国際情勢

ウクライナ戦争によって「第3次世界大戦」の火種が再び欧州に忍び寄る?

ウクライナ戦争が泥沼化する中、衝撃的な展開が世界を揺さぶっている。

2025年、トランプ大統領が再びホワイトハウスに返り咲き、その強硬な「アメリカ・ファースト」路線が国際社会に激震をもたらしているのだ。

驚くべきことに、トランプはロシアのプーチン大統領への露骨な肩入れを隠そうともせず、「ウクライナの安全なんて欧州が勝手に背負えばいい。アメリカには関係ない」と突き放す発言を連発。

これにより、米国と欧州の結束はかつてないほどに崩壊寸前だ。NATOは分裂の危機に瀕し、欧州各国は自衛策を模索せざるを得ない状況に追い込まれている。これは、まるで第1次、第2次世界大戦の前夜を彷彿とさせる不穏な空気である。歴史は繰り返すのか?

欧州を舞台に、再び世界大戦の火蓋が切られるリスクが高まっていると警告せざるを得ない。

進む米国と欧州の亀裂

画像 : 第一次世界大戦 public domain

トランプのロシア寄り姿勢は、単なる口先だけではない。

2025年初頭、彼はウクライナへの軍事支援を大幅に削減する方針を打ち出し、「欧州が金を出せ」と一蹴。
米国が後退する一方で、ロシアはウクライナ東部での攻勢を強め、戦線は膠着状態から一気にロシア優位へと傾きつつある。

これに対し、欧州連合(EU)は混乱を極めている。
ドイツは経済的負担を嫌い、ポーランドやバルト三国はロシアの脅威に怯え、フランスのマクロン大統領は独自の「核の傘」構想をぶち上げた。

マクロンは、「欧州は自立し、米国に頼らず自らの運命を切り開くべきだ」と主張し、フランスの核戦力を欧州全体に拡大する案を提示。しかし、これが逆に欧州内の対立を煽り、結束どころか分裂を加速させているのだ。

核の傘を巡る議論は、まるで冷戦時代の軍拡競争を呼び起こすかのようだ。

歴史を振り返れば、第1次世界大戦前には列強間の同盟関係が軋轢を生み、些細な衝突が全面戦争に発展した。
第2次世界大戦前には、ヒトラーの台頭を見過ごした英仏の宥和政策が悲劇を招いた。
今、トランプの孤立主義とロシアへの媚態が、プーチンに「やりたい放題」の免罪符を与えているように見える。

ウクライナでの戦闘がエスカレートすれば、次に狙われるのはポーランドかバルト三国か? ロシアがNATO加盟国に手を伸ばせば、自動的に集団防衛条約が発動し、世界規模の戦争が勃発しかねない。

しかも、トランプが「NATOなんて時代遅れ」と公言している以上、米国が参戦する保証はどこにもないのだ。

再び世界大戦は欧州から勃発するのか

画像 : プーチン大統領 public domain

一方で、マクロンの核構想は、欧州をさらに不安定化させる火種である。

フランス単独の核戦力でロシアを抑え込めるのか、疑問の声は尽きない。英国は独自の核保有国として黙りを決め込み、ドイツは「核シェアリング」に及び腰だ。

もしロシアが核の恫喝に出れば、欧州は一瞬にして恐怖の戦場と化すだろう。仮にロシアのミサイルがワルシャワに着弾し、NATOが報復に動き、フランスが核ボタンに手を伸ばす。その時、トランプは「俺には関係ない」とゴルフクラブを手に笑っているかもしれない。

2025年3月現在、ウクライナ戦争は単なる地域紛争の域を超えつつある。トランプの無責任な姿勢が欧米の絆を引き裂き、ロシアに付け入る隙を与えているのだ。

歴史が教えるのは、こうした分断と無関心が大戦への道を開くということだ。欧州は再び戦火に飲み込まれ、世界は破滅へと突き進むのか?

我々は今、非常に危険な岐路に立たされていることを自覚すべきである。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

アバター

エックスレバン

投稿者の記事一覧

国際社会の現在や歴史について研究し、現地に赴くなどして政治や経済、文化などを調査する。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. アバター
    • かもしか
    • 2025年 3月 12日 1:16pm

    そんな事起きるわけ無いだろ。大体アメリカから自分達のことは自分でやれと言われてショックを受けること自体がヨーロッパの自信喪失を示しているので有って、第三次世界大戦など起こすほどの力も気力もヨーロッパには残ってないでしょ。
    それにプーチンはバカじゃない、ヨーロッパへの侵攻なんぞ身の程知らずと分かってる筈さね。それよりもイスラム教の浸透に気をつけた方が良いのではないかな。気が付いたらヨーロッパの庶民層が指導層の無能に絶望してイスラムに帰依するかもよ。

    0
    0
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 台湾外国人労働者の現状 「約72万人の海外労働者」
  2. チャイナドレスの起源 ~満州族の伝統衣装「旗袍(チーパオ)」の歴…
  3. 【国際】アルメニアとアゼルバイジャンが軍事衝突!両国が争い続ける…
  4. 【新卒1500万人が未就職】 若者の失業率が高まる中国で流行して…
  5. スペイン風邪 ~歴史上最大の猛威をふるったインフルエンザ
  6. 日本人が間違いやすいネイティブ英語⑦【飲み物、お酒、食事処のサー…
  7. 【世界一有名な女性ガンマン】カラミティ・ジェーンの生涯
  8. アメリカの特殊部隊について調べてみた

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【天皇の命で海底100m潜って絶命】裸で引き上げられた悲劇の海女「男狭磯」の伝説

2013年に大ヒットした、岩手県三陸海岸沿いにある架空の町が舞台のNHK連続テレビ小説「あま…

令和の男子マナー?座りションのメリット・デメリット

近年、座って小用を足す男性が少しずつ増えているという。それに対する意見はさまざまだ。「男が座…

イタリア中世の自治都市コムーネ・ヴェネチア共和国とは?

中世のヨーロッパは、封建領主(キリスト教会・国王・国王の臣下、騎士等)が治める荘園で、奴隷的な農民が…

近年の中国における改正「反スパイ法」 ~今後の日本への影響は?

2022年、米中間や中台間では同年8月のペロシ米下院議長の訪台によって軍事的緊張に拍車が掛かり、それ…

「メッシの後継者」がブライトン加入! プレミアリーグ第4節の展望【ELの組み合わせも決定】

「メッシの後継者」がブライトンへ!やはりサプライズが待っていました。スペインのビッグクラ…

アーカイブ

PAGE TOP