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【ディーディーブランチャート事件】 車椅子生活の少女が、献身的な母を殺害した理由とは

ディーディー・ブランチャート事件の全貌

ディー・ディー・ブランチャード事件とは、車椅子生活をしていた娘を献身的に介護していた母親が、殺害されてしまった事件です。

母親のディー・ディーは、一人娘のジプシー・ローズ・ブランチャードを介護し、その様子はFacebookで公開されて多くの募金やお見舞金が送られていました。

しかし2015年6月、アメリカのミズーリ州スプリングフィールドにて、ジプシーの恋人ニコラス・ゴデジョンに殺害されてしまったのです。

ディー・ディーは、難病を抱えるジプシーを熱心にケアする母親だと評判でした。

まるで聖母のようなディー・ディーは、なぜ殺害されてしまったのでしょうか。

※↓ 左が娘のジプシー、右が母親のディー・ディー

 

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娘のジプシーは、白血病、筋ジストロフィー症、知的障害を持ち、砂糖アレルギーなど複数の病気と闘う子供として、世間に知られていました。

ところが、実際のジプシーは健康体で生まれていたのです。

ディー・ディーは、ジプシーが幼児の頃から、彼女が複数の難病や知的障害、アレルギーを抱えていると信じ込ませていました。

ある時、ジプシーはバイクに乗っていた時に事故に遭って、膝を怪我しました。
実際はかすり傷程度の軽傷でしたが、ディー・ディーは歩行器を使わせ、その後は車椅子で生活するように強要したのです。

そればかりではなく、ジプシーの生年月日を度々改ざんしたり、「固形物は食べられない」と周囲に言い聞かせて、食生活までコントロールしていました。
食事は毎日、胃ろうで流動食を食べさせたのです。

そんな生活に耐え兼ねたジプシーは、徐々に自立心が芽生え、外界へ関心を持つようになりました。

後の共犯者 ニコラス・ゴデジョンと知り合う

その後、ジプシーはディー・ディーに買い与えられたパソコンでマッチングアプリを通じて、後の共犯者となるニコラス・ゴデジョンと知り合いました。

このことが、彼女の支配され続けた人生を大きく変えることになります。

ニコラスと映画館で初めて対面し、ディー・ディーにも紹介しました。
母に紹介することで交際を認めてもらおうとしたのです。そしてジプシーは映画館のトイレにニコラスを連れ込み、男女の関係となりました。

【ディーディ・ブランチャート事件】

画像 : 娘のジプシー wiki c

しかし、ジプシーは直接ニコラスに会ってみると、あまり魅力的に思えなかったそうです。それどころか後に「気味が悪かった」と語っています。

実はニコラスはいくつかの問題を抱えており、公然わいせつ罪の犯罪歴と精神疾患の病歴があったのです。
しかし、ジプシーは自由を手に入れる為に、病気の娘を演じながらニコラスと交際を続けました。

魅力を感じていなかったにも関わらず交際を続けたということは、ジプシーは少なくともこの時点でニコラスを利用して犯罪計画を立てていたということになります。

ディー・ディーを殺害

ジプシーはとうとう、ニコラスに母親を殺害することを頼みます。

2015年6月、ジプシーはディー・ディーが眠った後にニコラスを家に招き入れ、ダクトテープ、手袋、ナイフを彼に渡しました。

そしてニコラスは、眠っているディー・ディーの背中をナイフで数回刺して殺害してしまいました。

この間、ジプシーはトイレに隠れ、母の叫び声が聞こえないように耳をふさいで待機していたそうです。

その後、ニコラスとジプシーは、父・ロッドから得ていた養育費の4千ドルを持ち逃げして逃避行に出ました。
犯行に使ったナイフはニコラスの自宅へ郵送し、市内のモーテルに数日間滞在したのち、移動先を転々とする計画を立ててバス移動を繰り返していました。

逮捕

ジプシーは身バレしないようにウィッグをつけていましたが、防犯カメラに映り込んだ2人はすぐに特定され、逮捕となりました。

【ディーディ・ブランチャート事件】

画像 : 母のディー・ディー wiki c

ジプシーが病人のふりをさせられていたのは、ディー・ディーが代理ミュンヒハウゼン症候群だったからでした。
この病気は、承認欲求を得るために、家族など近しい存在を病気に仕立て上げる精神疾患です。

メディアは、ジプシーが本当は病気ではないことや、ディー・ディーが支援金を違法に受け取っていたことを報じました。

ディー・ディーは多くの支援金の他に、ディズニーリゾートへの無料招待、無料飛行機便、新しい家の建築費用なども受け取っていたのです。

警察は支援機関やジプシー親子を報道で知った世間に対し「詐欺の規模を査定し終えるまで、ジプシーへの支援を一切断ち切るように」と要請を出しました。

報道を知った人々は、ディー・ディーの行いを非難し、ジプシーには同情する人が多数でした。

公判ではジプシーには第2級殺人罪、ニコラスには終身刑が下されました。
通常より刑が軽くなったのは、ジプシーが世間の同情を買うために利用された事や、ハンガーで殴られるなどのDVも受けていたことが考慮されたためでした。

ジプシーは結婚していた!

ジプシーは2015年の逮捕後、同じ刑務所内で知り合った服役中の男性と婚約しましたが、すぐに破局しています。

その後、ライアンという一般男性と、2022年6月27日に結婚しました。
ジプシーは服役中のため、書類を通しての結婚となりました。

ライアンに関しては、ルイジアナ州レイクチャールズ出身であること以外は、非公表です。
また、父・ロッドや、ロッドの再婚相手にも支えられ、新しい家族との一歩を踏み出そうとしています。

ジプシーは未だ懲役10年の服役中ですが、2024年に仮釈放の権利を得ています。
全米で有名になった彼女は、インタビュワーの取材に度々応じて、以下のようにコメントしています。

母と暮らすよりも、刑務所のほうが自由に感じています。普通の女性として生きることを許されているからです。

最後に

2019年、アメリカのHuluオリジナル作品で、この事件を題材にした「見せかけの日々」が配信されました。

元子役のジョーイ・キングが演じる、ジプシー・ローズの演技は注目どころです。
ジョーイは本作品で、プライムタイム・エミー賞を受賞しました。

その後、日本でもAmazonプライムで字幕付きで配信されていましたが、2023年12月現在は残念ながら配信停止となっています。またどこかで配信開始されたときは是非視聴してみてください。

参考 : Mommy Dead and Dearest’ Doc on Gypsy Blanchard: What We Learned | rollingstone.com 他

 

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