太古の地球上において、繰り返し形成されては分裂した超大陸。
人類の歴史とは比較できないほどの長いタームで、生き物のように地球の表面を動き続けてきた。
古代、現代、そして未来の超大陸について調べてみた。
超大陸とは?
厳密な定義はないが、地球の表面上において大陸とみなされる陸塊を1つ以上含む非常に広大な陸のことをいう。
一般的に陸塊とは、ユーラシア大陸・アフリカ大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸・オーストラリア大陸・南極大陸の6大陸のことを指す。
つまり、これらの大陸のなかでも大きいものを超大陸と呼ぶこともできる。その意味ではアフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせた「アフロ・ユーラシア大陸」が現在における超大陸といえる。アフリカ大陸とユーラシア大陸はスエズで陸続きとなっているため、ひとつの大陸と見なすことができるのだ。
ご存知のように、地球の陸地はその下にあるマグマの動きに影響され、プレートごと押されて移動する。大陸移動説により、今では多くの人間がそのことを知っているが、それをさらに大規模なスケールで行われるのが超大陸の形成だった。
そのことから、ここではヌーナ大陸に始まる「6大陸のいくつかが結合した状態」を超大陸と定義したい。
古代の超大陸
約19億年前に誕生したと考えられ、地球上に出現した最初の超大陸といわれるのがヌーナ大陸である。現在のグリーンランドを含む北アメリカの主要部分とヨーロッパ大陸の一部に相当すると考えられる。
その後は、約18億年前から15億年前に存在したと考えられるコロンビア大陸、約15億年前から10億年前に存在していたと推測されるパノティア大陸が出現した。パノティア大陸もその後分裂し、約10~7億年前にはロディニア大陸が形成されたと考えられている。
もっと短い期間(それでも何千万年から何億年だが)で見れば、超大陸は分裂していくつかの大陸になり、さらにそれが集結して新たな超大陸になったと考えられる。
パンゲア大陸 の出現
1912年にドイツの地球物理学者、アルフレート・ヴェーゲナーが大陸移動説を唱えるきっかけになった超大陸こそ、ギリシャ語で「すべての陸地」を意味する「パンゲア大陸」である。約2億5000万年前に4つの大陸が次々と衝突したことにより誕生し、約5000万年ほど続いたとされる当時地表で唯一の陸地であった。
これが約2億年前に分裂し始め、現在、我々が知る6大陸の姿になったといわれている。地質時代的にはペルム紀から三畳紀にかけての時代とされ、様々な植物が生息し、原始的な恐竜も出現し始めた時代である。ペルム紀には三葉虫が、三畳紀にはアンモナイトなどが海中で生息していた。
大陸の形状は、赤道をはさんで三日月形に広がっており、三日月内部の広大な内海(テチス海)では多くの海洋生物が繁殖した。一方で内陸部は広大な陸地が続くために乾燥が激しく、荒涼とした砂漠が広がっていたとされる。
なお、現在の日本列島に相当する部分は、左上の海岸沿いの一部らしい。
パンゲアと大陸移動説
※アルフレート・ヴェーゲナ
先述したアルフレート・ヴェーゲナーが大陸移動説を提唱した当時、世界では大陸を動かす原動力が説明されておらず、否定的な見方が多かった。しかし、世界地図を眺めていると、大西洋をはさむ南アメリカ大陸東岸とアフリカ大陸西岸の海岸線がピタリと一致することに気付いた。
※『大陸と海洋の起源』第4版(1929年)より
さらに、この二つの大陸での地質構造の一致や、ヨーロッパと北アメリカの大西洋両岸の地層の一致などが他の科学者によっても発見されていった。
また、海を越えて移動することのできない動植物の分布跡などが世界中で発見されたのである。
ヴェーゲナーの没後、第二次大戦中に潜水艦が登場し、ソナー技術(海中レーダー)が発展した。それにより、海洋底の調査が進むことで、プレートが移動し、衝突することにより様々な地殻変動が生じるとするプレートテクトニクス理論が定着した。
それは1980年代という、つい最近のことである。
未来の超大陸
現在では超大陸は約4億年から5億年ごとに形成され、やがて破壊されるというのが定説である。ということは、今後も超大陸が誕生する可能性が指摘されている。
大陸の移動については、まだまだ研究が始まったばかりであり、数億年後の大陸の動きを予測するのは不可能だが、仮説は生まれている。
ひとつはアメイジア大陸。約2億年後に誕生するとされている超大陸で、アメイジアは「アメリカ」と「アジア」を繋げたものだ。
プレートの移動により、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア大陸の合体によって形成される。その際には太平洋は消滅し、そこに大山脈が出現する。
もうひとつはパンゲア・ウルティマ大陸。ウルティマとは「最後」「最終」を意味することから「最終的なパンゲア大陸」という意味になる。
※パンゲア・ウルティマ大陸
約2億5000万年後から約4億年後にかけて形成されると考えられている超大陸で、パンゲア大陸に匹敵する最大級の超大陸になると予測されている。パンゲア大陸と異なるのは、南半球に南極とオーストラリアが結合した大陸ができ、大洋をはさんで北半球に残りの大陸が集結すると考えられている点だ。
最後に
地球の寿命は太陽の質量から計算すると、残り55億年といわれている。単純計算で超大陸が10回は出現することになる。その後は、太陽が終末とともに膨張して、地球の公転軌道をも飲み込むとされる。
しかし、実際には17億5000万年後には太陽の膨張が始まるとされ、それにより事実上の地球の寿命は終わるといっていい。太陽が膨張すれば、地球の気温上昇や軌道の変化が表れるからである。いずれにせよ、我々が心配しなくていいのは確かだ。
余談ではあるが、スコットランド人の地質学者でサイエンスライターである、ドゥーガル・ディクソンが「アフターマン(人類滅亡後の動物たち)」という著書を1981年に出版した。
そこには5000万年後に人類に代わって地球を支配するであろう動物たちの姿がリアルに描かれている。
気になる方はぜひ調べてみて欲しい。
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