年越しの風物詩
中国や台湾は西暦の1月1日ではなく、農歴の1月1日を祝う。春節である。
これは毎年決まった日にちではない。西暦の1月だったり、2月だったりする。
学校は長期休暇に入るし、街はどことなくザワザワし始める。
大掃除をする人も多く、その頃は家の外に家具や不用品が置かれ、リサイクル業者は大忙しである。
日本人と同じように年越しは特別で、ボーナスを手に大きな買い物をする。
そして春節には多くの人が爆竹を使って祝うのである。
実は中国や台湾では爆竹を鳴らすのは日常茶飯事である。特に喜び事があった時に鳴らす。
開店、結婚などでも鳴らす。一連に繋がった爆竹にそのまま火をつけて地面で爆発させるのである。その大きな音と言ったら、耳を塞がないと耳が痛くなるほどだ。
春節には、爆竹の他に花火も打ち上げる。しかも一般家庭がである。
日本だと個人で上げられる花火は限られているが、中国ではちょっと大きめな花火も個人で上げることができる。
レストランやホテルなどの敷地でそれぞれ花火を上げるが、どのくらいの花火を上げたかで、今年の売り上げはどうだったかということがわかるという。
春節が近づいてくると道端で花火を売っている。小学生のランドセルくらいの大きさの花火まで普通に売られているので驚きである。
爆竹を鳴らす意味
昔の言い伝えでは「鬼を驚かせて寄りつかないようにするため」だったという。
今では「祝い事の場に花を添えるため」に爆竹を鳴らすという。
「爆竹」にはどいう意味があるのだろうか?
火薬が発明される前の人々は、正月一日から三ヶ日に鷄が鳴いたら起床し、庭先で竹と草を燃やしていた。竹を燃やすパチパチという音で、鬼を驚かせようとしたという。
そして火薬が発明されてからは竹を燃やすことをやめ、爆竹を使うようになったのである。
爆竹の由来には他にもある。
はるか昔、森の中にとても恐ろしい野獣がいた。その名を「年」という。毎年春節に現れて恐ろしい声で吠え、人や家畜を食らっていた。
人々は年の災厄から逃れるため、豚や羊を屠って食べさせ、年のお腹をいっぱいにしていた。
ある年、人々はその供物を忘れてしまった。年は怒って人を食いにやってきた。人々は門を閉めて塔の上へと逃げたが、年は人を探して家から家へと徘徊し始めた。
その時、竹材で作ったある建物から火が出て燃え上がってしまった。そして大きな音が響き渡った。
年はその音に恐怖し、人に危害を加えることなく森に帰って行った。
それからというもの、人々は毎年春節には竹を燃やし始めたという。
そしてそれは爆竹に変わり、現在に至るというものである。
爆竹の害
中国では春節に多くの人が爆竹を鳴らすことから、空気が悪くなる。
もともと中国の空気汚染は深刻であるのに、さらに空気が悪くなるのだ。PM2.5の値が一気に上がる。
爆竹の煙は臭いがキツく、吸い込むとむせてしまうほどだ。
政府も爆竹の自粛を要請しており、年々爆竹を鳴らす人は減ってきているという。
その代わりに、花を家に飾って春節を彩る家庭も増えてきている。
ところが
「もし春節に爆竹を鳴らさないなら、全く意味がない年越しになってしまう」
と、春節の伝統的な風物詩である爆竹をやめることに、抵抗がある人たちもいる。
爆竹を販売している業者も
「こんなに多くの車が毎日排気ガスを出して沢山の事故を引き起こしている。春節だけに使う爆竹が有害というのなら、車も同じではないか?」
という最もな意見を述べている。
現在、爆竹を生産している企業は、環境にやさしい爆竹を開発しているという。
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