三星堆遺跡
三星堆遺跡(さんせいたいいせき)とは、1986年に中国の四川省広漢市、三星堆の鴨子河付近で発見された文化遺跡である。
その遺跡から次々と発掘される出土品は、毎回人々に驚きと謎を提供してくれる。
驚くべきはその出土品の数である。2022年までになんと13000件、そのうち完全な出土品は3155件にも及ぶ。出土品がこんなに多いのにも関わらず、謎の解明がなかなか進まないのが、この三星堆遺跡の面白いところだ。
「考古学上、最も偉大な発見」とも言われている。
今回は三星堆遺跡の出土品「太陽輪」について解説する。
青銅太陽輪
三星堆遺跡の2号坑から出土した青銅輪は、6件あった。
その中でも最も大きいものが今回紹介する「太陽輪」で、直径は約85cmである。
この「太陽輪」は青銅という点では、日本の「青銅鏡」と類似しているが、実に奇妙な形をしている。
まるで車のハンドルのようにも見えるし、何かの部品の一部のようにも見える。
三星堆遺跡を「異星人の遺跡」と考える一部の人たちは「宇宙船のハンドルか、どこかの部品の一部ではないか?」と推測している。
宇宙船のハンドルにしては、あまりにも自動車のようなデザインだが、そう考えてしまいたくなるほど奇妙な遺物なのである。
このハンドルのような形をした青銅器は、5等分されたようなデザインだが極めて正確に5分割されているという。
何千年も前の古代文化に科学的な計量法があったとは考え難いが、驚くほど精巧に作られているのだ。
この謎についてもまだ解明されていない。
青銅太陽輪の用途は?
この「太陽輪」は、一体に何に使われていたのだろうか?
研究者たちによって、いくつかの推測がなされている。
一つ目は「戦いのための盾」ではないかという説である。
だが、実物を見てみるとわかるが、これが身を守る盾になりうるはずがない。
空洞が大きく隙だらけであるし、これが下地で何かしらの板が張ってあったとしても重すぎるだろう。
美観のための装飾品の盾であれば、少し可能性はありそうだ。
二つ目は「天体を計測するための器具」だったという説である。
太陽輪をなんらかの方法で天に向けて、そこから太陽や星を観察し、その天体の角度などを観察したとも考えられる。
実際に驚くべき研究報告がある。研究者たちはこの太陽輪を使用して冬至と夏至の太陽の角度を観察し、その正確さを割り出した。なんと誤差はわずか60分の1度だったという。現状、最も信ぴょう性の高い説である。
三つ目は「太陽崇拝」と関係があるという説である。
三星堆文化は、太陽を崇拝していたことが分かっている。
農耕文化において自然は命そのものであり、自然に感謝と崇敬の念を持つことはごく当たり前のことだった。
天災の影響が大きいと、その国、都市、ひいては文化までもが滅亡してしまう。彼らは自然を崇拝し、怒りをかわないようにと太陽を崇めていたのだ。
その太陽崇拝の儀式のために、何らかの用途で使われていた器具だったとも考えられる。
このようにさまざまな説が提唱されているが、その用途は今も不明となっている。
この「太陽輪」も他の三星堆遺跡の遺物と同じく、中国国外に出されることは禁止されている。
参考 : 有個問題,三星堆青銅太陽輪是幹嘛用的呢
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