たくさんいらっしゃる仏さん。
実は仏さんには、階級のようなものが定められています。
第一は、ご本家の「如来」さん。第二は、分家筋にあたる「菩薩」さん。
続いて、本家をお守りする「明王」さんや「天」さん、「羅漢」さんとなります。
しかし、それぞれに生まれ故郷があり、独自の履歴や専門分野を持ち、霊験を通して人間世界と深く関わっておられます。
今回は、分家筋にあたる「菩薩(ぼさつ)」さんについて解説します。
「菩薩」さんってどんな仏さん?

木造十一面観音立像(国宝・法華寺)public domain
「如来」の境地に達するため修行を続けながら、衆生(しゅじょう)の救済に励む存在が「菩薩」さんです。
その姿は貴人の服装をかたどり、宝冠、腕釧(わんせん)、天衣などの装飾を身につけています。
腕釧とは、仏像の腕や手首に装着される輪状の装飾品で、人間でいえばブレスレットのようなものです。
「菩薩」さんは一般に温顔で親しみやすく、とりわけ「観音」さんや「地蔵」さんは厚い信仰を集めています。
では、主な「菩薩」さんをご紹介しましょう。
衆生を救うためにさまざまな姿に変化する「観音菩薩」

画像:如意輪観音坐像 附像内納入品(鎌倉時代・東京国立博物館蔵)public domain
「観音菩薩」は、別名を「観世音(かんぜおん)菩薩」「観自在(かんじざい)菩薩」ともいい、各地で〇〇観音として親しまれています。
この観音さんは変身が得意。衆生を救うため、さまざまな姿に変化することで知られます。
三十三観音と称されるほど変化身が多く、その基本形は「聖観音(しょうかんのん)」です。
ほかに「千手観音」「如意輪観音」「不空羂索観音(ふくうけんじゃくかんのん)」「准胝観音(じゅんていかんのん)」「十一面観音」「馬頭観音」などがおられます。

画像:木造千手観音坐像(京都三十三間堂)public domain
千本の手で救うとされる「千手観音」は、中央の2本の手のほか、周囲に40本の手を持ちます。
1本の手で25の世界の衆生を救うとされ、40×25=1000となるのです。
「如意輪観音」は6本の手を持ち、金銀財宝を与える宝珠と四方を制圧する輪宝を携えます。
「不空羂索観音」は慈悲の網や糸で衆生を救い「准胝観音」は、病気を鎮め悟りに導く仏さんです。
「十一面観音」は、顔(本面)の上に10~11の顔(面)を持ち、正面3面は慈悲、向かって右側3面は怒り、左側3面は牙をむき、背後の1面は大笑の顔、頂上には阿弥陀仏面を配します。
温顔で親しみやすい「菩薩」の中で「馬頭観音」は憤怒の形相。
激しい怒りによって苦悩や諸悪を打ち砕き、災難を取り除くとされます。
来るべき如来となるまで瞑想中の「弥勒菩薩」

画像:木造弥勒菩薩半跏像(国宝・広隆寺蔵)public domain
右手を頬にあて、物思いにふける姿で知られるのが「弥勒(みろく)菩薩」です。
この仏さん、釈迦入滅後、56億7000万年後に如来となって現れ、救いに漏れた衆生をすべて救うといわれます。
そのため現在は、兜率天(とそつてん)で瞑想中。
あの思索的な姿は、そのためなのです。
幅広い年代に最も広く親しまれる「地蔵菩薩」

画像:木造地蔵菩薩坐像(重文・京都六波羅蜜寺)public domain
子どもからお年寄りまで最も広く親しまれているお地蔵さんが「地蔵菩薩」です。
その名は大地が万物を育むように、人々を慈しむ心を無尽蔵に持つことに由来します。
頭を丸め、右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠を持ち袈裟をまといます。
延命、子育て、身代わり、とげ抜き、疱瘡、いぼ地蔵、さらには道祖神や交通安全地蔵としても現れます。
広大無辺の功徳を持つ智恵の仏さん「虚空蔵菩薩」

画像:絹本著色虚空蔵菩薩像(国宝・東京国立博物館蔵 )public domain
「虚空蔵(こくぞう)菩薩」は、その功徳が虚空(大空)のように広大無辺であるとされる仏さんです。
智恵の仏として、慈悲の地蔵菩薩とともに庶民の信仰を集めてきました。
五仏宝冠をいただき、右手に宝剣、左手の蓮華上に宝珠を持つ姿で表されます。
近年では智恵や記憶力を授ける仏さんとして、受験生からも人気です。
以上が、主な「菩薩」さんのお話です。
読者の皆さんが、お寺で「菩薩」さんにお会いする機会があれば、この記事を思い出し、敬虔(けいけん)の念をもって向き合っていただければ幸いです。
お寺で仏像に向き合ったとき、もし宝冠や装身具をまとったお姿を見かけたら「あ、これは修行中の仏さんだな」と思い出してください。
仏さんとの距離が、ほんの少し近づくことでしょう。
※参考文献
京都歴史文化研究会(高野晃彰)著 『京都札所めぐり 御朱印を求めて歩く』メイツユニバーサルコンテンツ
文 / 高野晃彰 校正 / 草の実堂編集部

























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