飲食

なぜチリがワインの名産国になったのか?

なぜチリがワインの名産国になったのか?
近年色々な売り場で見かけることが多くなったチリワイン

安価で美味しく人気のワインとなっている。

輸入量も増加し市場占有率も20%を超え、フランスに続いて今や2位となっている。

ワインの生産国と言えばヨーロッパが主流であったが、なぜ南米のチリがシェアを伸ばしてきたのだろうか?

ヨーロッパの害虫が理由だった

チリワインの歴史は比較的新しい。

チリでワインが作られるようになった大きなきっかけは、19世紀後半にヨーロッパで大量発生したフィロキセラという害虫である。

フィロキセラはアブラムシの一種で、品種改良のためにヨーロッパへ移入したアメリカ原産のブドウ樹に付着していたことで、一気にヨーロッパ中に広まったのである。

フィロキセラへの抵抗力を持っていなかったヨーロッパブドウは壊滅的な被害を受け、多くの歴史あるワイナリーがそのワイン畑と共に失われた。

フィロキセラから苗木を守るために優秀なワイン醸造家たちは新たな土地を探し、最も条件が良かったのがアンデス山脈と太平洋にはさまれたチリだったのである。

チリは夏季に雨が少なく地中海域と環境が近く、昼と夜の温度差が激しいこともブドウ栽培には絶好であった。

以降、フランスを中心に多くの醸造家たちがチリに移住し、チリにはフランス風の豪華なシャトーが今でも残っている。

つまりチリワインは本場ヨーロッパの醸造家たちによって受け継がれて守られてきたワインであり、美味しいのは当然だったのである。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 食は江戸にあり!江戸時代に生まれた人気メニュー 【すし・鰻・天ぷ…
  2. 失敗や偶然から生まれた大ヒット商品 「柿の種、とんこつラーメン、…
  3. 江戸時代の庶民の食事は贅沢だった「白飯、寿司、外食」
  4. 台湾料理店がなぜ急増しているのか調べてみた
  5. 江戸時代の蕎麦(そば)はどのようなものだったのか?
  6. 体のエンジンをしっかり回す食品【疲れない体を作ろう】
  7. ハチミツは紀元前15000年頃には採取されていた 「日本では日本…
  8. 明治・大正時代の洋菓子について調べてみた

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

中岡慎太郎・最期まで坂本龍馬と共にあった志士

陸援隊の創設者中岡慎太郎(なかおかしんたろう)は、土佐出身の幕末の志士であり、坂本龍馬の…

日本で最も名の知られた大泥棒~ 石川五右衛門 【母子と共に釜ゆでの刑】

安土桃山時代の盗賊石川五右衛門(いしかわごえもん)は、豊臣秀吉の治世であった安土桃山期を…

『三国志』 魏の隠れた名将・田豫とは 「劉備が逃した幻の初期メンバー」

魏に仕えた劉備最古参の名将184年の劉備の旗揚げから付き従った人物(初期メンバー)といえ…

京都の朝廷に反旗を翻して「新皇」を名乗った平将門の真実

都での出世を悉く跳ね返された将門の前半生少なくとも1600年以上の歴史を誇る日本の天皇家…

旅の参考書「地球の歩き方」が存続の危機!?

海外旅行のガイドブックでお馴染みの「地球の歩き方」は1979年の発行以来、旅人をしっかり支え…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP