国書籍 著者オ・ウニョン「オ・ウニョンの和解」
韓国発の子育て番組は悩める家族の『最後の頼みの綱』
オ・ウニョン医師の専門でもある小児青少年精神医学に特化した番組『最近の子育て〜かけがえのない我が子〜(原題:요즘 육아 금쪽 같은 내새끼)』は、日常生活の中で垣間見える子供の言動を分析し、家族が抱える苦悩をオ・ウニョン医師が紐解いていく密着型子育て番組だ。
オ・ウニョン医師自らが、子供たちとのカウンセリングの時間を設け、イラストでの精神鑑定や、家族には話しづらい胸の内を聞き入る場面が番組の見所でもある。子供の不安定な心理状態を分析する上で、オ・ウニョン医師は必ず、相談者である両親の幼少期時代の話に耳を傾ける。
これは長年に渡って、様々な症状を抱えた子供たちを診察してきた彼女が貫いている信念でもある『子供の気持ちに寄り添う心掛け』を、両親がどのくらい理解しているのか確かめる必要があるからだ。
番組内でも彼女は、子育てに悩める両親は、泣き喚いたり、乱暴な言葉遣いが目立つといった子供の困った症状を全て子供自身に原因があると考えてしまっているが、実際は両親が発する言葉のニュアンスのかけ違いから生じる親子間のコミュニケーション不足や、大きな声をあげて注意することが、子供にとって最善の教育だと錯覚している大人たちの認識が原因であるケースも多いと語る。
それは同時に、両親自身が見てきた自分の親の姿を反映していることにも繋がるため、両親が生まれ育った家庭環境を把握し、日頃から我が子が発しているSOSを見逃してしまう両親たちの本質を見極めることが子供の心理分析にも役に立つポイントだという。
当たり前と考えていた両親の価値観を捨ててこそ、やっと家族が一丸となって子育てに向き合うことができるという、子供の視点で子育て解決策を述べる姿もオ・ウニョン医師の信頼が厚い理由に直結する。
オ・ウニョン医師の活躍はカウンセリングに対する偏見を緩和させる
昨年の2021年から放映が始まった、『オ・ウニョンのかけがえのない相談所(原題:오은영의 금쪽 상담소)』は、韓国で活躍するタレント、スポーツ選手、アナウンサーといった大衆を相手に活躍する人々が自身のメンタルケアを受けに出演する大人の心理学をテーマにした番組だ。
韓国で活躍する芸能人の間でも、オ・ウニョン医師の活躍は評判で、自ら番組出演を希望し、芸能人ではない、ひとりの人間としてのを赤裸々に公開し、悩みを打ち明ける場となっている。
中でも視聴者を驚かせているのが、K−POP界を盛り上げるアイドルたちが出演する回だ。
アイドルという職業柄、悩みや葛藤を公の場で公表することに最初は慎重になるものの、グループ内での悩み、自身の存在価値、そして実際に治療を続けている精神の病に至るまでの事実を語る姿が、視聴者に届けられるのは新しい試みでもある。
また、ADHD(注意欠如・多動症)を中心とする発達障害の分野に精通しているオ・ウニョン医師を頼り、『見えない障害』ともいわれる『大人の発達障害』の特性に悩んでいるというセンシティブな問題解決を願う著名人も多く、それにより視聴者側が、発達障害への理解を深める機会が増えたのも事実だ。
このことから、日本同様にメンタルケアに対する世の中の偏見が未だ強く残る韓国において、風邪を引けば病院へ行くように、心が辛くなればメンタルケア(カウンセリング)を受けに行く行動に対して、特別視しない風潮を定着させる動きが進められているようにも感じる。
生きづらさを感じる子供たちや、メンタルケアを望む人々に寄り添い続けるオ・ウニョン医師の活躍からも、人間一人一人が持つ価値観への固定概念を緩和させ、メンタルケアに対する偏見を一日でも早くなくしたいという想いが伝わってくる。
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