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近代文学オススメ作品 「年間読書数100冊越えの筆者が選ぶ!」

近代文学オススメ作品

皆さん、こんにちは。

この記事では、年間読書数100冊超えのライター、アオノハナが、読者の皆さんにおすすめの書籍を紹介していきます。

通常の人気ランキングとは少し違った、私ならではの独自のおすすめ本を紹介していければ、と思っています。

今回は、日本人ならば一度は読んでほしい、《近代文学》編。

文学、なんてなんだか難しそう…」と敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、実は近代文学には、読めば読むほど面白く、飽きのこない最高の作品がたくさんあるのです。

それでは、さっそく紹介していきます。

日本の近代文学とは?

近代文学とは、日本ではふつう、明治20年代以降の、【自我の確立と人間性の尊重】を目指した文学のことを指します。

近代文学の有名な小説家には、夏目漱石川端康成など、国語の教科書などで目にしたことのある作家が多くおり、文豪たちが多く活躍したこの時代を、【文学の黄金時代】と称することもあります。

おすすめ①『浮雲』作:林芙美子

近代文学オススメ作品

<あらすじ>

第二次世界大戦下、義理兄との不倫関係を逃れ仏印に渡ったゆき子は、農林研究所員の富岡と出会う。

本国の戦況をよそに、豊かな南国で共有した時間は、2人にとって生涯忘れえぬものとなった。やがて終戦を迎え、焦土と化した東京の中で、非常な現実に弄ばれ、疲れ果てた男と女は、ついに雨の屋久島に行きつく。

<おすすめポイント>

林芙美子と言えば、『放浪記』の作者であり、日本を代表する女性作家です。

筆者は、彼女の最大のヒット作である『放浪記』よりも、林芙美子の晩年に発表された、この『浮雲』の方が好きです。

タイトルの意味は、いつまでも寄る辺なく彷徨う、物語のヒロイン・ゆき子の姿を現したということです。

そのタイトルの通り、ゆき子の不安な気持ち、心細い気持ち、そして、富岡の寂しさや孤独が、全編を通して、瑞々しく、力強い文章で描かれています。

作者の筆はとても活き活きとしているのに、登場人物たちはみんな、寂しさや不安を抱えていて、そのギャップがたまらなく愛おしいのです。
筆者は、何度もこの小説を読みながら、寂しさでいっぱいになって、泣きました。

戦後まもない時代、日本中が疲れ切り、大きな不安を抱える中で、富岡のような男性や、ゆき子のような女性がたくさん存在していたのだろうな…と、今は遠くなってしまった時代に、想いを馳せてしまいます。

読了後も、いつまでも心に染み入る、そんな名作です。

おすすめ②『痴人の愛』作:谷崎潤一郎

近代文学オススメ作品

<あらすじ>

生真面目なサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育て上げた美少女、ナオミを妻にした。

河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄に堕ちていく…

<おすすめポイント>

痴人の愛』は、出版当時非常にセンセーショナルな作品として、話題になりました。

ヒロイン・ナオミのように、男性をまどわす小悪魔的な女性のことを指す、“ナオミズム”という言葉が流行ったそうです。

年端のいかない少女を引き取り、自分の理想通りの女性に育て上げるというのは、まるで『源氏物語』に出てくる、光源氏と紫の上の関係のようです。

紫の上は、光源氏の理想通りの女性に育つものの、『痴人の愛』のナオミはそうはいきません。

主人公の河合が手に負えなくなるほど、ナオミの素行はどんどんエスカレートしていき、河合は妻の存在に悩まされ続けることになるのです。
それでも、ナオミの魅力に惹きつけられ、彼女と別れることのできない河合は、次第にナオミの言いなりになっていきます。

2人の主従関係が逆転していく様子が、読みながらハラハラドキドキしてくるのです。

作中では、ナオミはまるで、得体の知れないモンスターのように描かれていますが、妖艶な女性へと成長したナオミは、本当はどんなことを考えていたのでしょうか?

好きでもない男に引き取られ、結婚させられて、「私は人形じゃない!」と思っていたのかもしれません。

物語は終始、河合の目線で進行しますが、ナオミの目線になって物語を読んでみるのも、面白い楽しみ方かもしれませんね。

おすすめ③『金閣寺』作:三島由紀夫

<あらすじ>

1950年7月1日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世間を驚かせた。

この事件の影に潜められた若い学僧の悩み——ハンディを背負った宿命の子の、生への消し難い呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇。

<おすすめポイント>

近代文学を楽しむならば、ぜひ三島由紀夫の小説を読んでみてください。

彼は多くの作品を残していますが、やはりこの「金閣寺」が、三島由紀夫作品の最高傑作といえるのではないでしょうか。

筆者がおすすめしたいのは、豪華絢爛な日本語の力です。

かくも見事に日本語を操れるのは、三島由紀夫をおいて他にいないのでは、と思うくらいです。

なんと、この『金閣寺』を書いた当時、三島由紀夫はわずか31歳だったのだとか。
30代に到達したばかりとは思えない、熟練した文章に圧倒されます。

この『金閣寺』という作品は、「」に対するゆがんだ憧れと憎しみをテーマに描かれています。

美しいからこそ焦がれ、それを憎みながらも、虜になって離れられない…。

そんな人間の、汚くも悲しい、複雑な気持ちを描いているのです。

近代文学は、《青空文庫リーダー》で読める

近代文学には、名作と呼ばれる作品がたくさんあり、ぜひ一度は読んでいただきたいものばかりです。

そんな日本の近代文学を、無料で読めるアプリがあるのをご存じでしょうか。

その名も、《青空文庫リーダー》。

著者の没後から50年が経過し、著作権の保護対象外となった本を、無料で読むことができるアプリです。

すべての作品がアップロードされているわけではありませんが、アプリをダウンロード後、作品を検索し、ダウンロードすることで、スマホで近代文学の名作を読むことができます。

興味のある方は、ぜひ一度、調べてみてくださいね。

最後までお読みいだたき、ありがとうございました。

 

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アオノハナ

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日本史、アジア史、西洋史問わず愛読しております。

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