海外

【世界で最も汚い男】 半世紀以上入浴しなかったアモウ・ハジ 「94歳で死去」

アモウ・ハジ氏は、70年近くも入浴を拒否し、その生活ぶりから「世界一汚い男」と呼ばれた。

1928年にイラン南部のディガ村に生まれ、1954年を最後に死ぬ直前の2022年まで、70年近くもシャワーを浴びることなく生活を送ったという。

しかし2022年、実に約70年ぶりにシャワーを浴び、なんとその数カ月後に亡くなってしまったのである。(※享年94)

ハジ氏の死は、村の人々に大きな衝撃を与えたという。

アモウ・ハジ

画像: 2014年1月5日、錆びた金属製のパイプに乾燥した動物のフンを入れて吸うアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏は、ゴミから食べ物を集め、動物の糞をパイプで吸うという、奇妙なライフスタイルで知られていた。

本名はわかっておらず、イランの言葉で「ハジおじさん」と呼ばれていた。

その見た目から「世界一汚い男」と呼ばれたが、近隣の村人との関係は良好だったようだ。

なぜ風呂に入らなかったのか?

アモウ・ハジ

画像: アモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏は若いとき、体を洗うことで何度も体調をくずしたそうだ。

それがトラウマになり、病気になることへの恐れから水を避けて入浴をしなかったという。

また、風呂で滑って死ぬ可能性があることも恐れていたようだ。

その結果、70年近くもシャワーを浴びずに生活し、ハジ氏の体は厚さ数センチの土と灰の層で覆われるほどに汚れていた。

まるで岩のようである。

ハジ氏は愛煙家

アモウ・ハジ

画像: アモウ・ハジ氏の大事なパイプ credit by IRNA

ハジ氏が最も大切にしていた所有物は、動物のフンをタバコのように吸うためのスチール・パイプだ。

この金属製の錆びたパイプに乾燥させた動物のフンを詰めて吸うと、タバコよりも濃厚な味わいがあるそうだ。

村人たちはハジ氏にタバコをあげたりしていたが、ハジ氏は1本ずつでは物足りないらしく、5本まとめて吸ったという。

画像: 村人からもらったタバコをまとめて5本吸うアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏の食生活

ハジ氏は健康的な食事を好まず、食事の多くはゴミの中から集めたり、腐敗した動物の肉を食べていたという。

アモウ・ハジ

画像: 動物の肉を焼くアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

特に、「腐りかけのヤマアラシ」の肉がうまいそうだ。

ハジ氏は清潔な水にも触れず、雨水を溜めた錆びた缶から、5リットルの水を毎日飲んでいた。

ハジ氏の身だしなみ

アモウ・ハジ

画像: 鏡に映る自分を見つめるアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏は、自分の容姿にまったく無関心というわけでもなかったようだ。

その証拠に、(ひろった?車のバックミラー)を持っていた。

長くなったヒゲを定期的に整えたりしていたが、その方法は独特で、木に火をつけ、鏡を見ながら火で燃やしながら整えるのだ。

アモウ・ハジ

画像: ヘルメットをかぶるアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

しかし服装には気を使っておらず、一年中ほとんど同じ服を着ていた。

冬だけ、頭を寒さや雨から守るために、軍隊風ヘルメットをかぶっていた。

ハジ氏の住居

アモウ・ハジ

画像: 村人が作ってくれた簡素な小屋とアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏は、ほとんどの時間を野外で過ごしていた。

