『ありがとう』は、幸せと成功を生む魔法の言葉
ビジネス系、心理学系、スピリチュアル系パーソンたちのあいだでは、昔から常識となっている「幸せと成功の秘訣」がある。
「感謝をすると幸せになれる、成功できる」
というメッセージだ。
世界の誰もが知る大企業の日本人経営者やメディアで活躍する心理学者、スピリチュアル系のインフルエンサー、さらには世界的な覚者たちもこのメッセージをそれぞれの表現方法で発信している。
実際に、感謝をすると、まず自分自身が幸せを感じる。
さらに、その気持ちを相手に伝えると相手も喜んでくれる。
一瞬にしてお互いに幸せや喜びを感じることができる。
「感謝」は、人とのコミュニケーションを円滑にし、親密感をもたらし、幸せと豊かさを生むすばらしい架け橋になる。
そのポジティブなエネルギーが周囲の人たちにも伝播し、幸せと豊かさはさらに拡大し、循環していく。
このメカニズムに気づいた先人たちが後進たちへの愛のアドバイスとして、「幸せになりたい、成功したいのなら、感謝をするといい」と伝えたのかもしれない。
「幸せになりたい」「成功したい」と強く願い、ビジョンや夢を持ったことがある人なら、一度や二度はこのメッセージを目にしたり、試してみたりしたことがあるのではないだろうか。
魔法の言葉は、使い方をまちがえると苦しみを生む
筆者も、このメッセージには真理を感じるし、意識的に感謝をしていた時期がある。
しかし、感謝を感じ幸せを感じながらも、微妙な違和感も持っていた。
その理由は、あるスピリチュアル系ワークショップに参加した時、受講者の一人が休み時間に小さな声だが真顔で「ありがとう、ありがとう、ありがとう」とつぶやいているのを見た時に明確になった。
「感謝をしたから、幸せになった」のではなく、
「幸せになるために、感謝をしている」ことに気づいたからだ。
前者は、「自分が満たされた結果、幸せになった」
後者は、「自分の欠乏感を埋めるために、感謝を道具にして幸せを追い求めている」
「動機」と「目的(現象)」が逆転しているのだ。
真顔で「ありがとう」とつぶやいているワークショップ受講者の実際の心の中まではわからないし失礼な話かもしれないが、その姿を客観的に見ていると幸せそうではなく、むしろ苦しみを感じているように見えた。
それはきっと、その人がその瞬間の自分の本当の気持ち、本音をないがしろにしていたからではないだろうか。
自分軸でいることで『感謝』が成功の錬金術になる
その時、「感謝をすると幸せになれる、成功できる」というメッセージは、成功者やインフルエンサーや覚者たちがさまざまプロセスを体験した末の結果論であって、無防備に「幸せになるための手段や道具」として使うと、思わぬ罠に陥る可能性があることに気づいたのだ。
もちろん、「言霊」という考え方やツールもあるので、割り切って手段として「ありがとう」とつぶやいているうちに実際に自分のエネルギーが上がって幸せを感じる感度が高まり、幸せになれる側面もあるだろう。
しかしそれは、その人自身が、自分のことを大切にしたうえで、本当に心の底から幸せや成功にコミットした結果ではないだろうか。
「成功者や覚者が『感謝していると幸せになれる、成功できる』と言っていたから間違いないので、自分もやってみる」というスタンスだと、自分の意思やパワーを他者に明け渡した状態になるので、視野が狭窄的になり、自分の本音や感情が麻痺してストレスを感じるようになる可能性も否めない。
感謝していると、たしかに幸せを感じられるようになり、人間関係が円滑になり、人生を豊かに成功に導いてくれるが、その一歩手前で、「自分の気持ちに正直になり、自分を知ること」も不可欠ということも忘れないようにしたいものだ。
そのうえで、日々、些細なことに感謝を感じている自分自身を客観的に発見していくと、少しずつかもしないが幸せや豊かさを感じている時間が増えていき、結果的に成功に近づく錬金術となるのではないだろうか。
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