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「アタリの占い師を見極めるコツ」を取材した
うまくいかない恋愛や結婚生活、家族関係、職場の上司部下との関係で悩んでいる時や、病気が長引いたり、将来のビジョンが見えない時、自分のことを何も知らない、フラットな目で見てくれる占い師につい頼りたくなる人は多いはずだ。
しかし、占いは統計学。
本当のところ、未来のことは誰にもわからないし、占い師のコンディションや相談者との相性で占い結果やアドバイスが変わることも珍しくない。
相談者と同じように、占い師も人間でエゴがあるからだ。
せっかく大切なお金を払って占ってもらうのだから、アタリの占い師に出会いたいもの。
そこで、占い歴22年のベテラン占い師A先生に、「アタリの占い師を見極めるコツ」を取材してみた。
良質な占い師を見極める6つのポイント
「ポイントがいくつかありますね。
もちろん、占いテクニックの熟練度が高いことが前提です。そのうえで、相談者の現状を客観的に把握する冷静さと明晰さ、分析力を持ち合わせている。
心の成熟度、スピリチュアリティの成熟度が高い。
精神面と行動面、両方のアドバイスができる。
占い師さん自身が幸せである。あらゆる面でバランスがとれていることが、良質な占い師の条件だと思います。」(A先生)
占いテクニックが先行して、当たり外れの占い結果的中率にこだわり、相談者の心に寄り添うことができず、正論ばかりで役に立たないアドバイスをしてしまう占い師もいるそうだ。
そういう場合は、相談者はどこかモヤモヤした感覚のまま帰路に着くことになるという。
「占い師の仕事は、相談者さんが幸せを感じられるようにサポートすること。
占いの的中率や未来予測に捉われすぎず、相談者さんの心が晴れ、生活や人生に自分のパワーで前向きに取り組もうとする意欲が持てるようになることが何よりも大切なんですよね。」(A先生)
的中率で占い師をジャッジすると変化や未来のチャンスを逃す
占い結果の的中率にこだわってしまうのは、相談者にも多いそうだ。
A先生によると、
「当たったからあの占い師は優れている、外れたからあの占い師はダメだ」
とジャッジしてしまうのは、とてももったいないことなのだという。
変化や成長のチャンスを逃してしまいかねないというのだ。
「私たちが住んでいる世界は常に流動的です。
相談者さんのその時その瞬間の心持ちによって、占い結果は変わります。たとえば、
『彼氏がハードワークでなかなかデートしてくれない。私から連絡をしても返信をくれなくてつらい』
という恋愛相談でいらした女性を占って、結果が『別れる』と出たとします。なぜそのような結果が出たのかというと、相談者の女性が自分にしか目が向いておらず、かまって状態になっていて、仕事で疲れている彼氏の身体やメンタルに寄り添う気持ちや余裕がないからだったりするんです。
自分のことばかりで本当の意味で彼氏のことを愛せていなければ、別れる可能性が高くなるのは自然なことですよね。
そういう場合は、
『占い結果では別れると出たけれど、彼にかまってほしいという気持ちを一回、手放して、ひとりの時間を自分だけで楽しんで満たすことにチャレンジしてみて。自分とデートするの。それができたら、ハードワークになってしまった彼氏の心の中を想像してみましょう。今までと言葉のかけ方や行動の仕方が変わってくるはずですよ』
とアドバイスします。これは占いではなく、心理学、心の成熟度の範疇になります。
ここで相談者さんが自分たちの幸せにとって必要なことに気づけると心の成熟度が高まり成長して、彼氏に対する心持ちと行動が変化することがあります。」(A先生)
相談者が彼氏にしつこく連絡するのをやめ、自分の心や時間を自分で満たし、たまに会えた時に彼氏の身体やメンタルを気遣いつつ、デートを心から思い切り楽しむことができると、
彼氏も「あれ? 今までのかまってちゃんモードと様子が違うぞ? 僕のことも気遣ってくれるし、何より一緒にいて安心するし楽しい」と今までの彼女の言動パターンが変わっていることに気づくのだという。
この状態を相談者の女性がキープして自分の時間とデートの時間、両方を楽しめるようになると、
彼氏のハードワークが自然と落ち着いてきたり、逆に忙しいからこそ安心感を与えてくれる彼女と一緒にいたいと彼氏が心変わりして結婚に至るというケースは、驚いたことにたくさんあるというのだ。
相談者本人の意思とパワーが、占い結果と未来を変える
「その場合は、別れるという占い結果は『外れた』ということになりますよね。
でも、外れたのは、占い師のアドバイスをしっかり受け止めて行動した相談者さん本人が強い意思とパワーを発揮したから。
自分の未来を、自分の力で変えることができたんです。そのほうが相談者さんにとっても彼氏にとっても、もちろん占い師にとってもwinwinですよね。
当たり外れの目先の利益よりも大きな視点で捉えて、全員が幸せになることを選択できるようにサポートすることが占い師の姿勢として大切なんです。」(A先生)
占い師を選ぶ時は、占い結果の的中率よりも相談者への共感力や理解力、客観的なアドバイス力やサポート力を重視した方がよさそうだ。
良質な占い師を見極める究極の質問「私は何歳で死にますか?」
それでも、一見で入る街中の占い館や電話占い、ネット検索でヒットした占い師では、プロフィールだけではそこまで見極められないのが現実だ。
何か一発でアタリの占い師かどうかを見抜ける方法はないのだろうか?
