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台湾でデング熱が大流行 「家は強制消毒、ボウフラが発見されると罰金25000円」

デング熱

台湾でデング熱が大流行

画像 : デングウイルスの透過型電子顕微鏡写真 public domain

筆者の住む台湾では、現在デング熱が流行している。

台湾は湿気が多く、今年は特に台風の影響や長雨で水たまりが多かったことから蚊が大量に発生した。
水たまりからボウフラがわくことで、デング熱を媒介するマダラカの発生率が高くなるのだ。

ちなみに筆者は台湾の一番南の県に住んでいる。毎年デング熱の話は聞くが、今年は特に広く流行している。

10月の末、筆者の借りている家の門に「緑とピンクの紙」が貼られていた。それは「明日、家の中と外を全て消毒する」という内容だった。
家の周りの水が溜まりそうな場所だけかと思ったが、家の中まで全て消毒するという。

初めての経験なのでどうしたら良いか分からず、じっと張り紙を眺めていると、近所の親切な女性が「家中の全てのものをビニールで覆う必要がある」と教えてくれた。
噴射機で消毒液を噴射するそうだ。そして家中の窓を閉めて充満させ、1時間待つという。

近所の女性によると「消毒液はネバネバしており、何回拭いてもなかなか落ちない」という。
そして「ペンキを塗るときに使うマスキングテープがついた保護ビニールで、全てを覆うと良い」と教えてくれた。

筆者は早速ホームセンターに必要な物を買いに行き、作業を始めた。

布製品は全て大型のゴミ袋にしまい、ベットや家具は壁に貼り付けた保護ビニールで覆った。

画像 : 消毒当日の筆者宅のリビングの様子 ※筆者撮影

前日に告知があると次の日には執行されるので、のんびり片付けている暇はない。

植物にはたいして害がないそうだが、小動物には危険とのことで、ペットは全て車の中に避難させた。

消毒開始

午前8時半から街の消毒活動が始まると、消毒液を噴射するブーンという大きな音と共に、ついに我が家にも衛生局一行様がやってきた。

まず、衛生局の人間は家の中に水が溜まっていないかチェックした。そして窓を閉めろと指示した後、消毒液噴射が始まった。

我が家は一戸3階建であるため、3階から消毒液を噴射し始めた。そしてあっという間に家の中は白い消毒液の煙で充満した。

近所には空き家もあるのだが、彼らは空き家も強行突破する。警察立ち会いの元で家の門が開けられ、衛生局が突入するといった具合である。

中には頑なに衛生局の侵入を拒む人もいるそうだが、衛生局の権限でどんな家でも強制執行される。
断固として消毒を拒否した者や、家のどこかに水を溜めていてその中にボウフラがいると重い罰金が課されるのである。

ボウフラが発見された場合は、なんと日本円で25000円程度の罰金が課されることになっており、報道によるとすでに多くの人が罰金を課されたようだ。

消毒後、1時間は家に入ることができないので、筆者は外で待機することになった。そして1時間後、家の窓を開けに入り、空気の入れ替えをする。

空気の入れ替えが終わって家に入ると、中は壁も床もベトベトだった。床はツルツル滑り、何かに捕まっていないと滑って転倒しそうなほどヌルヌルしていた。

そして片付けが佳境に入った頃、「この家の50m以内でデング熱が出た」とご近所さんが教えてくれた。

どうやら、デング熱患者が出た場所から50m以内の場所は、全て消毒するようである。

2023年、台湾におけるデング熱感染者数

台湾でデング熱が大流行

画像 : 消毒は大仕事 ※筆者撮影

2023年の一人目の感染者は台南市の40代女性で、6月4日に発熱があったため、医療機関を受診したところデング熱と診断された。
そして9月の段階で、1万人を超える患者数が報告されたのである。

11月20日の最新の情報によると、累計24,287例が報告されている。重症患者は4例、死亡者は2例となっている。
重症者、死亡者はいずれも60歳から80歳の高齢者で、慢性疾患を持っていたという。発病後2日から14日以内に不幸なことに病状が悪化して亡くなった。

デング熱は出血性の伝染病であるため、重症になった場合の致死率はかなり高く50%とされている。
デング熱の厄介なところは、特効薬がないことだ。耐えるしかなく、症状を和らげるといった治療しかない。

デング熱にかかった友人の母親は、もうすぐ1カ月になるが、まだ体調が戻っていない。

現在、気温が下がってきた台湾だが、日中はまだ30度になる日がある。朝晩はひんやりして過ごしやすいが、まだデング熱の流行はしばらく続きそうだ。

台湾へご旅行の際は、蚊よけ対策をお忘れなく。

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子

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