人気者のパンダ
パンダは世界中で人気者であり、日本でもその存在は常に注目の的である。
2024年現在、日本でパンダを見られるのは「上野動物園」と「和歌山アドベンチャーワールド」の2ヵ所である。上野動物園には双子のシャオシャオ(オス)とレイレイ(メス)が飼育されており、和歌山アドベンチャーワールドには4頭のパンダがいる。
2024年9月29日、上野動物園で飼育されていたリーリーとシンシンが中国へ返還された。
リーリーは2022年から嘔吐の症状が見られ、日中双方の専門家による検査と協議が行われたものの、明確な原因は特定されなかった。
2023年9月には、リーリーとシンシンの両方に高血圧が確認され、降圧剤の投与が行われたが、2頭の行動や食欲には問題がなく、日常生活は良好であった。
東京都と中国野生動物保護協会の協議の結果、2頭は重篤な状況ではないものの、健康なうちに生まれ育った中国で治療を受けさせることが望ましいと判断され、早期に中国へ返還されることとなった。
リーリーとシンシンは上野動物園に約5000日滞在し、多くの来園者に愛されたが、現在は四川省の中国ジャイアントパンダ保護研究センター碧峰峡基地に無事到着し、検疫施設に入っている。
一方、神戸市立動物園(王子動物園)では、パンダのタンタンが2024年3月31日に病気で亡くなった。
日本国内でのパンダの飼育数は限られており、その存在は非常に貴重である。日本でパンダの赤ちゃんが誕生すれば大ニュースとなり、名前の選定に多くの注目が集まるのもそのためである。
パンダの出産
パンダは他の動物に比べて産む子供の数が少なく、通常1頭を出産することが多い。
ただし、約50%の確率で双子を産むことがある。
母親パンダは基本的に1頭で子育てを行うが、野生では双子のうち1頭を育てないことが多い。飼育下では人間の介入により、両方の子供が成長できるようにサポートされる。
パンダの発情期は主に3月から5月にかけてで、繁殖が終わると父親パンダは母親と子供に関わることはない。繁殖後、母親が1頭で出産や子育てを行うことになる。
妊娠期間は3~6ヶ月で、野生では母親パンダは出産前に安全で落ち着いた環境を探し、水源の近くにある穴などで出産準備を行う。危険が少なく、安心して子供を産める場所を選ぶのである。
出産後、母親パンダは約1年半の間、子供と一緒に過ごし、子供が独立して生きていけるよう、多くのことを教えていく。
香港海洋公園で双子パンダが誕生
2024年8月15日、香港海洋公園で初めて双子のジャイアントパンダが誕生した。
この双子は、香港で生まれた最初のジャイアントパンダであり、オスとメスのペアである。誕生時の体重は、姉パンダが122グラム、弟パンダが112グラムと、いずれも標準よりやや軽めで、非常に弱々しい状態だった。特に雌の赤ちゃんは体温が低く、泣き声もかすかで、24時間体制でのケアが必要だった。幸い、危険な最初の24時間を無事に乗り越え、双子は順調に成長している。
父親は「樂樂(ラーラー)」、母親は「盈盈(インイン)」で、今回の出産は自然交配によるものだ。
盈盈は19歳での初産となり、これはパンダの初産としては記録的な年齢である。人間に換算すると57歳にあたる高齢での出産であり、これまでに何度も流産を経験していたため、今回の妊娠と出産は特に注目されていた。
高齢出産であったため、出産後も特別なケアが行われており、産後1カ月の特別食事メニューが提供された。通常、野生のパンダは双子を産んだ場合、一方の子供だけを育てることが多いが、飼育下では人間の手厚いケアにより、両方の子供が健康に成長することが可能だ。現在、盈盈の双子も中国から派遣された専門家や飼育員によって24時間体制でケアされている。
生後2週間を過ぎた頃には、パンダ特有の黒と白の模様が現れ始め、体はまだピンク色だが、耳や目の周りの黒い部分が際立つようになってきた。1カ月が経過する頃には、姉パンダは910グラム、弟パンダは814グラムまで成長し、しっかりとした体つきになった。
最近公開された写真では、二頭が健康体で順調に成長している様子が確認され、多くの人々が安堵している。盈盈との親子ショットも公開されており、2024年の年末から2025年初めにかけての一般公開が予定されている。
この双子パンダの成長が、今後ますます期待される。
参考 : 『香港海洋公園HP』『ueno-panda.jp』他
文 / 草の実堂編集部
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