エンタメ

韓国の主婦YouTuberの人気について調べてみた

韓国の主婦YouTuber

子供のなりたい職業第1位の常連である「YouTuber(ユーチューバー)」。

2008年に収益化が始まって以来、自身のYouTubeチャンネルのみで生計を立てる人も増え、「YouTuber」という新たな職業が確立した。その現状は、お隣韓国でも同じだ。今、韓国で人気を集めているのが韓国の主婦たちが運営するYouTubeチャンネルである。世界各国のファンに愛され、チャンネル登録者数100万人を記録する人気チャンネルも多数存在する。

定期的に配信される、家事をしながら過ごす主婦たちの日常を映した『Video Blog(ビデオブイログ)』、通称『VLOG(ブイログ)』が注目を浴び、韓国国内では『家チューブ』とも呼んでいる。家事のノウハウはもちろん、主婦YouTuberたちが日頃から愛用する生活用品やインテリアへの関心も高まっている。

アメリカのニューヨーク・タイムズで韓国の主婦YouTuberたちの活躍が取り上げられたことも大きな話題となった。

以下は筆者も登録している人気チャンネルである。

•ハミママ(Hamimommy)

https://www.youtube.com/c/Hamimommy

•해그린달 haegreendal

https://www.youtube.com/c/haegreendal

充実した日常は家の掃除から

主婦の日常VLOGは、朝の掃除から始まる。この掃除をする様子だけを撮影したVLOGこそ、絶大な人気を誇る内容である。

人気を集める理由としては、新型コロナウイルスの影響が関係しており、感染対策を兼ねた様々な掃除の方法に関心を持つ視聴者が増えたことが挙げられる。韓国の主婦YouTuberがVLOGで見せる掃除一つ一つの方法には、視聴者の誰もが簡単に真似できる主婦の知恵がたくさん取り入れられている。

例えば、キッチン周りの掃除にはレモンやオレンジといった柑橘系の果物とお酒を使用する。これは、柑橘系の果皮(かひ)に含まれた『リモネン』という洗浄効果のある成分と、お酒に含まれたアルコールの殺菌・消毒効果を利用している。

料理や、子供のおやつで余った果皮を最後まで使い切ることは、環境にも優しくエコ活動に熱心な韓国では称賛の声が相次いでいる。

韓国の主婦YouTuber

また、水垢で汚れが溜まりやすい洗面台には研磨剤成分を利用した『歯磨き粉』で着色汚れを落とし、鏡やガラスの汚れには雑菌の繁殖を防ぐ『クエン酸』を含んだ『お酢』を使用する。これらの家庭にある身近な食材や生活用品で掃除を行うことで、専用の洗剤を何種類も購入するより節約に繋がると好評を得ている。

長い自粛生活が続く中、家の掃除も無理なく持続可能な方法で取り組むことができるようにと、主婦YouTuberたちのチャンネル作りの工夫も垣間見れる。

真似したくなる理想の空間

韓国たちが日頃から利用している部屋のインテリアも、『家チューブ』の魅力を惹き立てている。部屋の雰囲気作りには欠かせないインテリアには、温かみを感じる木製の食器に、可愛すぎないパステルカラーを用いたソファーとカーテン、素朴で色に統一感のある部屋がに映し出される。

一人で忙しく家事をこなし、日々家族を支える世界中の主婦たちが憧れる空間がそこには存在する。

韓国の主婦YouTuber

部屋のアクセントになる植物やキャンドルへの細かい演出も話題を呼び、同じ商品を揃える熱心なファンも多い。

この素朴で飾りやすい韓国のデザインは、日本でも人気を集めており、日本国内からも購入可能な『韓国風雑貨』『韓国インテリア』専門の通販サイトが立ち上がっている。

音楽と共に綴る自身の気持ち

YouTubeの動画編集において重要視されているのが、映像の中に入れる自身の想いを綴った字幕と、それに合わせた楽曲だ。掃除や料理、家族との時間を映すVLOGでは落ち着いたメロディーの洋楽や、クラシックが流れることが多く、季節に合わせたハロウィンやクリスマスソングの楽曲もVLOGを盛り上げている。

主婦YouTuber自身が日記を書くように胸の内を綴る字幕には、主婦であるからこそ抱える悩みと葛藤が反映されている。特に結婚前の自分、妻になった自分、母親になった自分と生活環境が変わっていく中で、家族との時間とは別に自分自身の休憩の時間を持つことの必要性を、視聴者に伝える言葉はとても印象的だ。

家事を終えて、コーヒーを飲みながら一人休憩を取るシーンが登場すると、世界的に変わってしまった生活様式の在り方に不安を抱えている様子も見て取れる。

韓国の主婦YouTuber

あと何ヵ月という時間を、一日一日大切に暮らしていけば、想像もしていなかった良いことが起こるのではないだろうか。』という言葉を動画の最後に残す主婦もいる。今は、家族が健康であることと、家族との距離を上手く取ることに集中するだけで精一杯だが、その努力がいつか報われるはずだと、世界中の全ての主婦の気持ちを代弁しているかのように、視聴者に向けてメッセージを送っている。

映像から得られる学びと考え

韓国の主婦YouTuberの日常VLOGには、『私と一緒に家の掃除を始めて、家族がくつろげる空間を作ろう。』という前向きな作り手の想いが込められている。

その想いは、メディアに対してリアリティを求める視聴者たちの心を掴み、細やかな日常生活こそが家族の幸せであると、家族への愛を大切に想う韓国という国を表現している。YouTube動画を通して個人の生活や考えを知り、そこから一人の人間として学べることもある。

互いの考え方や思いに対し、国境をこえて良い刺激を与えることができる存在にもなれる。

 

アバター

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 「ほったらかし料理ができる」大同電鍋とは 【台湾の伝統的な万能電…
  2. 日本ダービーの歴史を調べてみた【キーストンの悲劇】
  3. 端午の節句にちまきを食べるのはなぜ? 「春秋時代の詩人 屈原の死…
  4. 「32000年前にネアンデルタール人が描いたアニメ?」 フランス…
  5. 北朝鮮の観光事情について調べてみた【日本人も行ける!】
  6. BOØWY(氷室京介)のモノマネ日本一!? 【じぐろ京介さんに…
  7. ミステリー小説オススメ作品 「年間読書数100冊越えの筆者が選ぶ…
  8. 【トランプと習近平のディール外交】米国の台湾非介入は日本にとって…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

残虐な王妃として名高い カトリーヌ・ドゥ・メディシス

フランス王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスは、死者1万人を超えるサン・バルテルミの虐殺の首謀者として歴…

「新5千円札の顔」津田梅子 ~日本の女子高等教育に人生を捧げた津田塾創設者

津田梅子(つだ うめこ)は、「男性と協力して対等に力を発揮できる、自立した女性の育成」を理念とした女…

「昭和の食事、今の食事」について調べてみた※こ食問題

昭和の食卓明治、大正の時代にハイカラと言われた洋食文化がすこしずつ家庭にも浸透し、肉を使…

江戸時代の大晦日の面白いエピソード 前編 「井原西鶴の世間胸算用」

江戸時代、日本一華やかな場所と言われた「吉原遊郭」では、大晦日から新年にかけて必ず「狐舞(きつねまい…

♪味よしのう~り売り…豊臣秀吉たちが繰り広げた仮装パーティ「瓜畑遊び」【どうする家康】

NHK大河ドラマ「どうする家康」、皆さんも楽しんでいますか?筆者もこの先どんな展開になること…

アーカイブ

PAGE TOP