ヨーロッパ諸国の人たちに聞いてみると第二次世界大戦よりも第一次世界大戦の方が悲惨だったと言う人が多い。
実際問題、第一次世界大戦は一歩間違えたら国が崩壊する綱渡りな状態になってしなった戦争だった。
そこで、第一次世界大戦が終わった後ヨーロッパ諸国ではどのような形になっていったのかを探ってみよう。
そもそも第一次世界大戦とは?
第一次世界大戦とは1914年に起こったドイツをはじめとする三国同盟とフランス・ロシア・イギリスをはじめとする三国協商が戦った戦争のことである。
この戦争はいわゆる総力戦と呼ばれている戦争で、総兵数はフランス860万、イギリス880万、ドイツ1325万、ロシア1200万であり、さらに戦費は凄まじくドイツでは国民総年収2年分が丸ごと戦費として使われていた。
この戦争は協商国の勝利に終わるが、その傷跡は酷く、フランスではあまりにも戦死者が多かったため、人口グラフの一部が丸ごと吹き飛んだとも言われている。
ドイツの戦後の状況
敗戦国となったドイツの末路は悲惨なものであった。
第一次世界大戦の末期に帝政は崩壊。共和国となり協商国に講和したが、その講和条約であるヴェルサイユ条約はドイツにとってかなり酷なものであった。
ドイツは全ての植民地を喪失した上で領土の15パーセントを割譲した。さらに1330億マルクというドイツの総国家予算2年分という天文学的数字の賠償金を課せられた。
ドイツはその後賠償金によって財政は破綻。さらに賠償金を払っていないことを理由に、当時ヨーロッパ最大とも言われている工業地帯であったルール地方をフランスにとられてしまい、ドイツはハイパーインフレという地獄のような状況となってしまう。ハイパーインフレが起こった当時のドイツはジャガイモ一キロにつき900億マルクとなり、暖炉で薪を燃やすより紙幣を燃やした方が安上がりとなるとんでもない状態となってしまった。
しかしそんなドイツにある救世主が現れた。その男の名はヒャルマル・シャハト。
シャハトはハイパーインフレを解消するために臨時の紙幣であるレンテンマルクという紙幣を発行してなんとか解消することに成功。
さらに1933年にはヒトラー率いる国家社会主義ドイツ労働者党が政権を握り、アウトバーン計画などの公共事業などを成功させてドイツを立ち直させる。
このレンテンマルクの奇跡とアウトバーン計画などによってドイツは奇跡の復興を成し遂げた。
フランス・イギリスの戦後の状況
フランスとイギリスは一応戦勝国だったのだが、その実態は戦勝国とはとてもいえない状況だった。
フランスは第一次世界大戦で勝利したことによって、普仏戦争で奪い取られていたアルザス=ローレヌ地方をドイツから取り返すことができたが、フランスでは560万の兵士が負傷、さらに150万の兵士と30万の民間人が戦死していた。これはフランスの総人口の8分の1の規模である。
その結果フランスでは政治が不安定になってしまい、第一次世界大戦が終わってから第二次世界大戦が起こるまで、30人以上の首相が交代している異例の事態になってしまった。
イギリスではフランスほどではないが、同じように戦死者を大量に出してしまい同じく政治が不安定になってしまった。
ロシアの戦後の状況
ロシアでは戦時中である1917年に二月革命が起こり、ロシア皇帝ニコライ2世は退位せざるおえない状況になってしまった。
こうしてロシア帝国は終焉を迎えることになるのだが、ここからロシアでは臨時政府という新たな政治組織が生まれ労働者階級の人と対立。ロシア内戦が起きる事態まで発展した。その後労働者階級が勝利。スイスに亡命したレーニンがロシアに変わり、1922年にソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)が成立する。
しかしロシア国内における地獄はスターリンという悪魔の下で現れることになっていく。
最後に
第一次世界大戦はヨーロッパのほとんどの国で傷跡を残す結果となった。
しかし、国民はこの戦争を『全ての戦争を終わらせるための戦争』と言ってもう二度と同じ規模の戦争は起こらないだろうと慢心していた。しかしドイツではヒトラーが台頭していきそしてついに1939年、戦後21年目にしてドイツはポーランドに侵攻。第二次世界大戦が始まる結果となった。
その原因にはドイツに課せられた賠償金、ソ連の成立、さらには戦後の世界体制が大きく関わっている。
もしも興味を持ったなら第一次世界大戦後の世界情勢を調べてみたら、第二次世界大戦のこともより深く味わえるようになっていくだろう。
関連記事:
第一次世界大戦とは何かについて調べてみた
第一次世界大戦前における各国の立場【WW1シリーズ】
第一次世界大戦に従事した意外な5人の人物たち【WW1シリーズ】
第一次世界大戦・地上の主力は大砲だった【WW1シリーズ】
第一次世界大戦開戦・西部戦線の形成へ【WW1シリーズ】
この記事へのコメントはありません。