1997年公開の「サタデー・ナイトフィーバー」でトップスターになり、78年の「グリース」などでヒット作を連発した「ジョン・トラボルタ(John Travolta)」。
80年代は逆にヒット作に恵まれないながらも役者を続け、クエンティン・タランティーノ監督作品「パルプ・フィクション」で見事なカムバックを果たした。
そのトラボルタが最近になり、再び注目を集めているという。一体どういうことなのか。
渋さと貫禄を備えた紳士に
【※最近のジョン・トラボルタ。サウジアラビアのリヤドにて】
90年代には貫禄とユーモアを兼ね備えたキャラが板に付いていたトラボルタだが、ここ最近は日本でその名を聞く機会はグッと減ってしまっていた。
だが、海外での評判は違うようで、驚きと賞賛の声が挙がっている。
それは、外見の変化だ。
もともと恰幅のいい体型をしていて、目元も優しい外見から実年齢よりも若く見えていた彼も64歳。そのトラボルタが63歳にして見事なイメージチェンジをした。白髪交じりの髪にあご鬚を蓄えたその姿は実に渋い。これは意図して黒染めと髭剃りを止めたためで、歳相応の貫禄を備えることになった。昨年の夏を最後に変えたようである。
忘れられないアカデミー賞
【※「アナと雪の女王」でエルサを演じたイディナ・メンゼル】
2014年には、自身がプレゼンターを務めたアカデミー賞の授賞式において「アナと雪の女王」の女王・エルサを演じ「Let It Go」が歌曲賞に選ばれた「イディナ・メンゼル」の名前を「アデル・ダジーム(架空の名前)」と間違えたばかりか、イディナの頬に触れながら話しかけるシーンが「気持ち悪い」と話題になった。
イディナには後日、謝罪と花などを送り、本人も「ちょっと戸惑ったけど気にしてないわ」とコメントしたが、トラボルタは舞台上で「愛するビューティフルな人」「才能がある」「至高のイディナ」などと口にしたため、批判に拍車を掛けることとなってしまった。
さらにレッドーカーペットでも暴走は止まらない。スカーレット・ヨハンソンの背後から腹に手を当てて頬にキスをしたのだが、スカーレットは無表情のまま。
ネット上では「気持ち悪い」というワードが飛び交った。
ジョン・トラボルタ 黄金期
そんな彼が最も活躍したのは1990年代だろう。
1994年の「パルプ・フィクション」に始まり、翌年の「ゲット・ショーティ」では、ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。96年には、香港の鬼才「ジョン・ウー監督」の「ブロークン・アロー」で、アクション俳優として知名度を上げた。そして、97年の「フェイス・オフ」では、ニコラス・ケイジとのW主演である「フェイス/オフ」が公開。
この作品では、ジョン・ウー監督と再びタッグを組み、善と悪という二人の人格を見事に演じ分けた。
なかでも、私がシビレたのが、2001年の「ソードフィッシュ」である。若き日のヒュー・ジャックマンを翻弄する謎の男を演じたトラボルタは、エスプレッソ飲みながら葉巻をくゆらせ、アクションでは、スーツ姿でTVRタスカンを乗り回して、最後はM249 MINIMI軽機関銃を街中でブッ放す!トラボルタの演技力とMVの巨匠「ドミニク・セナ」の迫力ある演出には興奮したものだ。
【※M249 MINIMI】
だが、その後も映画出演はあるものの、往年のヒットには届いていない。
ベテランパイロットとして
プライベートでは、航空機マニアでもあるトラボルタだが、自身で大型旅客機を所有するばかりか、操縦もしてしまう。9種類もの操縦資格を持ち、自宅には滑走路まで併設させるほど。映画のプロモーションのため、2003年にオーストラリアまでボーイング707を操縦した際には、カンタス航空の親善大使に任命されている。
豪邸を囲むように大小の航空機が駐機する様は迫力があり、その場所もフロリダにあるパイロットたちが住むコミュニティの一画だという。
だが、2017年、彼は自家用のボーイング707をオーストラリアの博物館へ寄付した。同機は、カンタス航空から購入したものであり、さすがに歳を考えてのことか、寄付とともに自宅の内部も公開して話題となった。
ジョン・トラボルタ邸を紹介した動画
息子の死と新興宗教
しかし、彼のプライベートは充実しているとはいい難い。
というのも1991年に女優のケリー・プレンストンと結婚し、長男が生まれたが、2009年1月に16歳という若さでこの世を去った。後に娘と息子をもうけている。
その他、新興宗教の「サイエントロジー」の熱心な信者であり、組織のカルト的な活動から批判も多い。ただ、2010年のハイチ地震が起きたときには、支援のために自分で操縦する旅客機に支援物資や医薬品、サイエントロジーの牧師を乗せて妻とともに現地へ飛行している。
ハリウッドスターとしては珍しく離婚暦がないことから、家族を大切にしていることもうかがい知れる。
最後に
今のトラボルタには落ち着きがある。今までも落ち着きがなかったというわけではないが、俳優とパイロット(趣味ではあるが)を両立させ、パワフルに活動していたからだ。
今回のイメチェンのヒントはそのあたりにあるだろう。俳優としてもヒットがないだけで、コンスタントに仕事はしている。
いぶし銀の演技とともに落ち着いた生活を送ってもらいたいものだ。
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