豊臣兄弟!

【豊臣兄弟!】視聴者は「直ロス」から立ち直れるのか…彼女の最期に3つの違和感?

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」皆さんも楽しんでいますか?

第8回放送「墨俣一夜城」においては、幼馴染の直(白石聖)が悲しい最期を遂げてしまいました。

あまりにも早すぎる退場にショックを受け「直ロス」に陥ってしまった方も少なくないことでしょう。

確かに悲しくはありますが、歴史ファンとして納得できない点も少なくありません。というわけで、今回は直の死を冷静に振り返って考察。

皆さんが直ロスから立ち直るキッカケになれば幸いです。

直の死を振り返り

まずは第8回放送「墨俣一夜城」を、直と小一郎(仲野太賀)の関係にフォーカスしながら、振り返ってまいりましょう。

① 新婚さながら!直と小一郎の幸せな日常光景

② 直が「父に結婚の許しを得たい」といきなり帰郷

③ 小一郎は墨俣の任務に出立。直から握り飯をもらう

④ 小一郎が落とした握り飯を拾おうとしたら、立っていた場所に弾が当たる

⑤ 小一郎は「この任務が終わったら祝言を挙げる」と語る

⑥ 一方の直は父の喜左衛門と再会。騙されて蔵に閉じ込められる

⑦ 直は脱出を図りながら、かつて自分を守ってくれた父の愛情深さを思い出す

⑧ 蔵から脱出した直は喜左衛門に感謝を述べ、心情的に和解する

⑨ 晴れて中村を後にした直は、農民同士の抗争に直面する

⑩ 斬られそうになった少女の身代わりとなり、直は絶命する

⑪ 墨俣から生きて帰った小一郎は、直の死を知らされて悲歎にくれる

前回「決死の築城作戦」で、直と小一郎が「必ず生きて帰る」と涙ながらに抱擁を交わした場面から、これでもかとばかりに死亡フラグを乱立させた結果でした。

希望から絶望への落差は、ドラマを盛り上げるセオリーですから、視聴者の中には「あぁ、この直はもうすぐ死ぬんだね」と感じとった方も少なくないと思います。

逆に、ここまで「さぁ今から号泣必至、涙を拭くためのバスタオル(ハンカチじゃ足りない)をご用意ください!」とばかりにアピールされてしまうと、かえって興醒めに思われる方もいたのではないでしょうか。

ネット上で「直ロス広がる」「白無垢の悲劇」「視聴者騒然」などの文言が踊る中、拭いきれない違和感を考察したいと思います。

違和感① 異変に気づくの、遅すぎない?

騒ぎがあったら、まず近づかないのが基本(イメージ)

中村からの帰り道、直と彼女を護衛する弥助(上川周作)は、道端に倒れている女性を発見します。あれ、どうしたんだろう……ノコノコ近寄ってみると、彼女は血を流し、既に絶命していました。

驚いた直が顔を挙げると、数十メートル先で農民たちが抗争を繰り広げているではありませんか。

これだけの大騒ぎなら、もっと遠くから怒声や悲鳴が乱れ聞こえていたのではないでしょうか。

なぜのんびり歩いている?古今東西、騒乱の気配を感じとったら、速やかにその場を離れるのが鉄則。うかうかしていたら、巻き込まれないとも限りません。

21世紀の令和日本ですら常識となっている危機管理意識を、戦国乱世ど真ん中に生きている彼女たちが持っていないはずはないでしょう。

と言うと「倒れている女性を助けるためだから、仕方ないではないか」「そうだそうだ。直は優しいのだ」なんて声も聞こえてきそうですが、理由のいかんを問わず、見知らぬ人に近づくのは危険すぎます。

例えば道の真ん中に倒れていた人を介抱していたら、その隙に背後から斬り殺された……とか。あるいは人だと思ったら実は藁人形で、物陰から弓や鉄砲で狙撃されないとも限りません。

いずれにしても、人が倒れているからと不用意に近づいていたら、命がいくつあっても足りないでしょう。

また「直と弥助はおしゃべりに興じていたのだから、騒乱の声に気づかなかったのだ」という意見もありそうですが、そんな声高に話していたら「警戒心のないor薄い『絶好のカモ』がここにいますよ」と周囲にアピールしているようなものです。

これでは遅かれ早かれ、直はどこかで命を落としていたことでしょう。

違和感② なぜ少女は無事だった?

