海外

台湾はバイクの密度が世界一だった 「なぜバイクだらけになったのか?」

台湾の世界一

台湾はバイクの密度が世界一だった

イメージ画像 : どこもかしこもバイクだらけ

台湾には「世界一」とされるものが多くある。
その数なんと50項目。

今回はその中のいくつかを紹介したい。

意外と知られていないが、台湾は「バイクの密度が世界一」なのである。

筆者も以前台湾に在住した時、交通に不便なのでバイクを一台購入した。

台湾のバイクは100cc以上が主流で、一番多いのは125ccである。
50ccは排気ガスが空気を汚染するなどの理由で、すでに生産を廃止している。
現在購入できる50ccは中古のみで、時々ボロボロの50ccに乗っているお婆さんを見かける程度である。

50ccのバイクが非常に少ないことから、日本人が台湾でバイクに乗るには中型以上のバイク免許が必要となる。ちなみに日本のライセンスは世界で認められているので、国際免許への変更なしで台湾で車と50ccのバイクが運転できる。

ただ日本の免許を中国語に翻訳した書類が必要となるので注意が必要だ。日本だとJAFで有料で翻訳してもらえる。台湾に渡航後であれば「日本人交流協会」というところで対応してもらえる。

ほとんどの場合、日本語ができるスタッフがいるのでその点は安心である。

バイク王国台湾

台湾交通局の発表によると、2022年8月までに台湾で登録されたバイクはなんと1434万台

これは100人に対して、62台のバイクを所有していることになる。

バイク普及率が非常に高いことから、バイクの廃棄で空気汚染が深刻となっている。これは台湾が現在抱える問題の一つだ。
中国でも問題になっているPM2,5だが、台湾でも基準値を超える量を測定した日は警告の赤信号が公布される。それによると2021年には170日だったという。

PM2,5の粒子は非常に小さいため、気管の繊毛はそれを濾過しきれずに肺にまで持ち込んでしまう。処理されることなく蓄積しまうと呼吸器系に支障が現れる。
空気汚染が原因で、喘息や慢性的な咳、肺の疾患などの異常を訴える人が増えてきているのだ。

台湾はバイクの密度が世界一だった

画像 : Gogoro1シリーズで初のCESが2015年にデビュー wiki c Maurizio Pesce

イメージ画像 : 電動バイクGogoro

そのような背景もあって、ここ何年かで電動バイク「Gogoro」が急速に普及し始めた。「Gogoro」は電気で走るが、ガソリンバイクに匹敵するほどの馬力がありスピードもかなり出る。利用者が増えていることからバッテリースタンドもどんどん増えており便利になってきている。

政府は電動バイクの普及を目指しており、2040年までにはバイクの100%電気化を目指している。電動バイクを購入する際には、政府やメーカーからの補助金や優待も受けられる。

Gogoroについて言えば一番安いタイプで日本円で約20万円。最も高いタイプだと約45万円。それに対して補助が最大約12万円から15万円出るそうだ。その上、バッテリー保証が7年間ついている。

デザインも非常にオシャレでスタイリッシュなことから、バイク購入の際に電動バイクを考慮に入れる若者も増えてきている。

このように電動バイクは増えているが、まだ大半はガソリン式のバイクに乗っているのが現状ではある。

次は、なぜ台湾がバイク王国になったのか見てみよう。

バイク王国の歴史

台湾はバイクの密度が世界一だった

イメージ画像 : 台湾国産バイクの広告

台湾は1950年代に農業から工業へとシフトしていき、その頃に国産バイクの生産が始まったという。

当時のバイクは「荷物が多く積めること、馬力があること、坂を楽に登れること」などが重視された。

政府もバイク生産に積極的に参加し始め、国産のKYMCOやSYMといった会社が国産バイクを生産し始めた。

当時、車の税金はとても高いものだったという。それに比べてバイクは高品質で人々の生活に適しており税金を納める必要もなかった。

このような理由で台湾では一気にバイクが普及したのである。ちなみに現在は納税が必要となっている。

バイクが台湾でこんなにも普及したことには他にも理由があるが、それについては次回の記事で言及したいと思う。

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 【犠牲者436人超】史上最恐の人喰いトラ vs 伝説のハンター「…
  2. 永世中立国の意外な側面・第二次世界大戦とスイス
  3. 外国人が理解しやすい「やさしい日本語」とは
  4. リヒテンシュタイン公国 について調べてみた【時を止めた国】
  5. 「共謀罪」について分かりやすく解説
  6. フィリピンで普及するPiso WiFiとは「フィリピンのインター…
  7. 「32000年前にネアンデルタール人が描いたアニメ?」 フランス…
  8. 日本だけじゃなかった!かつて円が流通していた国々の経済事情

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

徳川家光に諫言しすぎて嫌われた 青山忠俊の心 ~「東京・青山の由来」

青山忠俊とは青山忠俊(あおやまただとし)とは、徳川家康・秀忠に仕えた譜代の家臣で、特に2…

「織田信長 VS 伊賀忍者」 天正伊賀の乱について解説

暗躍した忍者たち群雄割拠の戦国時代、歴戦の戦国武将たちの影には不思議な呼び名を持つ者たちがいた。…

モンゴル帝国最後の皇帝エジェイ・ハーンについて調べてみた

かつて世界の1/4~1/3を征服し、ユーラシア大陸にその名を轟かせたモンゴル帝国。その創始者…

笑わない武将 上杉景勝の生涯【謙信亡き後の上杉家を守り抜く】

上杉景勝とは上杉景勝(うえすぎかげかつ)は越後の龍と謳われた上杉謙信(うえすぎけんしん)の甥…

【山城国一揆】 教科書の内容が変わる!?大量の古文書発見で学界が熱視線も……。

報道によると、戦国時代に発生した山城国一揆(やましろのくにいっき)に関する大量の古文書が発見されたと…

アーカイブ

PAGE TOP