「大切な人に裏切られたんですが、どうしたらいいでしょう?」
人気占い師たちの多くが受ける相談内容のひとつは、恋人や結婚相手に浮気や不倫をされたり、ビジネスパートナーにだまされてお金を持ち逃げされるなど、身近な人による裏切り行為だと、占い師歴16年のN先生は言う。
信じていた人に裏切られるのは誰でも耐え難く、憎しみや恨みを感じてしまうのは当然のことだ。
しかし、占い師が鑑定でそういった人たちの心理を深く掘り下げると、底知れない闇に出会うのだという。
「『どうしたら自分を裏切った相手に痛い目に遭わせられるか』という恨みや復讐心が大きくなっていて、自分の現実や未来が見えなくなっているんです。
実は、復讐したくて占いに来る方ってけっこういらっしゃるんですよ。」(N先生)
そういう相談者の心の中は黒いエネルギーが渦巻き、自分での意思ではコントロールできなくなっている状態なのだという。
「そういう場合はカウンセリングをしながら、相手への復讐ではなく自分の未来の幸せに目を向けるように少しずつ諭していくのですが、心を整理するための時間が必要ですし、なかなか一筋縄にはいきませんね。
なかには、『呪いの方法を教えて欲しい』とはっきりおっしゃる方もいらっしゃいます。」(N先生)
復讐が目的で占いに行くのも驚きだが、呪いの方法を習いに行く人が今どき存在するという事実はさらに驚愕だ。
実際に呪いは可能なのか?
呪いといえば、神社の御神木に呪いたい相手に見立てた藁人形を括りつけ、夜中に五寸釘を打ちつけるという昔ながらに伝わる「丑の刻参り」のイメージが強いが、実際に呪いをかけることはできるのだろうか。
「人を呪うには、多大な時間とエネルギーが必要です。
寝る間も食べる間も惜しんで、もちろん仕事や遊ぶこともせずに意識を呪いたい相手に向け続け、さらに呪詛を24時間、相手が生きている間ずっとかけ続けなければなりません。
一生かかると言ってもいいですね。
ですから、現実的には呪いは非効率なんですよね。昔でいう『丑三つ時』というのは、夜中の2時から2時半の30分間をさします。
夜中のたった30分間、呪うくらいでは、何もしていないのと同じです。呪う場所も、いっさい光が入らないジメジメした暗い洞窟など、条件や環境が必要です。
今の社会で生きていたら、物理的に不可能なんですよね。
美味しいご飯に舌鼓を打ったり、ネットやゲームを楽しんだり、お風呂でリラックスしたり、友達や家族と何気ない会話で笑い合っている時、その人の意識やエネルギーは呪いではなく、平和や幸せに向いていますよね。どんなに怨念を込めて呪い続けたとしても、本人が朝日を浴びて気持ちいいなと思ってしまったら、その瞬間にそれまで呪い続けていた負のエネルギーは相殺されてしまうんです。」(N先生)
N先生によると、実は呪いや復讐心のパワーというのは、そんなに強くないものなのだという。
しかし、呪いをかけたい本人はずっと恨みや憎しみを感じ続けているので苦しみを感じざるを得ない。
相手には何の影響もないが、本人だけが地獄にいるようなもの。
ようするに、どんなに本人が真剣に呪いに取り組んでも、この世の秩序からすると無意味なことをしているのだそうだ。
占い師からのアドバイス
それでも、相手を呪いたい、復讐したいという衝動に駆られている相談者にはどのようにアドバイスするのだろうか。
「自分が矛盾したことをしていることに気づいていただきます。
その手段のひとつとして、『あなたの人生のすべての時間を、呪いや復讐にかけることはできますか?』と覚悟をお尋ねします。たいてい『もちろんです』と返ってきますが、実際には、私たち占い師のもとに鑑定にいらした時点で、呪いや復讐心のエネルギーは多少なりとも薄まっているんです。
占い師が占う空間はたいていキレイに浄化されていますし、最近はアロマやクリスタルで結界を張っていることも多いです。
相談者が占い師の空間に入った瞬間に呪いや復讐心のエネルギーは浄化されてしまうので、まずその事実をお伝えします。
また、相談内容をお話いただいているあいだも、意識の何割かは占い師である私や呪いの方法に向かっていて、呪いのエネルギーは相手に向かっていないんですよね。
その時にはもう呪いのエネルギーは消えているんです。そういった矛盾と、呪いや恨み、復讐の無意味さに気づいていただけるようにお話を進めていきます。」(N先生)
「人を呪わば穴二つ」ということわざがあるが、本質的には「人を呪わば穴一つ」。
実質、その墓の穴に入るのは自分ひとりということだ。
占い師も呪われる?
