なぜ刑務所の塀はあんなにも高いのか? 皆さんは考えたことありますか?
近くにお住まいの方はご存知だと思いますが、何しろ高いです!もちろん脱走防止が一番の目的です。
実測したことはありませんが、5mか6mはあると思います、塀は外側からは見えにくいですが、内側からみると裸電線が上の方に幾重にも巡らしてあります。
それに触れると感電死するというものでなく、弱電性の探知機のようなものです。
カラスでよく警報機が鳴る
以前、務めた刑務所はカラスがたくさん生息しいて、その裸電線にカラスが触れたり、止まったすると、警報機が処遇本部に鳴り非常事態のような騒ぎで、警備隊が全速力で走って来ます。
どうせカラスだよ!いつものことなので懲役は冷ややかな目で見ながら仕事をしていると、「点検―ん!点検―ん!」と担当が叫び全員整列人員点検。いつもの点検より少し気合いが入った点検です。一応、脱走の可能性を考えての点検でしょうが、仕事も一時的に止まります。
そこの刑務所では多い時には1日2~3回カラスに仕事をじゃまされたことがありました。
人員点検がやたら多い
少し話は変わりますが、刑務所では1日に10回~13回人員点検があります、20~30人の工場は点検も楽ですが、100人前後の工場では点検が大変です。
端の人から通し番号をいうのですが、声が小さかったり、番号を飛ばしたりすると担当職員の「番号元へ!又、番号元へ!」と何度も罵声がとんできます、間違える人は決まっています。またお前か!・・
刑務所的に“4”はヨンと発音すると怒られます!“4”は “シ”と発音し、“7”は ナナと発音すると怒られ!“シチと発音します。どっちでも良いだろう!小学校で習いましたか?
朝の起床後の点検から始まり全員居室に入った夕点検で刑務所の一日が終わります。その数10~13回。刑務所は点検で始まり点検で終わります。
過去に外人さんが塀際に桜の大木に昇りその木の枝から塀をめがけて飛び降りましたが塀までは届かず、残念な結果となりました。
その大木は春になると桜の花を咲かせ刑務所の名物桜でしたが、次の日、根元から切断されついに切り倒されてしまいました!
外からの投げ込み防止のため
塀が高い理由の一つに、外部から物品の投げ込みの防止です。
仲の良い同じ工場の出所者や、中の事情に詳しい人などが運動時間に合わせ、タバコやライターを投げ入れたり、ふざけ半分で色々なものを投げ込まれたり、昔はよくありました。
また、塀の中へ侵入する奴もいたそうです。どこかの大親分が運動時間に外に出ると、近くの大木の切り株の上にタバコやウイスキーの小瓶が置いてあったと噂で聞いたこともあります。
社会で悪いことをしてきた人の集まる場なので、何か恨みをもった人が入って来ないとも限りません。
最近は、運動場でソフトボールの球が塀の下まで行っても勝手に取りに行けず、警備隊の職員に許可をもらわないと近くまで行くことができません。
プライバシー保護のため
それと、やはりプライバシー保護のためです、中には芸能人も政治家もいます、彼らを含めなくても、懲役個人にもプライバシーの保護の権利があります。
動画でも撮られYouTubeにでもアップされたら大変なことになります。
刑務所側も最近では、かなり個人情報に関しては気を使ってくれます、社会対刑務所でなく懲役対懲役に対してもかなり気を使います、名札には名前を書かず番号だけにしたとか、収容者にとって一番漏えいされたくない情報ですから!
塀は脱走防止だけではなく、懲役を外部からのあらゆる敵を防いでくれる大事な塀なんです・・・・・
塀のない刑務所
塀のない刑務所は全国で4か所あるみたいです、網走二見ケ岡農場、市原刑務所、広島有井作業場、松山大井造船作業場です。
私が経験した松山大井造船作業場は、膨大な敷地の造船場の一角のあり、見た目は普通の寮のような感じです、昼夜間窓は施錠しません、しかしそこには厳しい掟と先輩方の注意指導があります。
親父(担当職員)は注意指導については何も言いませんし、怒ることもありませんただ黙って観ているいるだけです!
懲役同士の相互監視のようなところで、上の者が下の者に注意指導するのです。
「だれだれ君! ○○のとき声が小さかったじゃねえか! はいどうもすみませんでした! 本当に反省してんのか! はいどうもすみませんでした! 明日からやる気を出せよ! はいどうもすみませんでした! 声が小さい! はいどうもすいませんでした!」
この繰り返しが延々とつづき、しかも出来うる限りの大声で叫ぶのですから夜の寮では色々な所であやまりの叫び声がきこえます。
外部の人が聞けばおかしな宗教団体の集まりだと思うでしょう。
最初はびっくりしましたが慣れてくると、ただの儀式の様な感覚になりました。
寮では犬を一匹犬を飼って居ました、その犬の餌やり当番が私でした。一度、餌をやり忘れたことがあり、先輩の注意指導でそいつの犬小屋の前で半日間「はいどうもすみませんでした! はいどうもすみませんでした!」と、でかい声で叫び続けたことがありました。
犬もポカンと頭を斜めにして、この人何してんだろうと言う顔でみていました。
そんな大井造船場には形として見えませんが、高い高い塀がありました・・・・
勉強になりましたありがとうございました。
勉強になりましたありがとうございました。頑張ってください。