北極圏の夜空に浮かび上がる幻想的な「オーロラ」を、一生に一度は見てみたいと思う方も多いのではないだろうか。
太陽で起こった爆発で放出されたプラズマ状の電子が、地球を守るかたちで存在する磁場に吸い寄せらることで起きる発光現象が、「オーロラ」の正体だ。
『オーロラベルト』と呼ばれる北緯65度から70度付近の国や地域の空を中心に出現する鮮明で大きな「オーロラ」を観測するには、まずこの『オーロラベルト』のエリアに該当する国や地域に向かい、周りに人工的な光がないこと、観測当日の昼間の天候が晴天であったことを確認する必要がある。
南半球の低緯度に位置するオーストラリアやニュージーランドにおいても稀に「オーロラ」が出現するといわれているが、形や色の鮮明さに欠ける部分があるようだ。
夜空を彩る「オーロラ」の特徴に迫る〜日本でも観測できる「オーロラ」とは!?〜
最も有名なのが、緑色に輝きながら風に靡くような動きが見られるカーテン状の「オーロラ」だが、「オーロラ」の強弱によって、形や色は大きく変化する。
形や動きが鮮明に見えるカーテン状、冠状、大波状と形状の名称が付けられている「オーロラ」は、発光現象がとても活発な状態であることを示しており、ぼんやりとした白い霧が掛かったような「オーロラ」は、活動のエネルギーが弱い状態であることを示している。
また、点滅を繰り返す『脈動オーロラ』と呼ばれるものは、明け方やオーロラが消えていく過程で現れることが多い。
「オーロラ」の色は「オーロラ」を観測する場所の標高によっても変化する。
これは、標高によって大気中の原子や分子の種類が異なることから起きる現象ともいわれ、標高が高いほど赤く光り、低い場所であるほど赤色と青色が混ざり合ったような濃いピンク色、または紫色で光ることがある。
土地の標高が中間地点であるものは緑色で光り続け、幻想的な光のカーテンが夜空に広がる。
日本で唯一、「オーロラ」観測に適した地域として名高い北海道では、『低緯度オーロラ』と呼ばれる、ぼんやりと霧の掛かったようなピンク色の「オーロラ」が観測できる。
北海道で「オーロラ」に遭遇できるのは10年に1度という貴重な体験ともいわれているが、北海道に足を運ぶ機会があれば、ふと夜空を見上げてみてはいかがだろうか。
ちなみに北海道では、春や秋に「オーロラ」が観測されている事例もいくつか報告されている。
「オーロラ」に出会える確率が高いといわれる『アイスランド』
「オーロラ」を見ることができる北極圏の中でも、国の約8割が『オーロラベルト』に属するアイスランドは、首都のレイキャビクのから「オーロラ」を見ることができる。
人口密度も低く手付かずの自然も豊富なため、静かな環境の中での「オーロラ」観測ができる最高のロケーションでもある。
天候によっては夜の20時頃から「オーロラ」が出現することもあり、街中にいながら「オーロラ」の美しさを堪能できる。
秋から冬、そして春と季節が変わっても長期的に「オーロラ」を眺めることができる環境もアイスランドの特徴でもある。
アイスランド最大の氷河湖『ヨークルスアゥルロゥン(ヨークルサルロン湖)』で観測される「オーロラ」は、夜空に広がる「オーロラ」と星が湖の水面に映る様子から、アイスランドの絶景の一つとして有名である。
首都のレイキャビクからは車で6時間と時間を要することから、実際に観測を望む場合は1泊2日のドライブツアーを利用する観光客が多い。
「オーロラ」にまつわる由来と伝説
「オーロラ」という名称は、ローマ神話の登場人物である夜明けと希望をもたらす女神『アウローラ』から名付けられた。
『アウローラ』は、ギリシャ神話に登場する恋多き女神『エーオース』と同一視されているため、夜空に輝く美しさで人々を魅了する「オーロラ」の要素と重なる部分がある。
一般的に「オーロラ」を見れた人は強運の持ち主だといわれることが多いが、「オーロラ」には昔から語り継がれる伝説がある。
一つは、『オーロラは現世と天国を繋ぐ道しるべである』という伝説だ。最期を迎えた魂が天へ登っていく際に現れ、光に照らされた道であると例えられたことから誕生したものだ。
『オーロラは生き物』という概念が強い地域では、災害や政治の大変革といった世の中に変化をもたらす不吉な予兆として信じられていた時代もあった。
「オーロラ」が出現すると、身を守る魔除けとしてナイフを振りかざす人もいたほどだ。人々にとって「オーロラ」が神秘的な存在として認知されているからこそ、不思議とスピリチュアルなもの、未来に通じる何かの予兆だと考える人間の潜在意識が働くのだろう。
忍耐力と運を引き寄せる力が、観測の成功を左右するといわれている「オーロラ」に出会える貴重な経験は、今後の人生に影響を与える機会を過ごす時間でもある。
たった数分の短い時間の中で「オーロラ」が演出する幻想的な世界は人々に勇気を与え、自然の偉大さを伝える役割をも果たしている。
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