ちなみに、占い師が相談者から恨まれて呪われるということもあるのだろうか?
「逆説的ですが、ご本人が本当の意味で幸せになれるような鑑定やアドバイスをすると、私たち占い師が恨まれるということはよくあることなんです。
おかしな話ですが、お相手や自分が不幸になるような鑑定結果が出れば、満足するということ。
それくらい、恨みや復讐心を持っている方というのは、盲目的になっていて選択の力が逆の方向に働いてしまっているんです。でも、先ほどもお話しましたが、呪いや恨みの範疇にはほとんど入りません。
頭痛がしたりお腹が痛くなったり多少影響することはありますが、気づいて浄化すればすぐに消えてしまいます。たとえるなら、蚊に刺されるような感覚ですね。
夏に蚊に刺されることは誰でもありますが、よほどじゃない限り、痒み止めを塗ったりお風呂に入って清潔にしたり、数日、普通に生活していれば治りますし、蚊に刺されたことも忘れてしまいますよね。本人は強い意思とパワーで恨んでいるつもりかもしれませんが、負のエネルギーって実はそういうレベルのものなんです。」(N先生)
呪いのパワーは、実際はたいして影響力がないということはわかったが、実際のところ、逆の立場になって恨みを買ったり復讐心を向けられたりするのは気持ちのいいものではない。
恨まれた時の防御策
そういう場合は、どうしたらいいのだろうか?
「恨まれるようなこと、復讐されるようなことをしないのが一番の防御策です。
でも、恋愛などの場面では、心変わりして他に好きな人ができたりすると結果的に相手を裏切ることになりますから、可能性をゼロにするのは難しいですよね。
そういう場合は、その時の自分にできる精一杯の誠意をもって相手に対応しましょう。不誠実な態度で相手を裏切ってしまえば恨まれるのも仕方ありませんから、不誠実な態度をしてしまう自分の内面を見つめ直すことをおすすめします。
それでも恨まれたり復讐されるようなエネルギーを感じたら、岩塩を細かく砕いたパウダー状のバスソルトを入れたお風呂に入ったり、ヒーリングミュージックを聴いたり、その方の幸せを願ったりするといいかもしれませんね。
私たち占い師も塩風呂は毎日入っていますし、お客様が来られる前にセージというハーブでお部屋を燻したりして浄化しています。
お寺で護摩焚きをしてもらうのもおすすめですね。
神道でいうお祓いのようなものですが、護摩焚きは無料で気軽に参加できるお寺がほとんどなので、
恨まれるような心当たりがなくても、定期的に浄化に行くと日々をすっきり過ごせるようになれます。何より、自分自身が毎日を明るく楽しく過ごしていれば、呪いはもちろん恨みや復讐などのネガティブな影響はほとんど受けません。
まずは自分が幸せでいることを意識するといいかもしれませんね。」(N先生)
もし、あなたが今、誰かに対して憎しみや恨みや復讐心を抱いているとしたら、その時間とエネルギーを「自分が幸せになること」に注ぐことに意識転換した方が、実際に相手を呪うよりも何倍も効果があるのかもしれない。
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