「クルーズトレイン」という言葉を知っていますか?
JRが運行する「周遊型臨時寝台列車」のことで、JR九州の「ななつ星」が有名ですよね。つまり、「豪華な列車に泊まりながら、ゆっくりと国内を観光しよう」というコンセプトです。
しかも、このクルーズトレインは「ななつ星」だけではありません。では、なぜ今、クルーズトレインが人気なのでしょう?
色々な列車とともにその事情を調べてみました。
目次
ななつ星in九州(ななつぼし イン きゅうしゅう、SEVEN STARS IN KYUSHU)
※「ななつ星in九州」
JR九州が運行する豪華寝台列車で、クルーズトレインの先駆けです。
コンセプトは「新たな人生にめぐり逢う、旅」。
旅は特別なものだけれど、この列車での旅は立ち寄る先々で色々な人と出会い、新しい人生が発見できる、というものらしいです。
名前の由来は「九州の7つの県を表現」「九州の主な7つの観光素材を表現(自然、食、温泉、歴史文化、パワースポット、人情、列車)」「7両編成の客車を表現」ということです。みなさんもご存知でしょうが、ななつ星は九州各地を巡り、自然・食・温泉・歴史等を楽しむことを目的としています。つまり、ツアー形式の旅なんですね。
しかも、この列車は「大人の空間」のため、参加者は中学生以上、車内の共用スペースでのドレスコードは「スマートカジュアル」と決まっています。1人あたりの価格は1泊2日で15万円 ~ 40万円(車中泊)、3泊4日で38万円 ~ 95万円(車中2泊・旅館1泊)!高いとは思っていましたが、さすが「大人の空間です」。
平均抽選倍率は33倍ときわめて高く、この列車を運行しているJR九州はさぞ儲かっているのだろうと思っていたら、会社全体では「赤字」というから驚きです!それでも長期的に見れば、海外で知名度が上がり九州への訪日客が増えれば、JR九州はもちろん九州経済全体にとっても有益だなのだとか。さらに、ななつ星という特別な列車があることで社員のモチベーションも上がるそうです。
ななつ星in九州 → 公式HP
TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)
※TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)
JR東日本が2017年5月から運行を開始したクルーズトレイン。出発する駅と到着する駅が同じで、TRAIN SUITE 四季島に乗車すること自体が旅の目的とのことです。
コンセプトは「深遊探訪(しんゆうたんぼう)」。
日本の奥の深さと出会い、四季のうつろいと今までにない体験や発見を通じて「まだ、知らないことがあった、という幸福」を感じる旅ということです。
「四季島」の由来は、日本の古い国名「敷島」の同音異字であり、美しい四季と伝統を感じながらの旅を連想させ、時間と空間の移り変わりを楽しむ列車であるという想いを込めて命名したということです。
3泊4日のコースでは上野駅を出発、2日目に函館、登別へ向かい、登別の宿に宿泊、3日目は北海道を回り、4日目に新潟を経由して上野に戻ります。1泊2日コースでは会津若松駅など、南東北を回ったり、季節によっても色々なプランがありました。
ななつ星の倍率は33倍でしたが、四季島は運行開始日の当選倍率が76倍(!)だったそうです。列車は10両編成ですが、乗客の定員は34人、しかも1泊2日から3泊4日の旅は、1人あたり32万円から105万円・・・やっぱり、別世界のお話でした(笑)
TRAIN SUITE 四季島 → 公式HP
TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレス みずかぜ)
※TWILIGHT EXPRESS 瑞風
JR西日本が2017年6月から運行開始したクルーズトレイン。京阪神地区と山陰山陽エリア間で運行されています。
コンセプトは、「上質さの中に懐かしさを」。ホテルのような上質さと心休まる懐かしさを感じる列車で、この国の素晴らしさを再発見する、ということで分かりやすくていいですね。
1989年(平成元年)から約26年間にわたって運行していた豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」の名称に、「みずみずしい風」という意味の「瑞風」という名前を合わせたそうです。ちなみに「瑞風」には「吉兆をあらわすめでたい風」という意味もあるのだとか。瑞風も、運行中に沿線での立ち寄り観光を実施しています。
京都や大坂を出発して、山陽(瀬戸内海側)と山陰(日本海側)を走り、下関あたりで折り返して戻るコースだそうです。車内のインテリアデザインは20世紀前半に流行したアール・デコ調をベースに西日本地区の伝統工芸品を誂えた落ち着きある空間を生み出していて、列車は10両編成、定員34名というのは、四季島と同じです。
料金は、大人1人当たり270,000円(1泊2日ロイヤルツイン2名利用)~1,250,000円(2泊3日ザ・スイート2名利用)ということで、もう驚きません(笑)
TWILIGHT EXPRESS 瑞風 → 公式HP
クルーズトレイン がトレンドとなった理由
クルーズトレインには、他にも徳島・香川を走るJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」などユニークな名前の豪華列車がありますが、なぜ、今、豪華寝台列車が人気なのでしょう?
どうやら、狙っている客層は国内の富裕層だけではないようです。
JR九州、東日本、西日本の三社は海外の富裕層マーケットに向けてクルーズトレインの旅を売り込みたいと、フランス・カンヌで行われている旅行見本市に出展していました。この見本市は、世界各国の旅行会社が参加して商談を行うというものです。
2020年の東京オリンピックをひかえ、外国人観光客に来日してもらえるように日本中で様々な取り組みをしていますが、クルーズトレインもその一環だということです。
今まで海外旅行が多かった国内の富裕層にも「日本の良さを再発見してもらう」という意味では、納得できる理由ですね。
まとめ
どの列車も共通だったので最後に書きますが、車内で振る舞われる料理も地域の食材にこだわっています。フレンチのフルコースや会席料理など、一流シェフによる「車内食」や、専属スタッフによるサービスの質の高さも人気の理由です。
クルーズトレインとは、ただの豪華寝台列車ではなく、日本独自の「おもてなし」の気持ちを形にした乗り物なんですね。
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