「日本で最南端の都道府県は?」と聞かれれば、誰しもが「沖縄」と答えるだろう。
それくらい沖縄は日本最南端というイメージが強い。
だが実は、日本最南端の都道府県は沖縄ではなく「東京」だったのである。
沖ノ鳥島(おきのとりしま)
沖ノ鳥島は、小笠原諸島に属するサンゴ礁からなる島であり、東京都小笠原村に属している。
東京都心部から約1,740km南に位置しており、なんとハワイのホノルルよりもわずかに南である。
東小島と北小島の2つの島があり、最大幅で4.5kmほど。
干潮時には島の大部分が海面上に姿を現しているが、満潮時には大半が沈んでしまう。
つまり人は住めない島である。
そんな沖ノ鳥島だが、戦時中は無人灯台施設が途中まで建設され、現在ではその場所に気象・海象観測施設が作られている。
他には船の座礁防止のために「沖ノ鳥島灯台」が設置されている。
地盤沈下が極めて小さいことでも知られ、地球温暖化に伴う海面の水位変化を調べるのに役立っているという。
日本政府は1987年に海洋保全地区に指定し、翌年には島が波で削られて消失しないように、鉄製消波ブロックの設置とコンクリート護岸工事を施している。ちなみに工事費用は約285億円である。
なぜこの島の保護に政府がやっきになるかというと、沖ノ鳥島を中心とする「排他的経済水域(天然資源の権利を主張できる水域)」を失わないためである。
この島が消失してしまうと、日本の国土以上の水域を失ってしまうのである。
他に沖ノ鳥島は「島」か「岩」か、での長年の国際的論争がある。岩ではないかと主張しているのは主に中国・韓国・台湾である。
基本的に日本の領土とは認められているが、もし「岩」という認定になれば「排他的経済水域」は認められなくなってしまうのである。
2012年、大陸棚限界委員会において島の北側の海域が認められ、沖ノ鳥島が条約上の「島」であることは事実上認定された。しかし南側の海域は未だ論争中である。
この記事へのコメントはありません。