日本史

忍者はどのような存在だったのか? 「忍術と流派 ~現代の忍者 川上仁一」

忍者とは

忍者はどのような存在だったのか?""

忍者」は漫画やアニメのキャラクターにもなり、その能力やその独特な出立ちから多くの外国人に人気がある。

では、忍者とは一体どのような存在だったのか?

忍者は源平時代以降に発祥したとされ、大名や領主に仕え、または独立して諜報活動、破壊活動、浸透戦術、諜術、暗殺などを仕事をしてたとされている。

「忍者」は昭和30年以降に小説などに使われて普及した呼称である。実際に忍者が活躍していた時代には「忍び」「乱破」「素破」などと呼ばれていた。

現在でも伊賀国を含む三重県にある三重大学で忍者の学術研究は続けられている。

忍者の中には領主に仕えず戦毎に雇われる傭兵のような存在もいた。伊賀・甲賀衆はいわゆる土豪集団であり、乱波・透破のようなゴロツキ集団もいた。

彼らは戦には足軽として参加して、夜討ち朝か駆けといった奇襲撹乱を得意としていた。

くノ一

忍者はどのような存在だったのか?

女中や小間使いとして潜入して諜報活動を行っていた女性忍者も存在した。

史実としては武田信玄に仕えた「歩き巫女」が有名である。名称については「くノ一」と呼ばれ、”女“という文字を「く」「ノ」「一」と三文字に解体した隠語表現が語源とされる説が一般的である。

忍術と流派

忍者、忍術は日本国内各地に分かれ、いくつかの集団を形成していた。
文献上での流派は71流を数え、資料が確認できる流派は31流とされている。

実在した集団としては、伊賀、甲賀、雑賀、風魔、鉢屋衆などが有名である。

忍術書には、主に情報収集のため相手側へ忍び込むための技術などが記述されている。

忍術は戦闘技術も含んでおり、忍具、忍器と呼ばれる独自の武器を使用する武器術もある。ただし記録に残る限りでは専門的な武器術や体術が含まれていたとすることには疑問点が多いとされている。つまり人間離れした体術や妖術はあくまでフィクションであり、特に江戸時代以降は心得や簡単な武器使用法のみで、本格的な技術は武術流派から学んでいた可能性が高いとされている。

忍者はどのような存在だったのか?

また単に忍び込むだけではなく、生きて使命の完了を報告するまでが忍術であった。武術のみならず宗教学、兵法、心理学、生物学、医学、薬学、物理学、天文学、気象学など、多様な領域を含んだ総合的な生存術であると位置付ける研究者もいる。

忍術と忍法は同義語となるが、忍法はフィクションの世界においては、妖術、仙術や気功にも似た人間技とは思えない数多くの術を意味する場合もある。しかし忍術はあまりこの意味を含まない。

現代の忍者

およそ500年前までその歴史を遡る甲賀流伴党の21大宗家である川上仁一さんは、現代に生きる最後の忍者とよばれている。

川上さんは元々忍者の家系ではなかったが、6才の頃に20代目の石田正蔵さんに出会ったことがきっかけで忍術の訓練を始めたという。石田氏に弟子入りし、身体訓練から精神的な技術、化学物質や気象、心理学の領域まで学んだという。

忍術はもともと戦争・奇襲のための技術だったが、川上さんはそれを「総合生存技術」と言っている。

川上さんはこう言う「意識を統一するのに、蝋燭の火を見つめ、芯を見てその中に入り込んでいるという感覚が得られるまで、音を聞くのに針を落とす

川上さんは19才になる少し前に石田氏から宗家の名を継承し、巻物や道具などを渡された。

甲賀流伴党には22代目は存在しない。川上さんがこれ以上弟子をとらないと決めたからである。

現在川上さんは忍者の歴史の研究を始め、伊賀流忍者博物館で隠し階段や隠し戸、床下の刀隠しなどを紹介しながら、自分が最後の忍者になることを受け入れている。

 

草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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