中国の情報管理
中国は情報に関してとても敏感である。
SNSなどの個人の発言にも目を光らせており、日本のようにSNSが炎上したり、著名人に対しての誹謗中傷などは御法度となっている。中でも共産党がらみは絶対NGであり、情報操作も日常茶飯事である。
以前、筆者の住んでいた地域に大学があった。
その大学生の1人はSNSに国家の良くない情報をwe chatに書き込んだそうだ。夜遅くにその記事をアップしたそうだが、翌朝には公安が宿舎の門を叩いていたそうだ。一大学生の遊び半分のような発言にもこのような過敏ぶりなのである。
中国の国民は随分前から番号で管理されている。日本のマイナンバーのようなものだ。
どこへ行くにも身分証明書の提示が欠かせない。
例えば電車に乗るために切符を買う際にも、身分証明書が必要となっている。そうすることによって誰がどの時間にどこにいて、どこまで移動するかを政府は把握できるのである。
2017年頃、ネットで話題になった興味深い話がある。
SNSもしくはインターネット上に「クマのプーさん」と書き込んではいけない。書き込むとその人のSNSアカウントはブラックリストに載せられる。SNSに書かれた他の内容もすぐに閲覧され、ロックされてしまうという。
そして「くまのプーさん」と書き込んだ数分後に「国家を揺るがす大罪に問われる可能性がある」とメッセージが届くのである。
これは一体どういうことなのか?
くまのプーさんは中国を脅かす?
答えは習近平にあった。
2013年6月に習近平がアメリカを訪問し、オバマ大統領と対面した時のことだ。
その時の写真が、まるで「くまのプーさん」と彼の親友「ティガー」が歩いている様子に似ていると、ネットで話題になったのである。
確かにとても似ている。
その頃から、まるで習近平を風刺した隠語のように「くまのプーさん」は使われ始めたという。
「くまのプーさん」穏やかで楽天的で賢くて、天然で友達思いの可愛いキャラクターである。
別に悪くないと筆者は思うが、中華人民共和国のトップがプーさんというのは当局からすれば問題だったのであろう。
すぐにその関連の記事は削除されたそうだ。
中国では「インターネット安全法」というものが定められている。
WeChat Weiboや中国の検索エンジン百度などでの発言は、しっかりと見張られているのである。
見張られているといったら語弊があるので「国民の安全が守られている」というのが建前である。この法案で国家は、国民個人の情報にも関与でき、以前よりも広い範囲で管理できるようになったという。
安倍晋三元首相はどのキャラクター?
2014年11月10日安倍晋三元首相が北京で開かれたAPECに出席した際、習近平と握手する写真が公表されると、ネット住民たちはすぐに騒ぎ出した。
安倍元首相は、一体何のキャラクターに似ていると言われたのだろうか?
今度は「くまのプーさん」と「イーヨー」であった。
国民の安全を守るために個人情報を管理されるというのは微妙なところであるが、近年の犯罪がとても巧妙で新しい手口が増えているなどの背景があるのであろう。
とはいえSNSのちょっとした発言まで管理されるのは、かなり窮屈さを感じる。
インターネットが普及する現代にあって、こうした情報問題は世界中が抱える課題でもある。
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