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イーグルスファンが目撃した歴史的な一日 「2021年NFLドラフト初日」

イーグルスファンが目撃した歴史的な一日

歴史を作ったドラフト初日

アメリカ東部時間4月29日、NFLドラフトの初日が行われた。

カレッジフットボールを盛り上げたスター達の晴れ舞台という事もあり、全世界のNFLファンは誰が自分のチームに来るか、一喜一憂しながら見守った。

今回は、フィラデルフィア・イーグルスのファンから見たNFLドラフト初日を振り返る。

退屈すぎた上位5人

NFLドラフト初日は1巡のみで指名されるのは32人しかいないが、全米トップの大学生32人という事もあり、特に注目度が高い。

筆者が応援しているフィラデルフィア・イーグルスは、2020年シーズンを4勝11敗1分という成績で終えた代わりに全体6位という高順位の指名権を手に入れたが、マイアミ・ドルフィンズとのトレードで翌年の1巡を手に入れる代わりに12位まで順位を下げていた。(このトレードに関する経緯の解説及び感想はドラフト後の振り返りに書きたい

順位が下がった上にエースQBのカーソン・ウェンツもトレードで移籍とイーグルスファンにとってテンションが下がる一方だったが、オフの一大イベントが直前になっても盛り上がらないのには理由があった。

全体1位はジャクソンビル・ジャガーズトレバー・ローレンスで確定、2位もニューヨーク・ジェッツザック・ウィルソン指名が濃厚、3位はトレードアップしたサンフランシスコ・49ersジャスティン・フィールズ、トレイ・ランス、マック・ジョーンズの誰かを指名すると、どのモックドラフト(ドラフト予想)を見てもメンバーがほぼ決まっていた。

4位と5位も鉄板で、アトランタ・ファルコンズカイル・ピッツシンシナティ・ベンガルズジャマール・チェイスとこちらも予想が固まっていた。(フィラデルフィア出身で、プレーを見た瞬間に「こいつは革命を起こす!」と衝撃を受けるほど一目惚れしたピッツが手に入らないのは非常に残念である

49ersが3位で誰を指名するかにバラつきはあったものの、ここまで予想が固まっているドラフトも珍しく、醍醐味の一つであるはずのサプライズは皆無だった。

唯一誰を指名するか読めなかった(強いて言うならジャスティン・フィールズが有力だった)49ersがトレイ・ランスを指名したのは予想を外したファンから驚きの声があったが、QBだった事に変わりはないので、指名された上位5人は概ね予想通りだった。

救われたイーグルスファン

サプライズなしの序盤によってトレードダウンしたイーグルスファンは救われた(ピッツかチェイスが残っていたのに指名出来ないのは辛すぎたので本当に良かった)が、出番が来るまで6チームの指名を待たなければならない。

ピッツを除いた筆者の希望は、カレッジ最優秀選手に贈られるハイズマン賞を受賞したWRのデボンテ・スミスで、リーグ最低のWR陣に悩まされているチームのニーズにも合っている。

イーグルスファンが目撃した歴史的な一日

デボンテ・スミス (DeVonta Smith)

ファンもスミスの指名を希望していたが、12位までスミスが残っているか微妙な事もあり、モックはWRのジェイレン・ワドル、CBのジェイシー・ホーンパトリック・サータインの三択だった。

6位なら余裕でスミス(何かの間違いで落ちたらピッツかチェイス)を指名出来たのに、わざわざ下げた時点でGMのハウィー・ローズマンは何を考えているのかとトレード当初から批判の声が殺到していたが、誰を獲るのか全く読めないという意味ではこの数年で最も面白いシチュエーションではあった。

6位指名権を譲ったドルフィンズがスミスを指名したら正直泣いていたが、直前のモックではチームメイトのワドルという声が多く、モック通りワドルを指名してくれた。

183センチ、75キロとプロとして細すぎる体格と、ドラフト候補生の身体能力を測定するプロデイのテストを回避したためスミスが評価を下げていた事と、ワドルの圧倒的なスピードが評価されての指名だった。(ケガで2020年の半分を欠場したワドルもリスクがあるように見えるが、来年の1巡をくれた上にワドルに行ってくれたドルフィンズには感謝しかない

残るはデトロイト・ライオンズ、カロライナ・パンサーズ、デンバー・ブロンコス、ダラス・カウボーイズ、ニューヨーク・ジャイアンツの5チームだが、NFC東のライバルで、スリップしたスミスを予想する声も多いジャイアンツが邪魔すぎた。

