IoT

ARM(アーム)について調べてみた【ソフトバンク買収額3.3兆円の半導体メーカー】

パソコン用のCPUといえば「インテル」がすぐに思い浮かぶと思います。

WindowsでもMacでも、多くのパソコンで採用されているのがインテルのCPUで、世界シェアもトップです。

では、スマートフォンに使われているCPUってどこの会社のものがメジャーなのでしょうか?

調べてみると「ARM(アーム)」という会社です。しかも、この会社を2016年に買収したのはある有名な日本企業でした!

ARM では製造はしていない?!

ARM

その日本企業こそ、孫正義さんが会長兼社長をしている「ソフトバンク」なんです!しかも、買収額は約3.3兆円!ちょっとピンとこないくらいの金額です(汗)

でも、いくらスマートフォン用のCPUを扱っている会社でも、ソフトバンクは自分の会社でスマートフォンを作っているわけじゃないので、そこまでの価値があるのかな、と思ってしまいます。そこで、さらに調べてみるとARMがただのメーカーではないことが分かりました。

ARMは正式には「ARMホールディングス」といい、イギリスのケンブリッジに本社があります。CPUというと個人的にアメリカのイメージがあったのでちょっと意外です。

そして、ARMは正式にはCPUのメーカーというのではなく、「半導体開発メーカー」でした。つまり「半導体の研究や開発はするけど、製造はしない」ということです。

半導体製品は分業

ARM

ARMは、1990年に設立されたわりと新しい会社です。

そして、主な事業は、半導体製造メーカーに半導体の設計図を提供して、その半導体を組み込んだ製品が売れることでライセンス料を受け取るというものです。でも、「それなら半導体製造メーカーが自社で開発もしてしまえばいいのに」と考えてしまいますが、実際にはそんなカンタンな話ではないようなんです。

半導体製品は、CPUやGPUといった機能によって回路の設計が行われて、設計図を作ります。この作業をIPデザインと呼びますが、これが完成すると、実際の半導体製品にするための設計があり、それを元に試作品が作られるわけです。試作品が出来れば、あとはそれを大量生産するだけなので、やっぱり、最初の「開発、設計」というのが大変なわけですね。

昔はこうした工程をすべてひとつのメーカーで行っていたそうですが、半導体の設計から製造までというのはとてもコストが高くなるので、今はほとんど分業という形になっています。

それでも、インテルはすべての工程を自社で行っているそうです。さすが巨大企業!

工程は3つ

ARM
※ARM本社

半導体製品の分業は、1990年ころから始まりました。

製造なら台湾の「TSMC」とか、アメリカの「GLOBALFOUNDRIES (グローバルファウンドリーズ)」といったメーカーが有名です。こうした半導体製造企業のことを「ファウンドリ」と呼びますが、ファウンドリのなかでも、この2社は世界で1位、2位というトップクラスです。

そして、回路ではなく半導体そのものの設計は、アメリカの「クアルコム」や台湾の「メディアテック」などが有名です。

さらにその元となる「IPデザイン」の設計をするのがARMというわけなんです。

ARMでは、半導体のなかのCPUやGPU、そういった部品を接続する内部バスなどの設計を行い、その技術を半導体メーカーにライセンスとして貸し出すということです。最終的にはそうやって完成した半導体を、スマートフォンなどのメーカーに販売するという形になっています。

どこまでもモバイル向け!

ARM

ところで、ARMの設立は1990年ということでしたが、例えばiPhoneの登場は2007年ですし、Android搭載のスマートフォンも当時はありません。せいぜい、ガラケーと呼ばれる「フィーチャーフォン」の時代でした。そんな時代は何を作っていたのかと思ったら、ズバリ「携帯電話用の半導体」でした!