人を斬ったら、ちゃんとトドメを刺そう(イメージ)

農民たちの騒乱に呆然とする直と弥助。すると視線の先に、今にも斬られそうになっている少女がいました。

「危ない!」直は無我夢中で少女をかばい、自身が斬られて絶命してしまいます。

この伏線として、自身が幼少期に父の坂井喜左衛門(大倉孝二)が身を挺して自分を守ってくれた思い出があり、それで「自分もそのような親になりたい」と語った場面がありました。

まぁ「目前で窮地に陥っている弱い者を救いたい」という直の気持ちも解らなくはありません。ドラマの展開的にも「聖母≒喪うにはあまりにも惜しい人物」のイメージを視聴者に植えつける絶好の演出と言えるでしょう。

しかし水を差すようで申し訳ありませんが、ここでも強烈な違和感を覚えたのです。

少女が斬られないよう、自身が彼女の楯になる……理屈としてはわかります。ただ「次の攻撃から、誰が少女を守るのですか?」という疑問に、どう答えるのでしょうか。

例えば暴走列車から身を守るように、攻撃(物理的な被害の可能性)が一度きりであれば、直の犠牲にも一定の意味はあると思います。

しかし今回のケースは相手に明確な殺意があり、一回斬りつけたらもう攻撃してこないわけではありません。

もし筆者が少女を斬る立場であれば、直の背中を斬った後に背中を踏みつけ、肩甲骨の中間あたりを刀で刺し貫くでしょう。こうすることで、当初の標的であった少女もろとも殺せる可能性が高いからです。

どのみち少女は殺され、直は自己満足のために無駄死にしてしまった……と言ったらひどすぎですが、そうとしか言いようがありません。

違和感③ 残念過ぎる弥助の不覚

ただ棒立ちでは、案山子と何も変わらない(イメージ)

直の死における最大の残念ポイントは、何もできなかった弥助の不覚です。

直が倒れている女性に近づく時も、その先で繰り広げられている騒乱に気づいても、そして直が少女をかばった時も……ほとんどずっと棒立ちでした。

いったい何のための護衛なのか……生粋の武士じゃないからしょうがないもん、なんて言い訳は通用しません。しないと思いますが。

何より弥助(後の三好吉房)は実在人物です。女性を守れなかったというネガティブなイメージがついてしまうのは、あまり好ましくないでしょう。

悲劇感を盛り上げたい意図は解りますが、せめて弥助については直を守ろうと最善を尽くした描写をしてほしかったと思います。どのみちヒロインが死ねば、悲劇展開となることは避けようがないので……。

直が無駄死にだとしたら、弥助は無駄汚名と言ったところでしょうか。今回における最大の被害者と言っても過言ではありません。

じゃあ、どうすればよかったの?

ここまで散々言って来ましたが、当然「じゃあどうすればよかったのだ」という声が出て来ることでしょう。

物語の大筋や設定を変えない前提で、直の自然な最期を考えてみたいと思います。

① 直と弥助が歩いていると、進行方向の方が騒がしい。

② 危険を避けようと迂回路を検討するが、聞き覚えのある声がしたので見捨てられない。

③ 物陰から様子を窺ったところ、顔見知りの少女が男に拉致されそうになっていた。

④ 直と弥助が協力して男から少女を保護し、速やかに現場からの退避を図る。

⑤ 生存の希望が見えたところで、流れ矢が直に命中。弥助の介抱もむなしく直は絶命する。

あくまで一案ですが、とにかく「悲劇ありき」とばかりに飛び出していくよりは自然な展開になったかと思います。

考えたところでどうしようもないのですが、ただ言いっ放しでは気分がよくないため、対案として考えてみた次第です。

終わりに

イメージ

今回は小一郎の幼馴染である直の最期に関する3つの違和感を紹介してきました。

小一郎の幼なじみ“初恋のひと”

小一郎と藤吉郎の故郷である尾張中村の土豪の娘。小一郎と同い年の幼なじみ。男勝りな性格だが、小一郎のことをひそかに慕っている。乱世に翻弄される悲劇のヒロイン。

※NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。

あらかじめ「幼なじみ」「初恋」「悲劇」とくれば、当初から「あぁ、この女性はいい感じになりつつ、結ばれることなく死ぬんだな」と予想した視聴者も少なくなかったことでしょう。

そして案の定と言える悲劇の最期……この展開にモヤモヤした方にとって、今回の解説が少しでも刺されば嬉しいです。

初恋の直と結ばれずに終わった小一郎は、これから正室となる慶(吉岡里帆)はじめ、様々な女性と出会います。

小一郎は彼女たちとどんな物語を紡いでいくのか、これからも注目していきましょう。

文 / 角田晶生(つのだ あきお)校正 / 草の実堂編集部

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