ハイズマンWRを巡る攻防

ライオンズはLTのペネイ・スウェルを選び、WRを必要とするチームはジャイアンツに絞られる。

このままトレードなく進み、CBもスミスも消えた場合は第二希望候補のLBのマイカ・パーソンズか、ニーズ無視で残った中でいいと思われる選手を指名するBPAでフィールズを指名するか、トレードダウンで指名権を増やすかの三択になる。

守備の要であるLBも欲しいのでパーソンズなら嬉しいといえば嬉しいが、各チームに上手くやられたような気がしてあまりいい気分ではない。

そんな中、ホーン、サータインのCBが連続で指名されたためカウボーイズの選択肢がなくなる。

この時点で、上手くやればスミスが手に入るのではないかというシナリオが頭をよぎるが、ここで当日になって初めてのトレードが発生する。

そのチームは、フィラデルフィア・イーグルスだった。

イーグルスは、自分達が持っていた全体12位と3巡84位の指名権を渡して10位にアップする。

スミス以外の候補は、アラバマでチームメイトだったワドルに加え、CBも両方とも消えていたので、裏切りでパーソンズかフィールズに行かない限りスミスしか有り得ない。
一ヶ月前に諦めていたデボンテ・スミスが手に入るという、まさかの大勝利に信じられない気持ちで笑顔になるが、実際にスミスの名前が呼ばれるまで油断出来ない。

モニターの前に立つと、祈るように手を組んで、誰が指名されるか見守る。(去年はTwitterで誰が指名されたかリークするツイートを見ていたのでジェイレン・リーガーが指名される事を事前に知っていたが、今年は恐すぎてTwitterを見られなかった

登場したロジャー・グッデルから呼ばれた名前は「DeVonta Smith」だった。

5年前にウェンツが指名された時は、ドラフト前から99.9%決まっていた事もあって特にコメントすべき事はなかったが、今回は当日になるまで全く読めず、グッデルからスミスの名前が呼ばれた瞬間に「よし!」とガッツポーズで喜びを爆発させた。

結果から言うと個人的大本命の選手が手に入り大満足だった(社交辞令込みでもドラフト直後の好青年すぎるツイートを見てスミスを即フォローした)訳だが、個人の希望や感情を抜きにしてもハイズマンWRを巡る攻防は非常に見応えがあり、各チームの思惑が絡み合ったこのトレードはドラフトの面白さを凝縮したものだった。(カウボーイズの本命だったCBを両方とも指名してダウンの申し出を飲まざるを得ないシチュエーションを作ってくれたパンサーズとブロンコスにも感謝しなければならない

また、イーグルスと共謀してジャイアンツに嫌がらせをする形になったカウボーイズも無事にパーソンズを指名する事が出来た上に、3巡のドラフト権も手に入ったため、トレードを行った2チームにとって大きな意味のあるトレードになった。

そして、目の前でスミスを取られたジャイアンツはトレードダウンで20位まで順位を落とし、同じくWRのカダリアス・トニーを指名する事になる。

ジャイアンツにトレードを持ち掛けてフィールズを指名したシカゴ・ベアーズから来年の1巡を手に入れたのだから損はしていないが、同地区のライバル2チームによる嫌がらせを受けたジャイアンツファンの怒りは凄まじく、イーグルスファンから見ると非常に痛快な光景だった。

歴史的だったドラフト1巡

ここまではイーグルスの指名を巡る駆け引きを書いて来たが、歴史に残る攻防戦以外にも特筆すべき一日となった。

2010年から2020年までの10年間で8人のQBがトップ指名されている事からも分かる通り、近年はチームの司令塔であるQBがトップ指名される傾向にある。

今回も予想通りローレンスが全体1位で指名されたが、1位から3位までQBが連続指名されるのは1999年のティム・カウチ、ドノバン・マクナブ、アキリ・スミス以来実に22年ぶりだった。(QBによる123フィニッシュは1971年もあったため今回が3例目になる

また、1巡指名が予想されたQBはモック通り全員1巡で指名されたが、1巡でQBが5人指名されるのは、2018年、1999年と並ぶ史上2位タイ(1位は1983年の6人)であり、そういう意味でも2021年のドラフト初日は歴史を作った一日だった。

関連記事:
NFLドラフトのルールと用語解説 「日本のドラフトより50年進んでいる?」
フィラデルフィア・イーグルスの2017年 ①「激動のレギュラーシーズン」

 

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浦和レッズ、フィラデルフィア・イーグルス&フィリーズ、オレゴン州立大学、シラキュース大学を応援しているスポーツ好きな関羽ファンです。

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