戦国時代

2023年大河ドラマ「どうする家康」とは何をどうするのか?徳川家康の生涯と決断を追う!

古来「来年のことを言えば鬼が笑う」と言いますが、大河ドラマ業界(?)ではもう来年どころか再来年の話題が出始めています。

令和4年(2022年)放送予定の「鎌倉殿の13人」も放送されていない内から、鬼も爆笑しすぎて腹筋が崩壊しないといいのですが……。

久しぶりに大河の主人公となった徳川家康。

まぁ、上段はさておき令和5年(2023年)放送予定の大河ドラマは「どうする家康」。

文字通り戦国時代から江戸時代を駆け抜けた天下人・徳川家康(とくがわ いえやす)の生涯を描く作品で、報道によれば脚本は古沢良太(こさわ りょうた)氏、主演の家康役には松本潤(まつもと じゅん)氏が抜擢されたと言います。

家康ゆかりの静岡県浜松市では、地域振興を図る大河ドラマ館の関連予算が4億9千万円に上るなど、平成29年(2017年)の「おんな城主直虎」、令和元年(2019年)の「いだてん」に続いて大盛り上がりのようです。

※参考:
市長コラム(2021年8月号)/浜松市
23年大河「どうする家康」 浜松市、ドラマ館に4億9000万円|毎日新聞

さて、そんな注目作「どうする家康」ですが、家康はいったい何をどうするのでしょうか。

「どうする」と言うからには、家康が何か決断を迫られており、ギリギリの中で答えを出していかねばなりません。

「うーむ、どうしたものか……」家康、大いに悩むの図。

しかし現代に生きる私たちは既にその答えを知ってしまっていますから、ただ歴史的事実をなぞるだけでは、視聴者の満足を得ることは難しいでしょう。

そこで視聴者の意表を衝いた決断と答えを用意するのが脚本家の醍醐味と言えますが、そもそも家康の人生にはどんな選択肢と決断があったのでしょうか。

徳川家康の生涯、その選択と決断を駆け足で振り返る

徳川家康と言えば、人質だった少年時代にはじまり、永年にわたる忍耐と努力の結果に天下を獲った苦労人として知られ、現代でも高い人気があります。

今さらそれをすべてたどるのは冗長に過ぎます(それこそ大河ドラマになってしまいます)から、家康(幼名、改名などは割愛)の生涯をごくざっくりと駆け足でたどっていきましょう。

桶狭間の合戦。Wikipediaより

家康は少年時代に国も領地も失って今川義元(いまがわ よしもと)の人質となり、義元が桶狭間の戦いで討死すると織田信長(おだ のぶなが)の盟友として独立。

台風のごとく急成長する信長にしがみつきながら勢力を保つ家康ですが、反信長包囲網の盟主格であった武田信玄(たけだ しんげん)が東から進撃するとその矢面に立たされ、ボロボロに惨敗。

信玄の死によって勢いを取り戻し、信長の助力を得てどうにか武田氏を滅ぼした矢先に、今度は本能寺の変で信長を喪い、織田家臣団は大混乱に陥ります。

信長を討った明智光秀(あけち みつひで)につくか否か……京都にいた家康は謀叛に与せず本国へ戻って態勢を立て直す内に、織田家中の成り上がり・羽柴秀吉(はしば ひでよし。後に豊臣秀吉)がその覇権を継承。

それぞれ信長の遺児を擁立して天下の主導権を争った結果、外交によって一歩譲った家康は秀吉に従い、その死を待って着々と天下簒奪の野心を顕わに。

豊臣家を守ろうとする石田三成(いしだ みつなり)ら政敵を天下分け目の関ヶ原合戦に撃破した家康は、征夷大将軍となって江戸に幕府を開きます。

もはや天下に敵なしとなった家康はジワジワと豊臣家を追い詰め続け、とうとう大坂夏の陣に豊臣家を滅ぼし、二百数十年に及ぶ泰平の世(パクス・トクガワーナ)を実現したのでした。

決断に至る苦悩と葛藤をどうする(描く)か

……こうして見るだけでも、家康の人生が選択と決断の連続であったことがよく解ります。

義元を討った信長に鞍替えするか、義元を喪って明らかに斜陽な今川家に忠義を尽くすか。

信長の要求を呑んで正室と嫡男を処刑するか、それとも突っぱねて一戦交えるか。

到底かなわない武田信玄に降伏してしまうか、無謀は承知で意地を見せるか。

信長を討った光秀に従って新たな世を描くか、それとも本国に帰って様子を見るか。

織田の覇権を乗っ取った秀吉に臣従するか、それとも一戦交えて釘を刺しておくか。

秀吉の死後、豊臣家を支え続けるか、それとも自分がとって代わる布石を打つか。

焼け落ちる大坂城を前に、家康は何を思っただろうか。

そして、豊臣家を残すか、潰すか。

などなど……現代に生きて結果を知っている私たちは、往々にして「すべては家康の筋書き通りに事が運んだ」かのように錯覚してしまいがちですが、恐らく当時の家康は目の前の状況を生き抜くのに手いっぱいで、あくまで結果は結果に過ぎません。

もちろん、秀吉だって信長だって、すべてが自分の描いた通りにはなっておらず、誰もがその場でとりうる最善と思われる選択肢を選んでいたに過ぎないはずです。

その苦悩と葛藤をどう描き出すかが脚本家の手腕であり、単なる絵解きにとどまらない時代劇の魅力と言えるでしょう。

まだ「鎌倉殿の13人」どころか渋沢栄一(しぶさわ えいいち)の生涯を描く「青天を衝け」が佳境を迎えているところですが、今から「どうする家康」で家康をどうする(どう描く)のか、とても楽しみです。

※参考文献:
藤井譲治『徳川家康 (人物叢書)』吉川弘文館、2020年1月
二木謙一『徳川家康 (ちくま新書)』ちくま新書、1998年1月
本多隆成『定本 徳川家康』吉川弘文館、2010年11月

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角田晶生(つのだ あきお)

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