生活

なぜ日本人は英語が苦手なのか?調べてみたら別にそんなこともなさそうな件

近ごろ「英語脳」なるフレーズをちらほら耳にします。

誰が考えついたのやら、例えば「一日30秒の積み重ねで、あなたも英語脳に!」など、英会話教材その他の宣伝文句に使われていますが、聞く者をして何となく

日本人(≒自分)が英語を話せない(or苦手)なのは、脳みその構造(生まれつきや生活習慣)に問題があったのか!

とばかり日本人の英語コンプレックスを絶妙に刺激して、正直ちょっとヤな感じ(※あくまでも個人の感想)です。

あなたも「英語脳」になりたいですか?それならこちらの教材を……(イメージ)。

まぁ、セールストークやキャッチフレーズとしては、良くも悪くも心に刺さる成功例の一つだとは思いますが……。

それにしても、どうして日本人は英語が苦手なんでしょうか。今回ちょっと調べてみた限りを紹介したいと思います。

意外に複雑?「ン」で実感する日本語の絶妙な発音

まず、英語や英会話の何が難しいのか、日本人の同胞たちに訊いてみると、少なからぬ方が「発音」と答えます。

よく英会話ナンチャラの勧誘トークに「LとRの発音がキレイですね」なんてのがあり、日本人からすれば同じ「ラ」でも、それが「La」なのか、あるいは「Ra」なのかを「ネイティヴ(Native)」の皆さんはとても気にされる?そうです。

イメージ

ちなみに、日本語なまりの英語を「Japlish(ジャプリッシュ)」あるいは「Engrish(日本人のL・R発音が曖昧な様子。正しくはEnglish)」などと揶揄する向きもあるそうですが、インド人や中国人、その他各国の皆さんがあちこちで堂々と話している英語だって、正直なところ五十歩百歩な気がします。

英語に比べて、日本語は発音が簡単でいいよね」そんな意見(誤解)もありましたが、それは日本語「ネイティヴ」だから言えることで、外国人からすれば、日本語の発音だってなかなか絶妙な難しさです。

例えば「ン」の発音。以下の5フレーズ、実はすべて発音が異なります。

一、反応(はのう):後に子音d/n/t/sが続く時
一、半端(はぱ):後に子音b/p/mが続く時
一、判子(はこ):後に子音k/gが続く時
一、(は)を~:後に母音が続く時
一、(は):完全に口を閉じ切った時

もし良かったら、実際に言ってみて「ン」のところで舌を止めてみて下さい。すべて舌の位置が違います。また、発音時に口を閉じていたりいなかったりでも違いが出ます。

こんな複雑な発音を知らない内に使いこなせている日本人なんですから、英語だって他の言語だって、挑戦して絶対できないなんて事はありません。多分。

自分に厳しすぎて、他人も厳しいと思い込んでしまう日本人

こんな話をすると、多くの同胞たちは「そんな発音なんて、日常生活の会話で気にしていないよ」と大らかに苦笑される事でしょう。もちろん、筆者もそうです。

そしてそれは、外国人の話す英語に触れた英語「ネイティヴ」の皆さんも、多くが同じことを思っているでしょう。

英会話教室の先生ならいざ知らず、発音なんてだいたい言葉の意味が通じればいいのです。

東京観光をお楽しみの二人(イメージ)。

例えば皆さんが、外国人に片言の日本語で「シミマセーン、ドッチワカラナーイ?トッキョーエキーハ、ドチデースカー?」と訊かれたとします。

恐らく多くの方は「すみません、東京駅はどちらですか?」などと脳内で適切な日本語に変換されると思います。発音がおかしいからと鼻で嗤ったり、冷たくあしらったりするような日本人は多分いないでしょう。その筈です。そう願います。

誰ひとりとして「発音と文法をわきまえた上でしっかり話せ!きちんと使いこなせていなければ通じて(理解して)やらんぞ!」なんて言っても思ってもいないのに、日本人が勝手に「英語は難しい」「自分には無理」などと思い込み、自分でハードルを上げまくっているだけなのではないでしょうか。

日本人は良くも悪くも真面目ですから、相手に対して少しでも丁寧に接しよう、正しい言葉で会話をすることこそが礼儀であり誠実さではないのか……そう思う気持ちは解らないでもありませんが、それでいざ相手を前に何も話せない(話さない)のでは、誠意もへったくれもないような気もします。

何だかんだで、キャッチボールは続く

「でも、変なことを言ってしまって誤解を招いたり、迷惑がかかったりしたらお互いに気まずいじゃないか」

確かにそれも一理はあるものの、では皆さんは日ごろ母語である日本語を、そこまでキチンと美しく使いこなせているのか、という疑問もあります。

よく会話をキャッチボールに喩えることがありますが、いつも必ず相手のグローブのド真ン中目がけて剛速球を繰り出す必要はないのです(※ビジネスや契約などは別です)。

だいたい相手がいる方向にポーンと投げたボールを、すぐさまキャッチしようと、ワンバン(1バウンド)してから捕ろうと、あるいは華麗にスルーしようと、それは相手が決めることであって、あなたが気をもむ必要はあまりありません。

コミュニケーションをとる意思があれば積極的に捕ろうとしますし、逆になければグローブのド真ン中を狙った剛速球だって避けられてしまいますが、ともあれ大切なのは「相手を理解しよう」「自分を理解してもらおう」というお互いの気持ちです。

そういう根本的な真摯さを忘れて、やれ文法だのLとRの発音だのと堅苦しいお勉強をいくら重ねたところで、テストで点はとれたとしても、英語(特に会話)は一向に上達しないでしょう。

こんなヘロヘロ球だって、キャッチボールは楽しめる(イメージ)。

有意義な時間を共有したい気持ちさえあれば、意思は(少しずつでも)自ずと通じていくもの。ボールを落としたって、また拾えばいいだけのこと。多少のミスや誤解もひっくるめ、大らかに笑えてこそ、人間づきあいに深みも出ようというものです。

「I’m enjoy,now!」
【意訳】私は「楽しい」である、今!

……もちろん出鱈目ですが、こんなんでも笑顔で話しかければ、きっとジョンには「あぁ、タローは僕と一緒に楽しんでくれているんだな」と通じるはず。

片言の英語でも、何なら日本語でもいいから、まずは話しかけてみる度胸。そして正しさよりも「相手を理解し、自分を理解してもらおう」という誠実さ。日本人の英会話(コミュニケーションスキル)における課題は、何よりそれな気がしてなりません。どうでしょうか。

♪正しいより楽しい
正しいより面白い
やりたかったことやってみよう
失敗も思い出

はじめよう やってみよう
誰でも最初は初心者なんだから
やったことないこともやってみよう
苦手な相手とも話してみよう
知らなかったこと 見たことないもの 新しい 楽しい……(Try try!)……♪

※WANIMA「やってみよう」より。

※参考文献:
小栗左多里&トニー・ラズロ『ダーリンの頭ン中 英語と語学 ダーリンは外国人 (コミックエッセイ)』メディアファクトリー、2005年4月

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角田晶生(つのだ あきお)

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フリーライター。
 
日本の歴史文化をメインに、時代の行間に血を通わせる文章を心がけております。
(ほか政治経済・安全保障・人材育成など)
※お仕事相談はtsunodaakio☆gmail.com ☆→@
 
このたび日本史専門サイトを立ち上げました。こちらもよろしくお願いします。
 
時代の隙間をのぞき込む日本史よみものサイト「歴史屋」
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