健康

トランス脂肪酸とは何か「マーガリンは身体に悪い?」

トランス脂肪酸とは何か ?

トランス脂肪酸 は、自然界にはわずかな量しか存在せず、科学が大量に生み出した新しい物質であり、人体が適切に処理できないため体に悪いと言われている。

動物性脂肪よりもコレステロールが増えるという説もあり、健康のためにとバターをマーガリンで代用していた方にとっては衝撃的な情報かもしれない。

そんなトランス脂肪酸について今回は見ていきたい。

トランス脂肪酸の害

さて、トランス脂肪酸は脂肪だが、他の脂肪と何が違うのだろうか。
脂肪(正確には脂肪酸)には大きく分けて4つの種類がある。

単価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、そしてトランス脂肪酸だ。

不飽和脂肪酸(単価・多価)は液状の植物油であり、LDL(悪玉コレステロール)の吸収を阻害してくれるフィトステロールを多く含む。

確かに脂肪なのでカロリーは高くなるが、新鮮で加熱されていない液状の植物油は総じて良質の油であり、賢く利用することによって健康をサポートする機能も持っている。

トランス脂肪酸とは何か

飽和脂肪酸とは、常温で固体になっている油脂や動物性の脂肪を指す。
肉の脂身や乳製品、チョコレート(カカオバター)、ココナッツオイル等がこれにあたる。

飽和脂肪酸はエネルギー源として有能だが、欧米化した食生活などで大量摂取が習慣化されると、循環器系の疾患リスクを高めることでよく知られている。
常温で固まり、冷えるとザラついた食感になるので、これが体内で血管に付着するイメージを持てば摂取は控えやすくなるかもしれない。

最後にトランス脂肪酸
これは食用油脂の中でも歴史が浅く、イレギュラーな存在だ。
欧米で飽和脂肪酸の過剰摂取が健康に悪いと明らかになってからは、そのヘルシーな代替品として採用されてきた。

だが、時代とともに研究が進むと、トランス脂肪酸も決してヘルシーではないどころか、LDL(悪玉コレステロール)を有意に向上させることが判明した。
そのため、油脂類を多く消費しがちな欧米では、摂取量が規制されるようになっている。

日本でも、少し健康を気にして情報収集している人の間では、避けるべきものとして定着しているが、全く知らずに生活している人々も多い。

トランス脂肪酸が多く含まれる食品

さて、この問題児、トランス脂肪酸とは実際どこにあるのだろうか。
それはあまりにも身近なところに存在する。

多くのマーガリン、ショートニング、ファーストフード、そしてそれらを使ったパンや菓子類。
こういった食品にトランス脂肪酸は含まれる。

つまりはジャンクな加工食品や店売りの安くて甘いものに要注意だ。

トランス脂肪酸とは何か

トランス脂肪酸は第一に、揚げ油などの植物油を高温加熱した場合、また電子レンジで食品を加熱したりすると発生することで知られている。
自然界にはわずかしか存在しないが、牛や羊由来の肉や乳製品には天然のトランス脂肪酸がほんの少し含まれている。

そしてそれよりも圧倒的大量に含まれているのは、マーガリンやショートニング、ファットスプレッドといった固形の加工された植物油脂だ。
植物油というといかにもヘルシーそうで、本来は確かにヘルシーだった。

しかし、これらの油脂製品には「水素添加」という工程が含まれ、それによって大量のトランス脂肪酸を発生させてしまう。

トランス脂肪酸、デブの危険なお友達

トランス脂肪酸とは何か
ジャンクでジューシー、かりっとしたファーストフード。
安くて大袋の菓子パン。
これらは安価で手軽に現代人の胃袋を満たしてくれる庶民の味方だ。筆者もよくお世話になってきた。
しかし時計やお財布に優しくても、体には優しくない。
こういったチープな食品に頼りすぎることは危険だ。

全体的に栄養バランスを欠きカロリー過多傾向になることは言うまでもなく、トランス脂肪酸というきわめて質の悪い脂肪を摂取してしまう。

カロリー上等!デブが食いしん坊で何が悪い?

