「イタリアのハワイ、美食溢れる街、様々な異国文化を受け入れてきた島」など、多くの愛称で知られるイタリア西海岸に位置する「サルデーニャ島」。
長閑な自然の中で、ゆっくりと時の流れを実感しながら旅行が楽しめるとの人気も高く、夏のバカンスの時期には、家族連れの観光客が国内外から足を運んでいる。
日本では「ジョジョの奇妙な冒険」第5部の舞台として登場したことでご存知の方も多いかも知れない「サルデーニャ島」だが、そこには、美しい海岸と旧市街が混在する光景が広がっており、人生で一度は訪れたいと思わせるほどの神秘的な魅力もある。
イタリアといえば、世界で名を馳せるデザイナーが集結するミラノ・コレクションや、著名な芸術家たちの作品を展示する美術館といった『アートに特化した国』というイメージが強く、メディアでもその部分だけが題材的に取り上げられている。
しかし今回は、リゾート地としての魅力も存分に発揮しているイタリアの「サルデーニャ島」にスポットを当てていきたい。
イタリアの特色と異国文化を上手く融合させた『アルゲーロ』の街
比較的、治安が良く快適に過ごせる「サルデーニャ島」へ観光に訪れる人々のいちばんのお目当てといえば、見所ある博物館や大聖堂、ショッピングエリアが立ち並ぶ『アルゲーロ』という旧市街だ。
異国文化を継承し続ける『アルゲーロ』の街並みは、石畳を基調とした外壁や小道が目立つ。
これは、スペインのカタルーニャ地方からの移住者の文化が大きく影響しているもので、およそ350年という長い時間を掛けて、建築様式から言語(カタルーニャ語に近い方言)に至るまでのカタルーニャ文化を浸透させた歴史を物語っているのだ。
『サルデーニャ島』を代表する美食の一つにある『パエリア』も、カタルーニャ文化が反映されて伝わったのもだが、『アルゲーロ』の街では、米の代わりに『フレグラ』と呼ばれる「サルデーニャ島」産の粒状のパスタを使用している。
そのため、観光客を中心に『アルゲーロ風パエリア』として親しまれるようになり、米類よりもパスタをこよなく愛するイタリアの人々の心情を表す逸品となった。
アルゲーロで誕生した『赤い珊瑚』ビジネス改革とは!?
アルゲーロの街を散策していると、『赤い珊瑚』の装飾品を多く見かけるが、やはりこれもカタルーニャ地方からの移住者が「サルデーニャ島」で築き上げた貿易業に由来している。
アルゲーロの近海で大量に水揚げされる天然の『真っ赤な珊瑚』を、職人の技術で装飾品に生まれ変わらせる動きを本格化させると同時に、街のシンボルと称した『赤い珊瑚』の商品開発にも乗り出したのだ。
その後、『赤い珊瑚』の存在は高貴な縁起物としての需要が高まり、「サルデーニャ島」の貿易業を支えるまでに成長する。
『赤い珊瑚』を活かした事業が成功を収めたこともあり、今では魔除けや幸運をもたらす贈り物としての意味合いが強くなりつつある。
世界から熱い視線を送られている鉱山跡『ポルトフラビア』
イタリアのシチリア島に次いで、2番目に大きい島といわれる「サルデーニャ島」には、まだ見ぬ絶景や今後、さらに人気を博すであろう観光名所がたくさん眠っている。
そんな中、SNSを通して話題を呼んでいるのが「サルデーニャ島」の西側沿岸に位置する崖の上の港『ポルトフラビア(Porto Flavia)』だ。
美しい地中海に浮かぶように佇む『ポルトフラビア』は、かつて鉱物産業の拠点として栄えていた場所である。
1600年に鉱物の採掘作業が開始されると世界の富裕層からの投資事業も始まり、「サルデーニャ島」の経済を大きく動かす中心地として拍車が掛かった。
鉱物の採掘に限界が見え始めた1990年代に入ると『ポルトフラビア』は閉鎖となってしまったが、それ以降も採掘に携わった労働者たちの優れた技術と石灰石で覆われた洞窟の偉大さは、大切に保管され続けている。
ちなみに『ポルトフラビア』という港の名前は、港の設計を担当した建築士の愛娘の名前からきているそうだ。
また現地ガイドの案内の元、実際に洞窟の中を見学できるツアーも用意されており、見学の最後に港から見渡すことのできるエメラルドグリーンに輝く地中海の美しさは、息を呑むほどの絶景との評判だ。
『ポルトフラビア』に訪れる日本人観光客の数はそれほど多くはないが、SNSに掲載された『ポルトフラビア』の写真を通して、その神秘的な魅力に惹かれる人々が増加していることから、次期「サルデーニャ島」の有名観光地としての地位を確立するであろうと早くも予測されている。
アクセスに便利でオシャレなブランドショップが立ち並ぶ“大都会”イタリアの雰囲気とは真逆の“大自然”の果てしない美しさを見せてくれる「サルデーニャ島」は、異国文化の香りと、島の豊かさを求めて奮闘した人々の生き様が残された、イタリアの歴史を語り継ぐ貴重な場所だ。イタリアの歴史を最もよく知る島と表現することができる。
都心から離れただけで、全く違う世界を見せてくれる、未来の観光スポットが数多く眠るイタリアの「サルデーニャ島」への注目と期待は、今後のイタリアの新たな魅力と可能性を導いてくれる切っ掛けとなるだろう。
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