民族という感覚
私たち日本人には民族という感覚があまりないように思う。
なぜなら日本人の大半は大和民族であり、日本列島の大半を占めているからだ。
日本の少数民族には、アイヌや沖縄県や奄美大島などの旧琉球王国末裔の琉球民族などがある。
いずれにしても日本では数はそう多くない。しかし沢山の少数民族が住む国では民族という感覚を強く持っている。自分の民族に誇りを持っているし、若い世代も伝統を後代へ伝えようという活動をしている人も多くいる。
だが一方では、偏見、民族同士の抗争といった問題も多く見られる。多民族国家は国内の問題が絶えないようだ。
中国もその一つであるといえよう。政府は常に少数民族の動きを監視しているし、特に過激な思想を持っている民族にはそれ相応の規制を課し、国の安全を守るためだとしている。
中国の少数民族
中国政府は民族区域自治とい少数民族政策をとっている。
国民を漢民族と55の「少数民族」とに区別し、その民族ごとに集住地区を「区域自治」の領域として指定している。
そこでは「民族の文字・言語を使用する権利」「一定の財産の管理権」「一定規模の警察・民兵部族の組織権」「区域内で通用する単行法令の制限権」などを行う事を認めている。
「一定の」というところがミソで、やはり大元の権限は中国政府にあるというのが現状だ。
少数民族人口のランキングは
1位;南に住むチワン族、2位;東北に住む満州族、3位;中国ほぼ全土に住む回族
となっている。
今回は筆者が多く接した回族と、知名度の高いウイグル族について少し触れていきたいと思う。
回族
筆者が暮らした山東省でも回族の人たちが多くいた。
回族の街があり男性は小さな白帽子を被っていた。彼らはイスラム教を信じているため豚肉を食べない。その理由としては言い伝えで「彼らの祖先を豚の英雄が守った」「コーランで豚は汚れた動物に指定してある」など諸説ある。
彼らの食生活は清真食(ハラルフード)と呼ばれる。回族の人たちが間違って禁止されている食品を口にしないよう、あるお店では、非清真食と書かれて注意を喚起している。
彼らの料理は薄味だがコクがあり日本人にも受け入れられる味だ。特に美味しいのが蘭州ラーメンで牛肉のスープに手打ちで伸ばして茹でた麺を入れたものだ。細麺で腰があるが麺の太さは様々で各店舗で違いがある。細いものから幅5センチ以上の平打ち太麺など様々である。
スープの薬味にはパクチーが使用される。主に薄味でスープそのものの色が見えている事が多い。
回族は中国全土に頒布しているため、中国国内で旅行に出かけて何を食べようか迷った時、蘭州ラーメンをチョイスすとまず間違いない。
美味しいのでおすすめである。
ウイグル族
ウイグル族は、多くの人がニュースなどで聞いたことのある民族ではないだろうか。
彼らは中国の西の果てに自治区を持つ。もともとトルコ系の少数民族で、中国、カザフスタン、キルギスなどに住んでいる。中国で大多数を占める漢族とは見た目も文化も異なっており、そのほとんどがイスラム教だ。
かつて新疆ウイグル自治区では「武力を使ってでも独立したい」という過激派がテロ事件を引き起こした。そのニュースが大々的に世界へ発信されたことから、ウイグル族は危険な少数民族として人々に知られる事となった。
筆者がウイグル自治区ウルムチに旅した感想は、決して大きな街ではないがとても富んでいる印象だった。道は綺麗に整備され、至る所で開発が進んでいた。近く地下鉄が完成するようだった。
見たところ、政府が金銭的に援助しているようだった。
頻繁にテロが起きることから政府が考え出した策なのであろう。安全面や警備も万全だ。寝台列車の駅では顔認証、指紋認証、荷物検査が列車に乗るまで2回もある。筆者はそこでマニュキュアを没収された。火がつくので持ち込み不可ということだった。
最近、ウイグル族が政府に弾圧され多くの若者が収容所に収容され洗脳されているといったニュースを聞く。なぜ彼らは弾圧されるのだろうか?
イスラム教徒は神(アッラー)の言う事を第一とする。つまり中国共産党より大事な存在があるということになる。それは中国共産党にとって共産党への忠誠心が低いとされ迫害の対象になりやすいのである。
それぞれの少数民族が、良い伝統を残しつつ、尊重し合い平和に共存していくことを願うばかりである。
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