うーん、どこまでもモバイル向けの半導体開発メーカーなんですね(笑)

まあ、そういったこともあって、もともとノウハウはあったわけです。そこにAppleのiPhoneが現れて、ARMも急成長しました。もっとも、iPhoneに搭載されている「Aシリーズ」という半導体はAppleが自社で開発したものですが、そのベースがARMのIPデザインというわけです。

それが現在までずっと採用されています。

さらにGoogleのAndroidもARMの半導体に合うように設計されていて、ほとんどのAndroid搭載モデルにはARMがベースとなった半導体が使われています。

これからの可能性

こうした理由から、ARMが設計した製品はシェアを伸ばしていて、2015年のモバイル向け半導体だと85%という驚きの数字となりました。

しかも、現在ARMが注目されている理由はそれだけじゃありません。

IoT、つまりパソコンやスマートフォンじゃないけれど、ネットに接続できる機器の分野でさらに成長が見込まれてるからです。スマートウォッチといったウェアラブル端末や自動車の自動運転システムなど、あらゆる分野に展開してゆくことが出来ます。

工場を持たないからこそ、フットワークの軽さで勝負ができるということですね!

まとめ

ソフトバンク、というか孫正義さんが3.3兆円もの金額で買収したというのは現在の価値だけではなくて、これからの成長も予測してのことだったんですね。

しかも、工場を持たないからリスクも少ない。ライセンスを供与して利益が出るわけですから、極端に言ってしまえば「黙っていてもお金が入る」ということです。

ARMという会社は、これからもっと有名になるでしょう。

関連記事:
【最もアツいIT都市】中国・深センについて調べてみた
意外と知られていないintelの歴史
IoT【第4次産業革命】とはなにか?【モノのインターネット】

 

アバター

クロワ

投稿者の記事一覧

フリーライターのクロワです。主に生活のなかで役立つ記事やトレンド記事などを書いています。よろしくお願いします

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. アバター
    • 匿名
    • 2019年 5月 23日 11:28pm

    スマートフォン向けのCPUだけではありませんよ、この会社は家電や自動機器などは無論、サーバーやスパコンにも使用されてます。もう少しちゃんと調べてから記事をかかれたらどうですか?

    1
    0
    • アバター

      スマートフォン向けのCPU「だけ」とは書いてませんね。強調してるだけでは?IOTについても書かれてますよ。

      1
      0
  2. アバター
    • 2020年 3月 16日 4:00am

    非常に参考になった。読みやすい。良記事である。
    先(2019年 5月 23日)に、ひとにケチつけるしかノウのないアホが湧いてるが、こんなん気にせんとどんどん書いてもらいたい。

    2
    0
    • アバター

      ありがとうございますm(_ _)m

      1
      0
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 本当に優良な「お小遣い稼ぎアプリ」はどれか?【2019】
  2. LINE Clova WAVE について調べてみた
  3. 5G 運用開始前夜!MWCでスマホの未来が見えた
  4. 米Googleでも実践!1分で頭すっきりワーク【マインドフルネス…
  5. Google Homeで何ができるのか調べてみた
  6. スマートスピーカーの仕組みについて調べてみた
  7. 株式投資の際に行う財務分析のポイント(損益計算書と貸借対照表)
  8. Amazon Echoについて調べてみた【Google Home…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【母親の愛が幽霊となって残る】夜な夜な飴を買い続けた「子育て幽霊」の伝承

親による子どもへの虐待は、昔から社会に潜む問題のひとつです。しかしその一方で、親の無償の愛を…

働き方改革について調べてみた

過労死やサービス残業といった社会問題が注目を集めていますが、未だにそれら厳しい労働環境による悲し…

後醍醐天皇 ~建武の新政【型破りな政治の天皇】

神奈川県藤沢市にある清浄光寺(しょうじょうこうじ)には、国の重要文化財である「絹本著色後醍醐天皇御像…

秋の行楽シーズン!京都の穴場観光 『洛陽十二支妙見めぐり』に行ってみた

霊験あらたかな「妙見宮めぐり」妙見菩薩(みょうけんぼさつ)は、夜空に輝く北極星・北斗七星…

にんにくの栄養や効能・保存方法・賞味期限について調べてみた

「にんにくとは」にんにくとは西アジア原産といわれるユリ科の多年草です。食材として…

アーカイブ

PAGE TOP