そう開き直る声もある。
けれどもそれが体型だけの問題でなく、深刻な健康問題に直結していたら…?
身体がある程度健康であってこそ、食事も安心して楽しめるのではないだろうか。

神経質にならず、意識して避ける

このようにトランス脂肪酸の危険性についてご紹介してきたが、外食産業や加工食品が日常的に利用されている現代日本。
まったく摂取を0にすることはかなり難しいのが実際のところだ。

とはいえ、トランス脂肪酸=食べると死んでしまう毒 という訳ではない。

他の食品添加物や不摂生な生活習慣と同様に、無理のない範囲で避けるよう心掛けていくことが大切だ。元々、バランスの良い健康的な食生活を心がけている人にとっては特別警戒するほどではない。

例えばマーガリンの食感が好きでやっぱり使いたい、という場合は少しくらいなら食べてもいいだろう。問題点が各方面から指摘されるようになってきたため、各社では製造時にトランス脂肪酸を0に近づけるべく工夫するようになった。(例:ミヨシ油脂は10年以上前からトランス脂肪酸の低減化に取り組んだマーガリンを製造)

また、油脂分だけではなく、健康に良い成分も添加してヘルシー方面に近づけようと努力してもいるいる。購入する場合は表示を見比べて、安いほうではなくより良いほうを買うようにしたい。

もちろん徹底的に摂取を避けたいと考えて食生活を一新することも素晴らしい心がけになるが、ヒステリックになってストレスを溜めてはそれも身の毒になる。また、周囲の人々に押しつけるような形になってはまずい。

クリスマスや年末年始も近く、高カロリーな加工食品のお世話になりがちな季節。
あくまで自然に楽しめる範囲内で、食生活を改善していきたい。

関連記事:
コレステロールをやっつける!フィトステロールの底力 「見逃されている栄養素」

アバター

ニジクマノミ

投稿者の記事一覧

ちょっと変わった色の魚です

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 昔の女性は生理をどうしていたのか? 「生理の今昔物語」
  2. うつ病に『がんばれ!』はNGじゃない?!うつの人との正しい接し方…
  3. パーソナリティー(人格)障害って何?「3つのタイプ、治療は可能?…
  4. ルイボスティーの効能について調べてみた【疲れがとれる不思議なお茶…
  5. 実体験【100円ショップのオススメ】ひんやり冷感グッズ6選
  6. 野口英世【苦学・努力の人の印象とは少し違う実像】
  7. ビタミンC の効能について調べてみた
  8. 【実体験】痛い?苦しい?内視鏡検査を受けてみた!その結果……

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

『奈良時代』 貴族中心に栄えた「天平文化」について解説 「奈良時代の庶民の服装や住居」

奈良時代の文化は、外交や仏教の発展が大きく影響し、先の飛鳥文化や白鳳文化から花開いたものであ…

「清朝の宮女への恐ろしい刑罰」 墩鎖刑 ~キツキツの箱に入れて死まで閉じ込める

清朝時代の宮廷中国の清朝時代、皇帝が暮らす華やかな宮廷には多くの女性や宦官が仕えていた。…

筋トレがもたらす効果 【肥満防止、肩こり改善、若返り、前向きになる】

近年、空前の筋トレブームである。アスリートでない一般の人々であってもパーソナルトレー…

黒田官兵衛は、関ヶ原の戦いのどさくさに本当に「天下」を狙っていたのか?

昨今、戦国四方山話として様々な逸話や伝説が取り上げられているが、その中でも強烈な話の一つが「黒田…

キラキラネームは昔から存在していた 「悪魔ちゃん、王子様騒動の顛末」

キラキラネームとは、一般的に名前に独自の当て字を付けた個性的な名前、または人名にはあまり見ら…

アーカイブ

PAGE TOP