改めてA先生に聞いてみた。
「口コミが一番、信頼できるかもしれません。
それでも人と人ですから相性も関わってくるので、Bさんには合う占い師でもCさんには合わなかったという場合もよくあるんですよね。ただ、究極の見極め手段はあります。
正直、占い師の立場としてはあまりして欲しくないのですが、
『私は何歳で死にますか?』
と聞いてみるんです。予約制であれば、事前に『死期を占ってもらうことはできますか?』と訊ねるのもいいでしょう。
実は、人の死期を占って教えるのは、占い業界では超タブー事項だからなんです。
スピリチュアルな考え方の中には、
『人は生まれる前に自分の死期を決めてくる』
というものがあります。占いではそれを読み解くのですが、究極的な真理は誰にもわからないというのが私の見解です。
死期を占うことは不可能ではありませんが、死のタイミングというのは、本人の心持ちや行動で変えられるものなのです。
先ほどお話しした、ハードワークの彼氏との恋愛で悩んでいた相談者の方のケースとメカニズムは同じですね。
ですから、占ってもらった死期を知ってもあまり意味がなかったりするんです。(A先生)
死期占いは、相談者の可能性やパワーを奪う
最近は終活が一般化してきたので、家族や仕事との関わり方や、財産を具体的にどうするか考えたいということで、本当に自分の死期を知りたくて占いに来られる方もいらっしゃいます。
そこまで冷静でポジティブな動機でいらしても、
実際に自分の死期を知ることで無意識のうちに死への恐怖にとらわれて鬱っぽくなったり、自分や人生にさまざまな制限をかけてしまったり、終活を進められなくなるような未来が視えてくることが多いですから、
死期を占うこと自体を丁重にお断りします。幸せになるための占いなのに、死期を知ることで相談者さんやそのご家族が苦しい思いをしてしまうのは本末転倒ですからね。
何より、相談者さんの変化の可能性やポジティブに生きる意欲、パワーや行動力を奪うことになりかねません。
ですからその代わりに、死ぬ前に変化させたい家族との関係や仕事、財産のことなど終活にまつわることを占い、アドバイスすることにシフトさせていただきます。(A先生)
つまり、占いの世界で『死期を占い、伝えること』がタブーになっているのは、死期を占うことで相談者のあらゆる可能性やパワーを奪わないためということなのだ。
このタブーを破るか破らないかが、良質な占い師と心ない占い師を見極めるための基準のひとつになるのは間違いないだろう。
死期を占う占い師は、お金か自己満足が目的
死期を占って欲しいと依頼して、断られたり、知りたい理由を聞かれたら、その方は占い師としての自分にプライドやポリシーを持っている証拠です。
なぜ、死期を占わないのか、その理由もきちんと説明してくれたら、人としての良心や心の成熟度、スピリチュアリティの成熟度もある可能性が高いので、第二関門クリアかもしれません。
逆に、あっさり死期を占ってくれる素ぶりを見せ始めたら、目先の利益優先、つまり相談者さんの幸せよりも、自分のお金や占いの的中率目的か、よほどの知識不足と経験不足かのどちらかです。
占い師としてのプライドやポリシーもありませんし、心とスピリチュアリティの面でも成熟が必要な段階。
立場を超えて人間同士でお付き合いするのも考えものなくらいです。すぐにこちらから
『すみません、やっぱりいいです。質問を変えさせてください』
と謝って、簡単な一問一答だけしてもらって早めに丁寧に退出することをおすすめします。その場のやり取りで、ご自身の直感や感情、五感に意識を向けると自然と引き際を判断できると思いますよ。
大切なのは、『いつ死ぬか』ではなく、『今をどう生きるか』。
人間としてこれらの原理を知っているかどうか、占い師本人がそれを実践しようとしているかどうかを見抜くには、死期を聞くのは有効な手段かもしれません。
それでもやはり、占い師の立場としては、こちらを試すようなことはして欲しくないのが本音ですが、最近は無自覚な悪徳占い師も増えています。
相談する側の自衛手段として、このことを知っておくといいですね。」(A先生)
終わりに
取材していて、占い師は占いの勉強だけではなく、さまざまな分野の知識と能力が必要とされることがわかった。
何より、取材では占いをしてもらっていないのに、A先生と話していると自然と心が楽になり、
「自分の意思とパワーを信頼して生きていこう」
という気持ちになれたのが大きな収穫だった。
「良質な占い師は、人間力と誠実さを兼ね備えている」
ということも、見極めのポイントとして付け加えておきたい。
【占い師A先生 推薦図書】
『死ぬ瞬間-死とその過程について』 エリザベス・キューブラー・ロス著
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