冬になると、村の人々がハジ氏のために建てた簡素な小屋で寝ていたようだ。

しかし、ハジ氏は屋内にいることはあまり好きではないらしく、できるだけ野外で過ごしていたようだ。

彼にとっては、地面が自分の家なのだろう。

村人との関係

アモウ・ハジ

画像: 村人とアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

ハジ氏の奇妙なライフスタイルは、村の人々にも知れ渡っていた。

村の人々は彼に同情し、助けようとした。

しかしハジ氏は、タバコや寝るための小屋以外の支援を断っていたという。

あえて村人たちと離れた場所で孤立して暮らすことを選んだので、誰かに迷惑をかけることもなかったのだ。

ハジ氏のライフスタイル

アモウ・ハジ

画像: 地面に寝るアモウ・ハジ氏 credit by IRNA

しかしハジ氏は、自分のことを汚いとは思っていなかったようだ。

このライフスタイルこそが、自分にとって最適だと信じていたのだ。

ハジ氏は、若い頃に失恋した経験があるという。

その失恋体験も、彼のライフスタイルに大きな影響を与えたと考えられている。

失恋の痛みから逃れるために孤立し、自分の世界に閉じこもってしまったのかもしれない。

洗濯も入浴も拒否し、社会から孤立した生活を選んだハジ氏だったが、村人たちからの支援を受けながら最期を迎えることができた。

ハジ氏の入浴と死

2022年中頃、村人たちはハジ氏を説得して入浴させた。

するとその後、体調を崩し、数ヶ月後の同年10月に94歳で死去してしまったのだという。

彼の死は、村の人々に大きな衝撃を与えた。

半世紀以上入浴しない生活が、彼の健康の秘密だったかもしれないのだ。

ハジ氏は「世界で最も汚い男」と呼ばれる一方で、驚くほど健康だった。

寄生虫に感染しながら発症せず、免疫力が非常に高かったと推測されている。

一般的には、清潔で衛生的な生活を心がけるべきだが、過度の清潔志向も逆に免疫力を下げる可能性があることを示唆しているのかもしれない。

さいごに

ハジ氏の奇妙な生き方は短編ドキュメンタリー映画の題材にもなり、多くの人々の関心を集めた。

2022年に94歳で亡くなったハジ氏の生涯は、人間の生き方や可能性の限界について考えさせられる事例になっている。

ハジ氏の生き方は理解されにくいものではあったが、彼の生き方を尊重する人も少なくなかったという。

参考 : The Story Of Amou Haji, The ‘Dirtiest Man In The World’

 

アバター画像

lolonao

投稿者の記事一覧

フィリピン在住の50代IoTエンジニア&ライター。
antiX Linuxを愛用中。頻繁に起こる日常のトラブルに奮闘中。二女の父だがフィリピン人妻とは別居中。趣味はプチDIYとAIや暗号資産、マイクロコントローラを含むIT業界ワッチング。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 日本が核武装をするべきではない理由とは?「安全保障のジレンマ」か…
  2. 『天国にいちばん近い島』 ~ニューカレドニアの魅力
  3. 『プロ野球初の外国人選手』 スタルヒンの野球人生 ~300勝投手…
  4. F-35(ステルス戦闘機)について調べてみた
  5. 多くの中国人が種を食べすぎて歯が凹む 「瓜子歯」とは
  6. 【世界で最も奇妙な食事をした男】ミシェル・ロティート ~ガラスや…
  7. アメリカの金融業界を支配した 「モルガン家」の歴史
  8. 『世界一寒い村の住人は世界一幸せだった?』最低気温「-71.2°…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

トップガンについて調べてみた 【アメリカ海軍戦闘機兵器学校】

※F-141986年、トム・クルーズ主演で公開された映画『トップガン』は、彼の出世作とな…

夜の濃厚接触!?ハッテン場の知られざる世界

近年話題のLGBTにボーイズラブ。男同士の性愛関係はまだ表沙汰になるのがしく、良くも悪くも好…

今川義元は本当に暗君だったのか調べてみた

はじめに戦国武将は現代ではアニメやゲームなど様々なメディアで取り上げられ、どの武将も現実よりかな…

惟康親王の悲劇 「源氏のカリスマで元寇から日本を救った?鎌倉幕府7代将軍」

鎌倉幕府の将軍というと、多くの方は源頼朝(みなもとの よりとも)公と源頼家(よりいえ。頼朝公の長男)…

今後10年で、中国の軍事力はアメリカを追い抜くのか?

現在の世界の軍事力において、米国は依然として圧倒的な地位を占める。2025年時点で、米国の軍…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP