三國志

【三国志で活躍した名馬たち】 赤兎馬だけではなかった

三国志で著名な馬といえば、呂布から関羽に引き継がれた赤兎馬が挙げられます。
しかし、赤兎馬に限らず、三国時代には他にも多くの名馬が存在しました。

例えば、『絶影』、『的盧』、『爪黄飛電』などが挙げられます。

今回は、赤兎馬を含む三国志に登場する名馬について解説いたします。

三国志に登場する名馬たち

ここでまとめていく対象は三国志時代に登場する名馬たちですが、正史には登場しておらず、別の史料で登場する名馬も存在しています。

赤兎馬(せきとば)

画像 : 赤兎馬で疾駆する関羽。Wiki c Shizhao

三国志演義では『汗血馬』とも言われています。

人中に呂布あり、馬中に赤兎あり』と評され、呂布の死後は関羽の愛馬となりました。

非常に気性が激しいですが、一度認めた主に対する忠誠心は強く、関羽が亡くなると食事を拒んでそのままこの世を去りました。

絶影(ぜつえい)

曹操の第一の愛馬。

名前の由来は『影を絶つ(影を留めないほどに速い)』であり大変速い馬でした。

苑城の戦いにおいて張繡・賈詡軍に急襲され、絶対絶命だった曹操を城外に脱出させましたが、その後、射られてしまいました。

的盧(てきろ)

画像 : 的盧 イメージ

劉備の愛馬。

元々『的盧』は馬占いに出てくる言葉で、「額が白い馬」のことを指し、凶馬とされていました。

持ち主に災いをもたらすと言われていましたが、足の速さは折り紙付きで、劉備が荊州を脱出する際には電光のような速さで追手を撒きました。

爪黄飛電(そうこうひでん)

曹操の第二の愛馬です。

主に凱旋や祝い事の際に乗る馬だったため、戦場には出ていません。

西域生まれの馬であり、体は美しい白色で四本の蹄だけが黄色だったとされています。その見た目の美しさから、曹操の権威のアピールに大いに役立ちました。

白龍(はくりゅう)

イメージ

趙雲の愛馬。

民間伝説では趙雲と意思疎通ができたと云われています。

昼は千里を、夜は五百里を走ることができました。

黒捷(コクショウ?)

魏の名将である張遼の愛馬。

孫権が合肥に攻め込んできたとき、張遼はこの愛馬に乗って孫権軍を蹴散らしました。

白鵠(びゃっこう)

魏の曹洪の愛馬で葦毛馬。

正史には登場していませんが、類書である『拾遺記』や『太平御覧』などに記述が残っています。『拾遺記』では「疾走すると風の音が鳴り、足が地面を踏まないかのような名馬」とされています。

驚帆(きょうはん)

魏の曹真の愛馬。

走らせると烈風の中で帆を挙げたような速さ」だった事からこの名がつけられました。

『古今注』に記述が残っています。

最後に

今回は三国志に登場する名馬に焦点を当ててみました。

三国時代には陳寿が著した「正史」や講談である「演義」、他にも様々な史料が存在します。「演義」のように面白おかしく作られたフィクションも存在しますが、三国志の英雄たち以外にも、こうした名馬がより三国志の面白さを際立たせているのです。

参考 : 『正史三国志』『三国志演義』他

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 曹操孟徳の少年期について調べてみた「正史三国志」
  2. 【正史三国志】孫尚香は実は誘拐犯だった? ~孫権の妹・弓腰姫の実…
  3. 『三國志ゲームボーイ版』をクリアしてみた
  4. 三国志のズッコケ4人組「白波賊」の頭領たちを紹介【どこで人生間違…
  5. 1年間で4回も改元!?『三国志』の黎明期、混乱を極めた中平六年を…
  6. 郭嘉とは【若くしてこの世を去ったアウトロー天才軍師】
  7. 三国志で「一騎打ち」は本当にあったのか? 【呂布vs郭汜、馬超v…
  8. 青龍偃月刀は当時存在しなかった? 「三国時代の武器事情」

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【クレオパトラは白人だった】 ギリシア人の女王がローマに残した遺産とは?

クレオパトラは紀元前69年から紀元前30年にかけて、プトレマイオス朝エジプトの女王として君臨…

小林秀雄の公演CDを聞いてみた

昔、古代人はみんな太陽を拝んだ。この信仰は人類どこにでもある信仰です。今だって太陽を…

外国人から見た豊臣秀吉 「ルイスフロイスの人物評」

織田信長が本能寺で横死したあと、家臣だった豊臣秀吉が新たな天下人となった。宣教師たちはこぞっ…

シンガポールはライオンがいないのに、なぜ「獅子の街」なのか? 【マーライオンの由来】

シンガポールと聞いて、多くの方がまず真っ先に思いつくイメージは「マーライオン」なのではないだ…

【巳年に行きたい蛇神社】日本三大白蛇聖地「蛇窪神社・岩國白蛇神社・老神温泉赤城神社」

まもなく2025年を迎えるにあたって、初詣に行く神社の目星を付けている人もいるだろう。そこで…

アーカイブ

PAGE TOP